さえら

ユニバーサルデザインと、ジェロントロジー(高齢社会学)について、発言しています。 ht…

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ユニバーサルデザインと、ジェロントロジー(高齢社会学)について、発言しています。 https://www.facebook.com/csekine

マガジン

  • CSUNカンファレンス2023レポート

    2023年3月にロサンゼルスで開催されたCSUNカンファレンスの記録である。この会議に参加している、米国政府や各企業がどんな思いでアクセシビリティやUDを進めようとしているのか、膨大な数の当事者たちが自ら道を開こうとしているか、少しでも感じて頂きたいと思う。写真は会場の風景で、盲導犬、電動車いす、手話で会話する人が映っている。

  • 東北の旅<2022年8月>福島宮城岩手

    これは、8月5日から8日まで、福島・宮城・岩手の東北3県の被災地などを、主に自治体職員からなるネットワーク組織である「もやい九州」のみなさんと、回った記録である。私はこのもやい九州のメーリングリストではほとんどROMで、たまに書き込み、稀にオンライン飲み会参加、というレベルである。毎年、この東北の被災地ツアーを行っていることは知っていたのだが、これまでは予定が合わず行けなかった。今年は奇跡的に日程が合ったので、やっと参加することができたのだ。ハードな日程ではあったが、団長?吉村さんのお人柄と、そこに集まる自治体のみなさんのおかげで、本当に濃い内容であった。私はいつもみなさんの足をひっぱるばかりで申し訳なかったのだが、いろいろ考えることも多かった。「桃が、ウニが、美味しい!」「このお祭り素敵!」「さんてつ最高!」などなど、あまりマジメなものではないのだが、ぜひ読んでみてほしい。

  • CSUNカンファレンス2022レポート

    CSUNカンファレンス2022の記事です。日本では絶対にお目にかかれないような、障害者支援技術の数々、各国政府やGAFAを始めとする企業のユニバーサルデザインやアクセシビリティへの取組、そして会場の障害者たちのかっこよさ。ほんのわずかでも、この雰囲気を味わって頂けたら、そして日本で何ができるか、考えて頂けるきっかけになれば嬉しいです。

最近の記事

番外編その2 エアとエアポートのUD

1, ZipAirに乗ってみた 今回、初めて国際線のLCCであるZipAirに乗ってみた。Webサイトでの予約は、わかりやすい。一度オーダーの途中で止まってしまい、取り直したら金額が変わってしまうというトラブルがあったが、メールでの問い合わせが迅速かつクリアで、すぐに対処してもらえた。事前チェックインも使いやすく、Webで大半の手続きができてしまうので、結果として空港の窓口での受付がかなりスムーズだった。DXが進んでいる。 フライト自体も、かなり快適だった。機体が新しく、全

    • 番外編その1 CSUN会議の食事事情

      1,事前予約のサンドイッチ 今回、ご飯系の写真はあまりない。初日のサンドイッチとビール一杯で一人約5000円弱!という価格に驚愕したので、あまり出歩かなかったせいだ。 セッション期間中は、私はほぼ毎日、ランチにサンドイッチを事前予約しておく。特にセッションの初日は、ホテル内も近隣のレストランも長蛇の列になる。会場ホテルに宿を取ることのメリットは、これが一番大きい気がする。サンドイッチのボックスを自分の部屋に持って帰り、珈琲を淹れてほっと一息つける。昨日買っておいた果物などを

      • 会場でみつけたユニバーサルデザイン

        1、会場の情報保障 いつものことながら、会場の情報保障は万全である。大きな会場では手話通訳や字幕が同時並行で最初からついている。遠くからも見えるよう、手話や字幕はスクリーンでも流れる。上記はLEGOのセッション風景である。また少人数のセッションでも、事前に依頼すれば、手話通訳者やキャプション(リアルタイム字幕)がつく。盲ろうの人は、触手話も依頼できる。 キャプションは、どうやら事前申請がなくても始めから付いているようで、どの部屋でもごく普通に存在し、私たちのような海外からの

        • 展示会場は今年もわくわくワンダーランド

          展示会場は、いつものことながら、白杖、補助犬、車いすのユーザーで一杯である。手話や触手話で会話している人も見かける。上の写真は視覚障害の方向けの展示ブースだが、電動車いすのお客さんが来ている。またこのマガジンの表紙になっているアマゾンのブースにも、視覚・聴覚・肢体不自由と、たくさんのお客様が来ていた。聴覚や発達、精神など見えにくい障害の方も多数参加していることを考えると、ここでは障害のない人の方が少数派だと思う。 今年もソニーブースではアイボが大人気だ。連れ合いも、当然ながら

        番外編その2 エアとエアポートのUD

        マガジン

        • CSUNカンファレンス2023レポート
          15本
        • 東北の旅<2022年8月>福島宮城岩手
          8本
        • CSUNカンファレンス2022レポート
          13本

        記事

          デジタルアクセシビリティ(電子書籍・図書館・情報キオスク・放送メディアなど)

          CSUNの中では、デジタルアクセシビリティという言葉は、もはや一般用語になった感がある。ハードもソフトもコンテンツも、Webもモバイルもサービスも、家電もオフィス機器も電子書籍もATMも、テレビも映画もミュージアムも、みんなこの言葉で説明される。きっと数年経てば、車も家もオフィスも学校も、このジャンルの一つとして語られるようになるのかもしれない。今回、EPUBを含む電子書籍のアクセシビリティ、デジタル図書館によるUDなサービス、TPGの進めている情報キオスクのUD、WGBHの

          デジタルアクセシビリティ(電子書籍・図書館・情報キオスク・放送メディアなど)

          大学におけるアクセシビリティやUD研修の取組

          大学からの報告もいろいろあった。学内のアクセシビリティをどうやって進めているかといった話から、授業をアクセシブルにするためのUDL(Universal Design for Learning)に関する話も多かった。フィンランドの企業が大学卒業生に対して聞いた結果も面白い。また、もはや定番になってしまった感のある「TeachAccess」チームからも、企業や大学のアクセシビリティ研修についての状況報告があった。 1、大学サイトのアクセシビリティ(ワシントン大学セントルイス校)

          大学におけるアクセシビリティやUD研修の取組

          企業のアクセシビリティへの取組 その2(Microsoft,Lego,IBM)

          1,Microsoft Microsoftのセッションでは、小さな支援技術のパーツがたくさん紹介されているのに参加した。MSそのものというより、メインに話してくれたのは、OTさんである。なかなか楽しいセッションだった。私は初めて知ったのだが、こういったパーツに対し、3Dプリンターで個々人に合わせたアタッチメントをオンラインでオーダーしたり、身近にプリンターがあれば自分で作ったりできることだ。 OTやリハエンジニア、学校の教師など、例えば障害のある子どもに合わせた補助具を、

          企業のアクセシビリティへの取組 その2(Microsoft,Lego,IBM)

          企業のアクセシビリティへの取組 その1(Apple,Amazon,Sony)

          1,Apple Appleのセッションは超満員だった。前のセッションの終了と同時に入ったので、私は何とか座れたが、かなりの人数が床に座り込んで聞いていた。 しかし数年見ないうちに、Appleのアクセシビリティ機能は劇的に進化している。ドアにiPhoneを向けると、そのドアに書かれている文字を読み上げてくれるDetection Modeをデモしていたが、全盲のミュージシャンが、ライブ演奏のために訪れたホールで、着たいジャケットの色を選び、開けるべきドアを選んでホールへ向かうデ

          企業のアクセシビリティへの取組 その1(Apple,Amazon,Sony)

          EUのアクセシビリティ政策

          ヨーロッパのアクセシビリティ政策については、オーストリアからKlaus Hoeckner氏が来てEUの状況を話してくれた。オーストリア最大の視覚障害者組織の副会長で、CENやISOなどの標準化にも関与しているキーマンである。このKlausのセッションだが、データで示す障害者数というのがなかなか面白かった。視覚障害者の総数は2億5千3百万人で、世界の人口の3.2%にあたり、これはメキシコの人口の倍である。聴覚は4億6千6百万人で、同じく6%にあたり、これはEU全体の人口に匹敵す

          EUのアクセシビリティ政策

          米国政府のアクセシビリティ政策(その3)AccessBoardとGSA

          508条のセッションは、最終日朝8時から始まった。AccessBoard からTim Creagan、GSA(連邦調達庁)からはAndrew Nielsenが来ている。彼らは、CSUNの常連で、毎年連邦政府のアクセシビリティ政策を伝えてくれる。ただ、Timの話し方は独特のくせがあり、発音が不明瞭なので、実は私はほとんど聞き取れない。初日だったりすると、1時間をほとんどポカンと聞いているだけになる。今回は最終日だったのでまだましだったが、それでも字幕がないと理解不能な言葉が多か

          米国政府のアクセシビリティ政策(その3)AccessBoardとGSA

          米国政府のアクセシビリティ政策 その2(DOE OSEP)

          文科省 OSEPが進める教育における情報のUD日本だと文科省にあたるDOE(Department of Education)のセッションでは、OSEP(Office of Special Education Programs)が、ゼロ歳児から21歳までの障害のある児童生徒への教育プログラムに、ICTやAT利用をどう進めるか話していた。OSEPが進めているプログラムは、ETechM2と呼ばれる。 Educational Technology Media and Material

          米国政府のアクセシビリティ政策 その2(DOE OSEP)

          米国政府のアクセシビリティ政策 その1(NASA)

          NASAのセッションは相変わらずパワフルである。米国の省庁は、毎年、たくさんのCAO(Chief Accessibility Officer)を送り込んでくる。うちの省では、こんなふうにアクセシビリティを進めています、こういうアクセシブルな製品であれば購入するからよろしくね、という内容が多い。10年くらい前は、どのように障害者雇用を進めているか、という内容もあったが、今ではあまりにも普通になってしまったので、そういう内容は減ってきた。連邦政府では職員の7%から15%も障害者が

          米国政府のアクセシビリティ政策 その1(NASA)

          キーノートスピーチはMike Paciello氏

          キーノートスピーチはMike Pacielloだ。90年ごろからCSUNの常連である。まだ、アクセシビリティという言葉すら一般的でなかった頃から、ここに参加していた。その中で、おそらく最初にWebアクセシビリティのコンセプトを固め、それを普及させるために地道な取り組みを続けていた人である。アクセシブルなWebサイト構築のためのハンズオンワークショップを毎年やっていた。いわばWebアクセシビリティの父である。WCAGの基準作成にも大きく貢献している。彼は最初に、504条の成立に

          キーノートスピーチはMike Paciello氏

          CSUN 3月13日 出発から到着まで

          昨日までの暖かさと打って変わって、なんだか寒い日である。以前のCSUNは、かなり暑くて、空港で着替えたこともあったっけ。。と思いながら春物で荷造りをする。実は会場は寒いのだがこの時点ではそれをすっかり忘れていた。現地の友人から、この数日、意外に寒いよって連絡来ていたのに。 CSUNカンファレンス(障害者とテクノロジー会議)は、今年で38回目だ。私は1993年のCSUNの兄貴分のCSUN主催のVRと障害者会議に出たのが最初だ。そのとき、主催者のHarry Murphyから、「君

          CSUN 3月13日 出発から到着まで

          CSUNカンファレンス2023レポート一覧

          これは2023年3月にロサンゼルスアナハイムで開催された、CSUNカンファレンス(California State University of Northridge : Assistive Technology Conference)の記録である。基本的に、個人的意見のカタマリである。英語が良く理解できていないうえ、途中から自分の世界に入り来んで、日本だとどうなっているんだろう??と考え始めてしまうからだ。しかし、この会議に参加している、米国政府や各企業がどんな思いでアクセシ

          CSUNカンファレンス2023レポート一覧

          【8月8日(月)鵜住居 北上】

          ホテルに依頼して、朝食の開始を10分早めて頂き、大急ぎで朝ご飯を食べる。貝焼きもあったのだが、時間がないかなと思ってパスしてしまった。このホテル、インテリアがなかなか素晴らしい。フロントの上の細かい木組みも、まるで水戸岡先生が作るJR九州の列車みたいだ。 エレベーターホールの上に、「悲母観音」がある。狩野芳崖の絶筆となった名作である。日本画でも洋画でも、宗教画でもない、全く別のジャンルの絵に見える。フロントの方も、この絵をとても大事にされているようだった。だが、どうしてこれ

          【8月8日(月)鵜住居 北上】