見出し画像

B03)飯山陽氏「東大教授池内恵氏の珍妙な中東解説」(2024/02/10)の感想:絶句

パレスチナ問題に対する姿勢

お読みいただいた、皆様にお詫びいたします。
拙稿B01/B02では、飯山氏の主張に対する筆者の所感を、可能な限り丁寧に論じたつもりでした。

その後、有料で展開される氏の別記事を購読すべきか/すまじかと、逡巡しておりましたが、清水の舞台に300円を握りしめ、そこから飛び降りる覚悟で、掲題の記事を購読いたしました。
しかしながら、飯山氏の2024年2月10日の当該記事は、導入部で躓いてしまい、適切な論考もできませんでした。改めてお詫び申し上げます。


パレスチナ問題に対する姿勢

飯山氏の記事は、以下の東京大学池内教授のインタビュー形式の記事から、言説を引用しながら議論を展開されています。

飯山氏のnoteでは、東京大学の文書から、以下のセンテンスを抜粋されています。

1948年にイスラエルが建国を一方的に宣言すると、それを認めないパレスチナ人と周辺のアラブ諸国がイスラエルに割り当てられた領域に侵攻し、第1次中東戦争(1948~1949年)が勃発しました。この戦争に勝利したイスラエルは、パレスチナ分割決議の提案をはるかに超える土地を領土としました。その結果、多くのパレスチナ人は居住地を追われ、難民となりました。

https://note.com/iiyamaakari/n/n0a18b7a24a9a?after_purchase=true&scrollpos=paywall(飯山氏)、https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z0405_00026.html(元記事)

これを受けて、飯山氏は以下のように論じます。
注)購読料を無駄にしたかも?との筆者の思いもあり、参照が雑な可能性があります。あらかじめご容赦ください。

「イスラエルが悪い」論者は、起点をシオニズム運動やイスラエル建国に求め、そこで「イスラエルが悪い」ことが絶対的に決定されたので、それ以降は未来永劫、なにがなんでも「イスラエルが悪い」と演繹的に断定する。

しかしイスラエルやユダヤ人は、自らの起点を3000年以上前に求める。紀元前11世紀にはイスラエルの地にイスラエル王国があったことは、旧約聖書に記述があるだけでなく、考古学的にも確認されている。

彼らはここに住む権利があると主張できるわけです。

飯山陽氏 「東大教授池内恵氏の珍妙な中東解説」(2024/02/10)有料noteより

中東に関する何らかの専門家を称される飯山氏の言説として、パレスチナ問題の根源を3000年前に設定する姿勢には、愕然とするよりほか、ありません。

筆者の理解としては、聖書に描かれるカナンの地は、ユダヤ教徒にとって特別な地域であることに間違いはないと解釈します。
ただし、19世紀末に勃興したシオニズム運動が、2度の世界大戦の期間に活発化し、それを利用した西欧列強の思惑も無視してはならないと考えます。
筆者の私見ですが、イスラエル人としてTVやネットニュースなどの媒体で見かける方々に、欧州の白人的な特徴を持っている方も多々いる印象も注記いたします。

一方で、3000年前の伝承をもとに、パレスチナ地域の人々を駆逐して形成されたイスラエル建国の歪さを除外して、約束の地へのシオニズム的発想に依拠して「彼らはここに住む権利があると主張できるわけです。」と説明される飯山氏の見解には大いな疑問を感じます。

今回購読した記事のうち、恐らく1/4も目を通していませんが、眩暈がしたので、そっと記事を閉じました。

なお、素人の主張ですが、パレスチナ問題は宗教問題ではなく、難民・移民・土地・領土の問題である、が筆者の認識です。加えて言えば、現今のパレスチナ問題の起点を、2023/10/07が起点であるかに集約して単純化する姿勢も、数千年前からの因果であると説明する姿勢も、どちらも現実問題を解決する姿勢として不誠実と考える次第です。パレスチナ問題を宗教論争に帰結するような言論は、国際平和や我が国の国益に叶わないものと考えます。

飯山氏の有料記事の購読は、当面控えます。
以上です。

一応の続編


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?