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希死念慮

死にたいと 零すわたしの傍らで
生きててほしいと君が言うから

心から愛した人の言葉なら
届いたかもなとひとり呟く


死にたいって気持ちをね、言葉にするのってすごく勇気がいることで
それを言葉に出した途端に涙が溢れてきちゃうような
表面張力で保っていた感情がすべて氾濫するような
自分の心が制御できなくなるような
そんな絶望に呑み込まれるんだよね

ありのままのわたしを受け入れて欲しいと思う反面
わたし自身ですら受け入れられないものを
他人にすべて受容させようだなんて酷く傲慢だ

死にたいって言葉に
ただ寄り添って欲しいだけなんだ
生きててほしい、じゃなくて
死にたくなっちゃったねって
否定も肯定もせず
ただそばにいて欲しいだけなんだ

誰もわたしのことなんか分からないくせに
甘えていいよなんて簡単に言わないで欲しい
わたしの心のやらかいとこ
もう触んないでほしい
わたしの心の大事なところに
不用意に踏み込まないで欲しい

わたしへ
自分の心の弱いところを
他人の手が簡単に届く場所に置かないであげてよ
自分の心の絶望を苦悩を儚さを
空っぽな他人で誤魔化そうとしないでよ
わたしの心をちゃんと守ってあげてよ
わたしの気持ちとちゃんと向き合ってあげてよ

はやく死にたいねっていって
その前にもう一度好きな人に会いたいねって
部屋を片付けて
友達に会って
母親と話して
美味しいものを食べて
相続の話をして
遺書をまとめて
後腐れなく死にたいね
誰にも迷惑かけたくないね
消えちゃいたいね
だけどちょっとだけ苦しんで欲しいね
わたしってわがままだね
早く死にたいね


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