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また明日。#シロクマ文芸部

『ありがとう』と声にならないあなたの瞳がささやいた。
もう動かないあなたの右手をわたしの胸に引き寄せて、返事の代わりにわたしの右の指先があなたの頬に優しくそっと触れてゆく。

巡り行く季節がつむじ風のようにわたしを悩ませて通り過ぎていく。涙に枯れたのはほんの一握りの出来事だったのに、あなたと過ごした美しい季節までわたしからかすめっていく。途方に暮れるわたしの思考は留まったままもう何も考えまいと淀んでいる。
幼い時に怪我をした傷が未だに鈍く痛むのはなぜなんだろう?きっと痛いのは傷だけではないのかもしれません。

目を開けたままで微睡むあなたに
「瞳を閉じて、もう寝てもいいんだよ。」と応えてから
わたしは少しだけ前を向く。「ありがとう、また明日。」





久しぶりにシロクマ文芸部のお題に参加することが出来ました。


1ヶ月ぶりのnote投稿です。文章を書くのにどうやらリハビリが必要なわたしです。兎にも角にも優しい街noteに戻れてよかった。
ご活躍中のnoteクリエーターの皆様の記事を拝読しに伺うがいます。
皆様の記事を読むのがとても楽しみです。
これからもどうぞよろしくお願いします。

タイトルのイラストは
平林マナ様のイラストを使わせていただきました。
平林マナ様 ありがとうございます。





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眠れない夜に

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