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各社の取り組み(その1 SONY)

今回、やはり元気だったのはSONYである。セッションもたくさんあったし、展示ブースはいつも人で溢れていた。US SONYのアクセシビリティリーダーであるMike Najetは、もはやCSUNの常連である。彼のセッションには多くの観客が集まった。今年は’Delivering innovation for an accessible future’という題名であった。直訳すれば「アクセシブルな未来のために、イノベーションを加速する」だが、SONYのサイトでは、「誰もが感動を分かち合える未来を、イノベーションの力で。」となっている。かっこいい。昨年から何度も紹介されているKANDO(感動)という言葉、根付くといいな。

SONYのセッションでMikeがパワポの表紙を出している。
Mikeのセッションは毎年、人気だ

セッションの最初には、日本SONYの執行役専務 神戸 司郎氏のビデオメッセージが流された。その後、インクルーシブな未来社会のために何ができるのか、ゲーム、カメラ、雇用などのさまざまな分野でSONYの取り組みが紹介された。例えばSONY Picture Entertainmentという映画の子会社は、インクルーシブな雇用や、映像内外の当事者表出を始め、さまざまなアクセシビリティの政策を打ち出している。劇場および家庭での視聴に対し、英語はもちろん、カナダではフランス語、ブラジルではポルトガル語などの音声解説をつけているという。字幕も、クローズドキャプションはもとより、字幕のカスタマイズ、そのテキストをTTS(Text to Speech)で音声にすることが可能なストリーミングサービスなどを行っているという。

映像会社のUDなサービス

ここはもう少し詳しく聞いておくべきだったと帰国後、反省している。テキストを例えばBluetooth で自分のPCやスマホなどに送れるということなのだろうか?であれば、点字ピンディスプレイで読める可能性が出てくるので、盲ろうの方が映画やテレビ番組の内容にアクセスできるのではないか?今となって、いろいろ疑問が湧いてくる。どこかで日本のSONYさんに聞こう。
また、個々の出展物に関する説明もあったが、これはSONYさんのサイトに詳細に解説されているので、そちらを参照して頂きたい。

https://www.sony.com/ja/SonyInfo/accessibility/event/csun2024/

SONYは、23年のCEATECで、アクセシビリティ「だけ」の展示に特化するという離れ業をやってのけ、業界をあっと言わせた。私もものすごく驚いた。日本のICT企業では、史上初のことである。例えばトヨタがモビリティショーで、UDカーしか展示しないようなものだ。これまで傍流だったものが、一気にメインストリームに躍り出たような気がして嬉しかった。

CSUNのSONYはもちろん展示も充実していた。相変わらず、AIBOは大人気である。つい若手の参加者のみなさんとはしゃいでしまう。

左にAIBO,その後ろに5人が並んでいる
AIBOは今年も大人気

私は会場で流されている映像の中に、あまりにも日本の知り合いが多くて笑ってしまったが。Sony North America社長のNeal Manowitz氏が来場されており、会場を熱心に見てまわり、アクセシビリティについて深く質問をされていた。このようなトップの姿勢は、企業全体に浸透するものだ。羨ましかった。ミーハーな私は一緒に写真を撮ってもらった!

SONYの展示ブースで4名が並んでいる
Sony North America社長のNeal Manowitz氏、Mike、古瀬さんと一緒に


今年は日本のSONYからも20名以上参加していたようだ。若手もたくさん来ていた。このCSUNの環境を見て、いろんなことを感じてほしい。そしてそれをこれからの仕事に役立てて、日本を変えていってほしい。私は研究所の鈴木淳也さんに久しぶりに会えて、とても嬉しかった。彼の入社後一年くらいだったろうか、東海道線の満員電車の中で、前のシートに偶然座ったのが鈴木さんだった。びっくりして思わず声をかけ、互いに「奇跡的だよね~」と話したことを思い出して笑った。今は音響系の研究をされている。視覚障害者だから音響というのではなく、一般製品をふつうに開発しているそうだ。私はコーディングができない人なので、優秀なプログラマーは尊敬して止まない。雇用環境もUDなんだなあ。


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