自分の心に着火せよー成田修造氏×circleインタビュー
暮らしを多様化することで、一人一人が自身の軸を見出すためのサードコミュニティを作っていくーそんなビジョンを掲げる、暮らしのサービス「circle」。
今回のnoteは、circleの事業立ち上げにあたってサポートしていただいていた元クラウドワークスCOOの成田修造氏とcircle事業代表紺谷の対談インタビューです!
まさに直近、”起業家精神”をテーマにした書籍を出版した成田さん。
起業家精神、事業づくり、教育のあり方、人材育成、そして「リスクをとってチャレンジすること」について・・・限られた時間でしたが、様々に二人でお話ししました。是非ご覧ください!
【成田修造氏 プロフィール】
スタートアップを起業するだけが「起業」ではない
ー紺谷(以下、聞き手は紺谷)『14歳の時に教えてほしかった 起業家という冒険』買って読みました!(笑)
”起業”を、狭義の起業の話に留まらず、副業や転職・社内起業なども含めて話されているのがとても良いと思いました。
”とりあえず起業してみよう”ではメッセージが限定的になってしまいますし、もっと幅広い感じにしたかったんです。多くの人に共通する、共感してもらえるような本の内容にしたつもりです。
独立という形でも全然良いし、フリーランスになるのも良い。クラウドワークスはそういう働き方を広めようとしていますしね。
ーそもそも”起業家精神”という言葉は、起業することそのものではなく、自ら最前線に立ち、リスクをとって挑戦し、世の中に何か生もうとすることそのものだと私も以前から考えていました。なので、いわゆる”起業”だけではなく、副業や転職なども含めて色んな「挑戦の形」が本の中に書かれていたのがとてもしっくりきました。
起業はいわゆる”スタートアップを起業する”というだけではなく、色んな選択肢がありますよね。自ら何かを興している人を見ると、皆さん自分で自分の人生を充実して生きているように見えます。挑戦することにリスクはもちろんありますが、それ以上に大きなリターンがあるんだと思います。
昔より起業のハードルはとても下がったと思うので、そういう選択肢がもっと広がるといいな、と思っています。
親として子どもにできるのは「初期環境のセット」くらい
ー以前よりお聞きしていたことではありますが、この本にも記載がある過去の家庭環境についてです。前から思っていたことで、家庭環境が良くないと一般的には子どもの成長や人生によくない影響が出てしまうことのほうが多いと思っていたのですが…成田さんが大変な中でも自分なりに、「何とか自立してやっていこう」と前向きに進んでこれたのはどうしてなんでしょうか。
決して自分が親に直接的に攻撃されたわけではないですし、何か嫌なことを強制されたわけでもなかった、からじゃないですかね。何か強いられたなとか、何か言われたなとか、そういう思い出すら僕にとってはないんですよ。もし、親に何かを「やれ」と強制されたのであれば、ぐれてしまうこともあり得るのかなと思うんですが、僕はそういう状況ではなかった。父が失踪し母も倒れてしまい、当時は兄弟で何とか生きていくしかなくなりましたが、制約条件が増えるだけで自分の何かが奪われたわけではないという感覚でした。他の誰かに期待するのではなく、自立しなければならないと強く感じたきっかけでした。
ー「今思えば両親は”共依存”の状態だった」と、冷静に過去の両親の姿を考察している記述がありますね。
単純に仲が良い・悪いではなく、少し歪んでいたんだと思います。子どもの僕以上に、母のほうが父が去って辛かったんだろうなと思います。何事にもとらわれないようにしないといけない、と尚更思いますね。難しいことですが…
”親”という存在がその人にとって大きすぎると、あまりいいことがないのかもしれません。
僕自身も現在子育てをしているわけですが、親ができることは初期環境のセットくらい。いきなり「自分が好きなようにやってみなよ」と子どもに伝えたところで、やり方もわからないでしょうし、情報も不足しているので、土台となる環境の準備は大切だと考えています。ただ、本当に親として子にできるのはそれくらいなんじゃないかな、と思っています。
昔の戦時下の日本を考えると、徴兵があったので国として国民に特定の教育や訓練を指示する時代があったかもしれません。でも今はそのような時代ではない。親が子を、人が人をコントロールしようとしてしまうのは、僕は戦時下の名残からくるものだと思っています。
会社における人材育成も同じだと僕は考えています。「最初の採用時点でほぼ8割決まる」と時々言いますが、僕もそう思います。そもそも会社に入る前から心の底から頑張りたいと思っているのかどうか。後から育成してコントロールしていくことは基本的には難しいと考えています。人材育成においてできることは、その人の環境をちょっとずつ変えてあげたり、時には提示してあげたり…それくらいしかできることはないんじゃないでしょうか。やっぱり、最終的には自分自身で自分の意志に気づいて、着火するまで待つしかない。自分で自分の心に火をつけられるように、何度も何度も試すしかない。それを他の人がコントロールすることは不可能だと思います。
バラつきはもちろんありますが、0~10歳の10年間で成長しない人はいないですよね。これは20代でも、30~40代でも変わらないと僕は考えています。あらゆるものを、そういう目線で見たほうがいい。長い目で見て絶対に成長するので、長い目で見た人材育成や組織設計ができる会社は強いと思います。
自ら心に「着火」せよ
ー誰しもに、自分の心に自ら”着火する”タイミングがあると思いますか?
ほとんどの人にあると思いますよ。ただ訪れるタイミングは人それぞれですし、着火しないまま人生が終わる場合もあると思っています。
心に火を、情熱や意思を持っている人の周りに行かないと気づけないことが多いんじゃないですかね。スタートアップや起業が良いのは、そういう”着火”している人が周囲に圧倒的に多いことです。
ー「リスクをとって挑戦する」ということについても改めてお聞きしたいです。
リスクを取ることは本当に大事です。コストや時間をかけてリスクをとると、必ずリターンがあると思います。
リターンがなかったとしても、リスクを取れたということ自体が価値ですよね。紺谷さんの社内起業も、良い形のリスクテイクだったと思います。
リスクを取りたくないと考える人は、決して保守的なわけではなく、リスクをとる事で得られる面白さを知らないだけなんじゃないでしょうか。
「日本人は保守的だ」とよく言われたりしますが、僕は決してそうは思いません。小さな島国なのに、アメリカなど世界の他国と自分たちのことを対等に捉えているじゃないですか。それってすごくチャレンジングな姿勢だと思いませんか?その一方でその自覚は弱く、自分たちのことを「保守的」だと思っている。なので、皆が「自分たちはもっとできる」と思うようになれば、国全体でもっともっとできると思っています。本質的に”頑張れる”民族だと思うんです。
リスクをとってチャレンジするのに、足りないのは情報ともいわれてきましたが、そこがちょっとずつ変わってきています。東大生が起業したり、政府もスタートアップに関して施策を積極的に打つようになっています。クラウドワークスの中にも、きっと「事業を興してみたい」という人が増えているんじゃないでしょうか。
ー私は事業を始めてから、高校など学校に呼ばれて「事業を立ち上げようと思った経緯について語ってほしい」と登壇依頼を受けることが時々ありました。その際、高校生の皆さんに「将来どんな仕事をしてみたいか」と聞くと、「~のテーマで起業したい」「自分で事業を創れるようになりたい」と話す生徒が多く、とてもびっくりしました。
1人1人が、皆がよりチャレンジしたいと思えるようになるには、世の中に成功事例を沢山つくるのが一番です!それをみて動く人がきっと増えます。
ー私自身事業を成功させて、「リスクをとって挑戦することは面白い」といろんな人に思ってもらえるように日々精進していきたいと思います!
成田さん、ありがとうございました。