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展示会場は楽しすぎ!周り切れない!

展示会場は、毎年多くの新規参入企業がやってきていて、とても盛況である。毎日2時間くらい滞在しているつもりなのだが、それでも全然回り切れない。今年も新しい企業がたくさん参加していて面白かった。UK、イスラエル、北欧、カナダなどからも出展しているようだ。韓国の企業が大挙して押し寄せている。アクセシビリティや支援技術で起業することは、トレンドになっているんだろうか?最初からグローバル企業として欧米市場を視野に入れて起業している。当然ながら製品はUDであることが前提だ。

①SENSEE

昨年から人気だったSENSEE社は、今年は倍以上の広さで出展していた。昨年は点字を学べる教育教材が注目を集めていたが、今年は点字と墨字を同時に印刷できる装置で作った書籍をたくさん展示していた。ハリー・ポッターや星の王子様など、版権を買って出版している。

壁側には点字本多数 SENSEEの文字も点字で表記されているが、これは大きすぎて触れないだろうなあ。
SENSEEのブース カラフルな点字墨字本がたくさん
上段二つがハリポタ、下段が星の王子様の墨点ハイブリッド?本
ハリー・ポッターや星の王子様も
猫の親子のカワイイ絵本の内側で点字つき
画面には絵と文字と点字が。ハイブリッドだ!

ソイインク(大豆インク)なので、子どもがなめても大丈夫だ。墨字と点字は同じページにあるので、見える子と見えない子が一緒に本を読んだり、見えない親が読み聞かせしたり、見えない子どもに親が読んだりできる。UDだ。背表紙にも点字があるので学校図書館などで同じ棚に並べても探せる。

この会社は、韓国で創業したが、今はLAのガーデナにも拠点があり、USを始めとする世界市場に向けて情報発信をしている。タクタイルの浮き出し文字のついた本や、STEM教育の教材も作っている。新しい分野に挑戦するのが楽しくて仕方ないという雰囲気のスタッフが多く、何度行っても楽しかった。

右の紙でできたアルファベットを、左の絵本に張り付けると点字が表示される仕組み この画面では’N’なので、NESTという例示も。
昨年から人気の点字の教材 触って学べる

②Overflow

Overflowも2018年に韓国で創業した会社で、シンプルな点字入力ツールのVersa Slateや、AIを使った拡大読書器を提供している。Versa Slateを最初に見たときは、電子的な点字のピンディスプレイの方が良いのでは、と思ったが、アナログも悪くない。たった144グラムだし。点字が主言語の人が簡単なメモとして、視覚障害の子どものスタディツールとして、また点字初心者の練習ツールとしても良い。紙を挟むこともできるので、点字メモとして渡したり名前を点字にして名刺代わりに渡すこともできる。盲ろうの人とのコミュニケーションツールとしても有効と思われる。日本では日本テレソフトが販売している。

机の上に点字作成機の資料と実物
点字を学んだり、メモを渡すのに便利。アナログだが軽くて良い。

③Dot Inc.

DotPadを紹介しているDot Inc.という会社は、画像の点図とテキストを同時表示する1.2キロのタブレットを販売している。スマホで撮った写真をBluetoothで受け、その写真をレンダリングして点図にする機能もあるようだ。空港のセルフサービスキオスクと一緒に出していた。だが、このような複雑な構内図を、どれだけ点図で把握できるのかは試してみないとまだわからない。デモ機が当日動いていないというのが残念だった。しかし説明するスタッフは、障害者のニーズをよく理解して開発・販売しているようだ。

上が空港内キオスク、下にDot社の点図画面
インドアマップを点図でも表示する装置

④B’Fter

全くの新規参入で、香りの出る絵具を紹介していたB.fterという韓国企業は、若い女性ばかりで、箸が転んでも可笑しいといった雰囲気だった。香りはそれほど長く持続するものではないけれど、絵具に香りがあれば、絵を描くことそのものが、もっとハッピーになるかもしれないよね。彼女たちのはじけるような笑顔を見て、その笑い声につつまれると、なんだかこっちもハッピーになる。支援技術の説明は、こうでなきゃいけないよなあ。(ただ、いくつかの韓国企業のサイトは、視覚障害者向け製品を出しているにもかかわらず、サイトが全然アクセシブルでなく、焦った・・)

左の3名が説明中 右のわくいさんは資料を読んでいる
香りの出る絵具 B.fterの説明を聞く和久井さん

⑤ユカイ工学の青木さんと一緒にAPHなどを見て回る

展示会の会場では、LAには来ていながら、この時間だけしか会場に来れなかったユカイ工学の青木社長と一緒に回る。彼が持っていたQooboを見て、参加者の一人、須永さんが歓声を上げた。

青木社長の持っているQooboに狂喜する須永さん 甘噛みハムハムもいいよね

「私、これ、オフィスに置いています。必需品です!」現代人の暮らしには、特にIT系の仕事をする人には、こころをアナログに保つための、何か温かくて、優しくて、柔らかい手触りで、そしてかわいい何かが必要なのだ。ユカイ工学の作り出すロボットは、そんなものたちである。CESでは、先に寝落ちしてしまうロボットが大人気だったと聞いた。CSUNでは、日本企業の存在がソニー以外はどんどん薄くなっていっている気がするが、いつかはここに何社も出展して欲しいと思う。青木さんをCSUN創立者のHarryに紹介し、ランチを未来館の浅川さんとご一緒した。来年以降、BoccoEmoちゃんやFufulyが来てくれるといいな。数年前にはOrihimeが一体だけ来たこともあったしね。日本が誇る小さくて可愛いロボットたちを、世界に紹介したいと思う。アニメのコンテンツのように、世界でうけるはずだから。
APHの、プログラミングロボットは、今年も挑戦した。でも、やはり論理的でない私は、いつまで経ってもマウスをチーズに到達させることができなかった。悔しい。

教材二つ。奥のマウスがチーズを食べに行く機器に毎回トライし、負けている
全盲の子どもがプログラミングを学ぶためのツール類

日本の企業としては、もちろんSONYの存在感は圧倒的だ。北米ソニーの社長もやってきて、一個ずつを本当に熱心に見ている。展示会場で映っている映像に、日本で知り合いの障害者や関係者がたくさんいて楽しい。国内外で、いろんなプロジェクトをやっているんだなあ。テレビ、カメラ、アイボ、いろいろある。
また、会場にはAshirase(アシラセ)が来て展示をしていた。靴につけて方向を知らせる支援技術で、ホンダと共同開発している。日本では何度も試していて、とっても期待している技術の一つなのだ。来年はセッションで発表もしてほしい。QD Raserも出ていたそうだが、ここでは訪問できなかった。考えてみれば、あのかっこいい車いすのWhillも、たしか2014年のCSUNで初めて出展して、そこから日本でブレイクしたのだ。この分野のベンチャーが腕試しをする場なので、ぜひここでユーザーの声を聞いて、日本で、世界で、アクセシブルな製品を展開してほしい。ただ、これまで常連だった日本テレソフト社の金子さんは、今年は商談のみだということで、お嬢さんと一緒に来ていらした。若い世代がこのCSUNの雰囲気を知ることはものすごく大事だと思う。ピンディスプレイの点字ピンで世界のシェアを独占するKGS社も、もうブースは出していないが、商談のために何名かが参加していた。

⑥アマゾン

声を使わないエコーも展示されている 
アマゾン エコーがたくさん並んでいる

アマゾンの展示ブースも、いつも大変賑わっていた。展示会場では毎日、くじ引きをやっていて、大盛況だった。最終日に一緒に回ったユカイ工学の青木さんが、めでたくAIスピーカーをゲットする。すごい。青木さんをCSUN創立者のHarry Murphy に紹介する。来年は展示に来てくれるといいな。

左が青木さん、右がHarry
青木さんとHarryのツーショット

⑦カームダウンスペース

また、発達障害の方がカームダウンするための暗い部屋も、展示されていた。軽く、防水なので屋外のイベントでも使える。日本で私が空港や学校に紹介してきた製品は段ボール製なので、軽いのだが屋内用だ。こういう製品も増えると嬉しい。

発達障害の人が落ち着くためのスペース 中は暗くしてある
カームダウン用のブース 軽くて防水だ

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