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夕暮れのチャイム

 夕暮れ五時。まだ太陽は沈まずギラギラと暑苦しく輝く。青空の中にほんの少しの入道雲。太陽と青空の中夕暮れのチャイムが鳴り響く。切ないメロディをのせて。「もうお遊びの時間はお終いですよ」「次第に暗くなるからもうお帰り」夕暮れのチャイムに合わせて声なき声で知らせる。公園で遊ぶ子どもたちは夕暮れのチャイムを聞き帰り支度開始。サッカーボールを抱え友だちに「バイバイ」「また明日も遊ぼう」帰りの挨拶をする。本当はもっとサッカーで遊びたい。けれど、お家に帰らないと家の人が顔色を変えて心配するから帰らないといけない。これ以上心配させたくないから。
 夕暮れのチャイムが鳴り終わった公園は鳴る前の公園とは違う。夕暮れのチャイムが鳴り終わると胸がキューッと締め付けられる。また明日も友だちとは逢えるのに。また明日も友だちとこの公園でサッカーで遊べるのに。それでも切なくなる。友だちから貰った切ない味のキャンディーを口内で溶かし公園を後にする。

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