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マチルダになりたくて

私にはずっと憧れてはいるものの、
出来ずにいる髪型がある。

それはレオンという映画に出てくるマチルダという少女(言わずと知れた、、ですよね)の
髪型、顎のラインでパツンと切り揃えられたボブ。

前髪は短く眉の上でこれまたパツンと揃えられている。
これが可愛い。
はじめて映画を観た時、
彼女のしていた首元のチョーカーも、意志の強そうな目も大好きになったけれど、一番惹かれたのはその髪だった。

潔く切り揃えられた髪から、長くて華奢な首が露わになるその独特な色香に、
子供ながらにゾクゾクしたのだ。

しかしそれから私にその髪型をするチャンスはなかった。

まずバレエをやっていると、ポニーテールに出来ない髪の長さにする事は出来ないし、
何よりマチルダだから素敵なんだと幼心に理解していた気もする。

華奢な体躯に似合わない独特の色気が彼女には確かにあったし、丸顔童顔の私はどう考えてもあんな風に素敵にはなれないだろうと悲しくなった。

私は年中ずっと前髪までひっつめたポニーテールか、母が好きでよくしてくれた編み込みや三つ編みのハーフアップがトレードマークのロングヘアの子供でいた。

それはそれで好きだったんだと思う。

ところがここへきて、やっぱりしてみたいなぁと思ってしまった。

さて、どうしたものか。

だけれど、思うにバレエ少女だった頃に持っていたものはもうとうに失くしてしまった気がする。

失った時というのは、新しい自分との出会いの時なのではなかろうか。

#文章 #エッセイ #76



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