見出し画像

Vaughan Brothers / Family Style

 スティーヴィー・レイ・ヴォーンとジミー・ヴォーンの兄弟によるアルバム。スティーヴィー・レイがヘリコプター事故で亡くなったので遺作となってしまった。没後のリリースなのでSRVの意思がどれだけ入っているかは知りようがないが、1990年8月27日に亡くなり9月25日のリリース(Wikipediaによる)というスピードなので、曲順やミックス含めほぼ出来上がっていたのでは?当時はそこを気にしてはいなかったが、亡くなってすぐのリリースに飛びついたことは覚えている。

 作曲者で見ると兄3曲、弟3曲、共作3曲、その他1曲というバランスのとれた割合となっているが、全体の雰囲気は兄ジミーの、若しくはジミーが在籍していたファビュラス・サンダーバーズ的な色を強く感じる。カントリーっぽい雰囲気もジミーのものだろう。無論SRVのギターやヴォーカルに圧倒的な色は出ているのだが、ジミヘン“Voodoo Chiled”をカヴァーしているときのような、ある種狂気のようなものは抑え目な感じがする。リラックスして楽しそうな演奏がむしろ夭逝の無念さを際立たせる。

 ロックとブルースを繋ぐ存在としてクリームやヤードバーズ、ブルースブレイカーズ、ツェッペリンなどがあがることが多いが、個人的な趣味の変遷からいうとファビュラス・サンダーバーズをニック・ロウやデイヴ・エドモンズがプロデュースしていることや、ドクター・フィールグッドの存在があったりして所謂パブ・ロックの影響が大きい。その意味でこの「Family Style」は私にとってパブ・ロックと同じような位置にあり、むしろそれぞれのソロやバンドの方が明確にブルースを感じる。不思議ではある。本人たちにとってはこのアルバムもブルースという意識なのだと思うが…。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?