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詩「静電気」


廊下を歩いていた時に
ふと
手と手が触れ合った
完全に
意図しない接触
マイナスの電気があなたに移動して
バチバチッと
私の手にも電流が流れた
決して目には見えない刹那の煌めき
胸の疼きにも似た傷み
小さな雷に打たれた
運命という名の放電
私は酷く狼狽した
(いつも、あなたの存在が予定調和を狂わせる。)

違う者同士が惹かれ合う昔からの因果
教科書にも載っている自然界の理科の法則
最初から
上手くいかない事さえ
分かっていたの
私は規定通りの制服を着て
何もかも
言われた通りの剥製になっていたのだから
ボタンを閉めない自由を知らない
心に意志がなければ
化学反応は起こらない

あなたは縋る様な目で私を見た
私は静かに視線を逸らした
始業のベルが鳴り響いた
今日も欠伸が出そうな
退屈な授業
理解出来ない教師の解説
午後からの授業は
異常に瞼が重たくなる
分厚い教科書も
私自身も
先には進まなかった

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