見出し画像

B05)飯山陽氏「【国益?!】小泉悠氏のウクライナ支援必須論はヘンだ!」はヘンだ…

2024/02/28
読み返し、表現が粗雑だと考えた文章、および誤記等、若干修正しました。

麗澤大学客員教授の飯山陽 文学博士が、東京大学先端研准教授の小泉悠氏を批判される動画を公開されました。
【国益?!】小泉悠氏のウクライナ支援必須論はヘンだ! (youtube.com)
本稿では、動画(48分弱)を拝聴した感想を記します。
(過去投稿の敬称にバラツキがあると反省し、氏として統一します)

ご留意いただきたい事項
・筆者は産経の有料会員ではありません(小泉氏の記事を読めていない)
・文字おこしは紙幅を費やすので要約する形でご紹介します
・難解な動画に対する感想なので、主観的な記載が多くなります
・「」は動画や資料を引用した筆者要約、『』は筆者強調です
以上、ご理解賜りたく。

以降、筆者の脳内を整理するためにも、動画の導入部、本論、結びと分けて感想を書きます。
後半に行くほどグダグダになるのは、筆者の常としてご理解いただけると幸いです。


動画の導入部

構成

視聴者とのやり取りは省略し、6分50秒頃から、動画の本論に移ります。
導入部分はおおむね以下の内容です

  1. 日本国のウクライナ支援については異議なし

  2. 「国益のためにウクライナ支援を延々と継続すべし」論に疑義あり

  3. 既にウクライナに多額の支援をしている(2年間で1.7兆円もの金額だ)

  4. ウクライナ支援の継続を主張する代表格が小泉悠氏だ

  5. ウクライナ支援継続を批判する議論がないことに疑問を感じる

導入部分から危険なかほりが、、

実は導入部でお腹いっぱい過ぎです。

まず1.日本のウクライナ支援(ここは補足です)
飯山氏は、個人的にも義捐金支援もしておられ、日本国がウクライナを支援することに賛成する内容を表明されています。飯山氏のご姿勢には、僭越ながら筆者も賛同いたします。

続いて2.延々と支援継続すべし論
政界やメディアを席巻する、「ウクライナ支援を延々と継続すべし(筆者要約)」論が存在する。この論を良しとするのかが問題だ。
「国益だからと言って延々と多額の支援金を出し続けるべきなのか」と問いかけます。
ウクライナ支援にはご賛成のようですので、この動画のアジェンダとして、ウクライナ支援の継続期間と収束時期または条件を設定されたと考えます。
危うさしか感じませんが、収束条件が提示されるのでしょう、この動画で。

ええ、私は因業ですよ。因業で結構です。因業感想文で結構です。
(大工調べの大家気取り)

続いて3.既に多額の支援をしている
既に1.7兆円もの巨額をウクライナに注ぎ込んでいる。
財政融資なのか無償援助なのかを区別せず、この金額を紹介し危機感を演出します。なお、どの資料から引いた金額かはわかりませんが、笹川平和財団のサイトに、1.7兆円に言及する慶應大学准教授の鶴岡路人氏の記事があります。

参照した記事の中に、以下のようなご紹介があります。

過去2年間の総額は121億ドル(約1兆7,000億円)にのぼり、多くは財政支援である。そのなかでも、例えば世界銀行への信用補完を通じた財政支援融資が50億ドルを占めるなど融資の比率が高く、いわゆる「真水」部分――無償資金ないし贈与にあたる部分――は、計20億ドルの人道支援(令和4年度、5年度補正予算)など一部にとどまる[4]。上記世銀への信用補完に加え、ポーランドの政府系金融機関が発行するサムライ債への保証(930億円)など、新たな形での財政支援も特徴だといえる。

笹川平和財団 IINA なぜウクライナ支援が必要なのか(2024/02/07 鶴岡路人氏)

筆者の論点で抽出要約して申し訳ありませんが、ここで注目すべきは「真水は、計20億ドルの人道支援など一部に留まる」とのご説明であり、121億ドルのすべてが無償支援ではないことは明白な点だと考えます。以前の記事でも言及しましたが、飯山氏の情報参照の方法は不誠実であると考えます。
筆者の率直な感想は、導入部分で『ウクライナ支援疲れメンタリティ』を視聴者に植え付ける意図をお持ちでは?と。(大統領選もあるしなぁ、などと考えつつ、余談でした)

続いて4.延々支援論の代表格、小泉悠氏
飯山氏の動画やSNSをご覧の方であれば、容易に想像がつくと思います。
メディア露出の頻度に言及したたうえで、仄聞と断りつつ、東大先端研教授の池内氏がさも不当に、小泉氏を『准教授』に『出世』させたと、印象付けながらご紹介されています。
噴飯物です。Awiさんが記事で検証されているのに、まだ言いますか。。

最後の5.国内にはウクライナ支援継続を批判する議論がない
なぜ批判する議論がないかは「わからない」と仰っています。
ご自身の意見として、「イスラエルが悪くて、パレスチナは被害者とする言論しかないことと、非常に似ている」と評されています。
論説の説明や根拠もなく『おっしゃっていることがわからない』です。

なお、言論の自由を謳歌できる我が国では、現在に至ってもウクライナ国民に停戦を強制するような言説や、ロシアの言い分が正しいかのような親露発言は、政治家や元政治家も含めて、今もなお継続している認識です。違う世界を見ていらっしゃるのでしょうか。

そして、本論へのつなぎとして、小泉氏の言説を参照し、
「(小泉氏の)この論、皆さん読んでください、ヘンですから」
「戦況に直接関係する話ではないので、ロシアやウクライナの専門でなくても評論できます」
とし、次に続きます。

本論:小泉氏の主張は破綻している

アジェンダの再確認

まず、「日本は、本当に国益のためにウクライナを支援し続けなければならないのか、っちゅう話です」と、ご自身のアジェンダを再確認します。
そして、飯山氏の批判のスケープゴートのように、小泉氏を「延々と支援すべき論をとっている」と参照します。

小泉氏への批判①:YesBut論法

理由は分かりませんが、飯山氏は参照記事を明示しません。
ただし、動画から小泉悠氏に取材をした産経新聞の記事を参照していることがうかがえます。

飯山陽氏 YouTube 【国益?!】小泉悠氏のウクライナ支援必須論はヘンだ!

参照先の記事はこちらです。

冒頭に留意事項として留保したのは、筆者がこの参照記事を読める環境にないことを念頭に置いた表現でした。(お財布が厳しいのです)

奇しくも飯山氏が言及するように、小泉氏のメディア露出は非常に多く、氏の言説はある程度理解しているつもりですので、支障はないと判断して、頑張って続けます。

余談)ダイアモンドプリンセス号で騒然としていた頃、国際政治chの池内氏と小泉氏の回で、私(池内氏)は中小企業の経営者のように方々に出向いて下地を作り、若い皆さんがメディア等で活発に議論して欲しい、のようなお話をしていたことを思い出し、あらためてROLESの両代表に敬意を感じます。

批判の入り口:YesBut論法への批判(どうでもいいのですが)
小泉氏の記事を参照しながら、
①「各国の支援疲れが表面化している」「停戦を模索すべきだとの声も分からなくはない」(Yes)
②「だがロシアの行為は国際平和の維持などを定めた国連憲章に違反する侵略行為である」(but)
YesButの典型例として、泥棒に入られた友人に対する言葉を考えてみます。
『泥棒は悪いよね、でも、警備を疎かにしたあなたの責任でもあるよね』
『泥棒に入られて気の毒に、でも、警備を強化すれば再発は防げるよ』
そもそもYesButは、相手への共感を示しつつ自説を展開するための話法であり、それ自体は問題ではない認識です。『』の前者のように、泥棒による犯罪行為を矮小化したり、不当な観点から歪める、または不当な相対化により警備責任を極端に追及する場合に注意が必要な話法だと認識しています。
小泉氏が事実を矮小化しているとは想定しえません。むしろしかるべき条件が整って停戦できることが望ましいのは、小泉氏を含めた誰もが共感できるYes論であることは、自明だと考えます。
挙句の果てに、小泉氏は「停戦を模索すべきではない、という立場」を取る、と曲解を重ねます。
この時点で、飯山氏は、あたかも無条件での停戦を勧告する立場をとっているように受け取れます。
案の定、批判の入り口から迷路にはまり込みました。
(もう、ネタだと思ってください、読み疲れた方、どうぞご退出を、私もすぐに退出します)

小泉氏への批判②:国連憲章

まだ読んで頂いて恐縮の極みです。
このあと、小泉氏の言説から以下を抽出して議論を展開します。
「これ(ロシアの侵略成功)を容認することは、国連憲章を定めた1945年より前に遡ってしまうことになる(筆者意訳)」

として、彼ら(恐らく飯山氏が標的にしている国際政治学者の皆様や、政治家、メディアなど?)は、頻繁に『国連』を持ち出し、国連中心主義だと批判されます。
そもそも「ロシアは国連の常任理事国だ。常任理事国が憲章違反しているのに、国連憲章違反で批判するのは無意味だ。彼らはそういうことには触れない」
本当に筆者の理解力では追いつけません。常任理事国が憲章違反を犯した今般の戦争において、安保理の機能としての限界または制約が露出したのは事実だと考えます。一方で『国連』総会決議などを通じて、ロシアを牽制する国際世論も示せたこと、世界からの支援の配分に国連機関が携わっていること、などを横に置き、常任理事国が憲章違反を犯したのだから、国連憲章を守る必要はないのだ、憲章を守るべきはロシアだと言え(としか受け取れない)論説は、、、言及を控えます。
批判はすれど代案がない言説を読み解くのは、時代を問わず疲れますね。

ここまで来ても、小泉氏の言説のどこが「ヘン」なのか、根拠が分かりません。

小泉氏への批判③:大戦前の世界に戻る懸念への批判

恐らく本丸です。しかし、小泉氏の主張というより、米欧日が支援を継続すること自体に、ご自身で問いかけを広げます。細かいことは除きますが、要点は
「各国支援と、ウクライナの継戦意思に、直接の因果関係はない」
それゆえ、小泉氏の議論は客観性もないし、破綻しているとの論です。
主張の妥当性に因果関係を持ち出すのは、国際政治という舞台を考えると極めて悪手としか言いようがありません。国内政治もしかりですが、事前の事象に照らして、事後の結果を分析する際に、相関関係を導くことができても、因果関係を導くことは、恐ろしく難しい問題だと考えます。
政治や経済活動を分析し提唱される主張の妥当性を判断する際には、因果関係の存在に依拠せずとも、一般的な自然法則に照らして妥当か、または蓋然性が充分に高い推論に依拠しているか、など必ずしも因果関係の証明を求めないことは極めて一般的な考えであると思います。
つまり、小泉氏の論が破綻しているとの批判は不当であると考えます。

加えて、各国支援が縮小すれば、ただでさえ武器補給の不十分さに困っているウクライナにとって、自衛のための戦闘を継続する意思以前に、継続が不可能になる物理的な現実が迫ることは明白で、直接的かは言明できませんが、支援と継戦能力の間には密接な因果関係(相関関係ではない)が存在することは自明であると考えます。この考えを証明する手段を筆者は持ち合わせませんが、現実的に妥当であると認識しています。

以降、何をかいわんや。察してください。
付け加えるように、ロシアの侵略が成功しても、大戦前に戻ることは自明ではないので、小泉氏の論理は破綻している、と預言者のような議論が展開されているわけです。
何段論法かわからないご説明をされますが、集約して繰り返します。
「彼の主張は因果関係もなく、説得力がない」

小泉氏批判なのか不明:ロシアの侵略に対する拒否スタンスのあり方

支援と継戦の因果関係の如何を横においても、ロシアの侵略を容認しない方法があると、主張されます。
「ロシアの侵略は容認しない。しかし、日本はもうウクライナにお金を出せないのだ」と伝える選択肢もある。
(筆者の心の声)
 なぜ、ウクライナに義捐金を送って支援されてらっしゃるのか?
 支援停止は、何をトリガに、誰が、どう判断し、宇国にどう伝えるのだ?
ウクライナ支援から撤退する際に生じ得るデメリット等の考察は提示されません。

さらに、「日本の予算にも限りがある」
財源論は誰にでもある程度響くトピックなので、批判記事としては必須の要素だと認知していたのですが、121億ドルのミスリードがあり、オウンゴールでマイナスなイメージを持ちます。

結び(没収試合…)

これ以降、怒涛のように、
国連憲章に違反しているのは、ロシアだけという小泉氏はおかしい
 ※小泉氏はそんなことは言っていない
だから小泉氏は、ウクライナを守りさえすれば、世界は救われるとする
 ※小泉氏は言ってないし、誰も思ってないでしょ。。。
小泉氏は言及しないが、イランやハマス、ヒズボラ、フーシも違反している(憲章違反?決議違反?論旨不明瞭)
 ※ところで、国連決議を無視し続けて批判が高まっている国ありません?

さらに、論理は飛躍を続けます
国際平和は分担すべきだ
①露宇戦争は、ヨーロッパが主体となり対処すべき(日本も支援はする)
②日本は、露中北に備えるべき
③米国の共和党も同様の考えだ
議論が発散し、
④ウクライナ支援(ロシアを抑止)をしても北朝鮮のミサイル実験は止まらない
⑤国益を前提に展開する議論は、異論を封じている。
(①・②は謎理論、③は露骨すぎ、④は論旨不明、⑤も意味不明)

①・②は露は日本にとっての重要な隣国ですが?日本の負担と自国の安全を守る責務を考えると、何が変わるのか不明です…
③やはり米国大統領選を頭に入れた、マーケット開拓ですか…
④北朝鮮のミサイル実験(演習)を止めるために宇国支援しているはずがない、論外。
⑤については、筆者の思いを込めて、
 「日本国民を馬鹿にしないでください」
と言いたい。

そんなこんなで、さらにROLESに難癖つけますが、筆者としての新たな気づきは相変わらずゼロです。
おさらいとして、以下の言説の整合を取った結論はいただけませんでした。

・飯山氏は日本のウクライナイ支援を支持する
・ウクライナ支援の収束時期を考える必要がある

なんだかんだで、前者を自ら否定し、結果として後者は論ずる余地がなくなった印象です。

もう、やめましょう。
飯山氏ご自身が設定したと思しきアジェンダについて、正面からの論証もないので、井戸端会議と揶揄されても致し方なし、と考えます。

書きたいこと、伝えたいことはもっとありましたが、自分の健康が第一なので、この辺で。
明日の仕事に備えて資料の整備をします。では。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?