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『プライドと偏見』の舞台はイギリスのどこにあるの?

『プライドと偏見』の映画やドラマを観た方、また小説を読んだことがある方は「物語の舞台に行ってみたい!」と一度は思ったことがあるのではないでしょうか?ジェイン・オースティンが描く世界に魅了された私も、いつかイングランドの美しい庭園で物語のヒロインの気分を味わいたいと思っていました。そこで、お話に出てくる主要な舞台6ヶ所をまとめてみました。

実は、ロンドンを除くこれらの名称は全て「フィクション」!私は実際にイギリスにあるんでしょ、と思い込んでいたのですがオースティンが創作したものだったようです。リアルな描写にまんまと騙されてしまいました。。そして「小説に出てきた街めぐり」という夢が潰えてしまった瞬間でもありました(涙)

とはいえオースティンも全くの架空の場所を描いたのではありません。登場人物たちが住む街や建物の名前は創作ですが、それらは「イングランドの○○地方」や「○○州」など実際の場所にある設定だそうです。

イギリスのどの辺にあのキャラクターのお家があって・・と、どうしても妄想したい私は小説を分析したり、インターネットの情報を参考にしながら以下のMapを作成しました。

Mapの番号と目次の番号は連動しています。

1. Pemberley(ペンバリー):ダーシーの邸宅

ペンバリー・ハウスと呼ばれるダーシーのお屋敷も架空のものですが、設定上は実在するイングランドの州のひとつ「ダービシャー」にあるとされています。イングランドのちょうど真ん中あたりに位置し、ピーク・ディストリクトというイギリス最古の国立公園がある自然豊かなエリアです。作中でエリザベスも叔父と叔母にあたるガーディナー夫妻とダービシャー旅行に出掛けていましたよね。18世紀の時代から観光地だっとは驚きですが、きっとその頃から風景は変わっていないはず。悠久の自然が息づくダービシャーを散歩し、エリザベスの気分を味わってみたいものです。

ペンバリー・ハウスは架空の建物ですが、実は2005年の映画『プライドと偏見』で撮影に使われたダービシャーに実在するお屋敷は見学することができます!その名も「チャッツワースハウス」。実は、筆者は過去に観に行ったことがあるので、ぜひこちらの記事もご覧ください♪

BBC版ドラマ『高慢と偏見』でペンバリーハウスとして使われたのは「ライムパーク」というまた別の邸宅ですが、こちらもピークディストリクト国立公園内にあります。湖に反射する屋敷の姿が見事ですね。ドラマの中でも印象的なシーンが数多く生まれた場所でもあり、ダーシーとエリザベスがこの湖のほとりで運命的な再会を果たしました。このドラマで大ブレイクしたコリン・ファース扮するダーシーは、今見返してもかっこよすぎてため息が出てしまいます(笑)

https://www.historyhit.com/locations/lyme-park/

2. Longbourn(ロングボーン):ベネット家のホーム

ベネット家の邸宅がある場所で、この街の名前もまた架空のものですが、設定上は実在するハーフォードシャーというロンドンの少し北にある州に位置するとされています。

3. Meryton(メリトン):義勇軍が駐屯する街

ロングボーンからほど近いメリトンは、田舎のちょっと栄えている街といったところでしょうか。この街に駐屯する兵隊たちに熱をあげていたリディアとキティがよく訪れていました。BBC版ドラマではベネット姉妹が家からメリトンまで歩いて行くシーンが何度か登場していることから、ロングボーンからは馬車などを使う必要のない距離のようです。

4. Netherfield Park(ネザーフィールド・パーク):ビングリーの邸宅

こちらも架空の名称で、ミスター・ビングリーが借りたお屋敷です。お話の中で、馬に乗ってビングリーのもとを訪れたベネット姉妹の長女・ジェインは雨に濡れて風邪を引いてしまい、心配したエリザベスがロングボーンの自宅から歩いて屋敷まで訪れるシーンがありました。散歩好きなエリザベスは5キロくらい歩けると言っていましたが、少し離れているので普通は馬車や馬に乗る距離のようです。

歩いてネザーフィールドに到着したエリザベスの様子を「ペチコートも泥まみれで髪も乱れている」とビングリーの妹たちはひそかに笑い者にしていました。当時の上流階級からすればそのような姿で人前に出るのは言語道断ですが、ベネット家はダーシーやビングリーに比べれば下級のジェントリ層で、経済的にそこまで裕福ではないためそう簡単に馬車は出せないので仕方がありません。ビングリー氏はとっても良い人なのに、妹たちは常に上から目線で偏見だらけのひどい人たちです。同じ兄妹とは思えないよな〜といつもツッコミを入れてしまいます(笑)

ちなみに、映画版のビングリーのお屋敷として使われたのは「バジルトン・パーク」というカントリーハウスです。バークシャーというロンドンの西にある州に位置しています。劇中では、お屋敷の前でビングリーがジェインをはじめベネット家の面々をお見送りしていました。ダーシーがエリザベスの手を取って馬車に乗るのをエスコートした印象的なシーンもここで撮影されました。

https://www.nationaltrust.org.uk/visit/oxfordshire-buckinghamshire-berkshire/basildon-park

5. London(ロンドン):いろんなドラマの舞台となった場所

やはりロンドンは今も昔も変わらずイングランドで最も栄えている街であり、作中でも上流階級が集まる最先端の街として描かれています。ダーシーやビングリーなど男性たちはビジネスをする場としてロンドンにも自宅を持っているようです。

ガーディナー夫妻の自宅があるのもロンドンでしたが、彼らは商人であることから「ロンドンのチープサイドに住んでいる」とビングリーの妹たちは非難していました。当時、商いを行うのは下級階級の人々であり、上流階級は代々土地を相続し領主としての務めを果たすだけ。不労収入といったところでしょうか。ダーシーはその中でも特に由緒正しい家に生まれたトップクラスの領主であるため、財産も桁違いでした。

また、ベネット家の末娘リディアが義勇軍の士官ウィッカムと駆け落ち未遂を起こし二人で同棲していたのもロンドンでした。当時からロンドンは人口が多く、人が隠れるのには良い意味でも悪い意味でも最適な場所だったようです。最終的にダーシーの必死の捜索により二人は発見されましたが、彼の人脈がないと見つけるのはかなり困難だったでしょう。

6. Rosings Park(ロージングス・パーク):レディ・キャサリンのお屋敷

ダーシーの叔母であるレディ・キャサリンのお屋敷はロンドンの南東にあるケント州にある設定です。それはそれは豪華絢爛なお屋敷だとミスター・コリンズが作中で幾度となく熱弁していました。とはいえ、規模の大きさや品格の高さではダーシーの大邸宅には及ばないのでしょう。小説の中でも、エリザベスはペンバリーの庭園や建物・内装のすべてに感銘を受けていたのに対し、ロージングスについては美しい場所だとしつつも「ミスター・コリンズの期待に添えるほど無上の恍惚は覚えなかった」と心の中で呟く様子が描かれていました。

ロージングスの近くにはコリンズとシャーロット夫妻がレディ・キャサリンの庇護を受けながら暮らしていました。庇護というか、コリンズはもはや下僕ですが(笑)

参考:ランカスター大学の研究

筆者と同じように『高慢と偏見』の舞台を調べている人がいないかインターネットで検索すると、イギリスのどの辺を想定して書かれたものかを推測しているサイトを発見しました。これは私のようなオタクによる妄想ではなく、イングランドのランカスター大学によるまっとうな「研究」です。今回はこちらのサイトを参考にさせていただきましたので、興味があればぜひご覧ください♪

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