小永りゅーじん

日々を描く|本をつくる

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記事一覧

ひび|2024.05.02

今まさに訪れようとしていたお店からオーナーが出てきて、目の前で鍵を閉めて出かけてゆくのを見てぽかーんとしてしまった。(そんなことある?)って口の中でちいさく呟い…

二〇二四年四月

四月さいごの朝、いつもどおり「いってくるね」と声をかけたけれど、返事はなかった。ひとり玄関でクツをはき、扉を開け、鍵をしめる。真っ白にひかる空から、音もなく雨が…

ひび|2024.04.16

日に日に、職場のビルをでたときの空の明るさが増している気がする。 きょうはお弁当を済ませたあと、隣駅くらいまで足をのばして、何するでもなくぶらぶらと散歩をした。…

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二〇二四年三月

特急列車の窓辺で日光浴するiPhoneのまっくろな画面に、まぶしく晴れた空をゆく白い雲や、電線たちが映っている。この子もうれしいんじゃないかな。ふだん、いろんなものを…

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ひび|2024.03.30

目が覚める きょうは、ちゃんと朝のうちに起きようとおもっていた でも毛布の柔らかさがここちよくて すこしだけこのまま、まどろんでいることにした いつもはまた目が覚…

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ひび|2024.03.11

寝癖がなおらない。櫛をかけておさまったかとおもったら、すこし歩いて軽く風にあたっただけでふわっふわに広がってくる。きのう、眠れなくて遅くまでiPhoneをいじっていた…

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二〇二四年二月

ある夜、濁った鈍い頭で電車を待ちながら漫然とiPhoneをいじっていたら、いやにニコニコした男の人が声をかけてきた。なんて言っているのか、さいしょ全然聞きとれなくて返…

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ひび|2024.02.26

生活にすっかり疲れている。 晴れた嵐。窓の外で唸る風。暴れ狂う洗濯物。それでも、おそるおそる外に出てみて思ったより寒く感じないのは、二日ぶりの陽射しのおかげか、…

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ひび|2024.02.11

いつもの電車に乗って、いつものようにドア横にもたれて、いつものように文庫本をひらく。でもふいに車窓に目をやって、飛び込んできた景色はいつもよりまぶしかったし、あ…

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二〇二四年一月

夢。 ブラームス〝ドイツ・レクイエム〟の、パート練習をしている。 わたしは経験者なのにさっぱり歌えなくて、みんなの後ろでまごまごしている。 そばにパート・リーダー…

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ひび|2024.01.05

渋々起きあがった。冷凍ごはんをチンして、きのうの豚汁をあたためる。黄色いロウみたいになったラードたちが、すぐにきらきらなスウプに変わってゆく。みかんを皮ごと半分…

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ひび|2023.12.31

夢をみた。 美しい、大きな川のみえる家に住んでいる。あたりは一面、田んぼと、ポツポツみえる真っ黒な民家だけ。二階の窓から、電線の上におおきな、見慣れない鳥がとま…

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【日々】彷徨う|二〇二三年十一月

二〇二三年十一月五日 中央線に乗り換える。そこでふと自分の前に電車に乗り込んだひとの背中に妙に見覚えを感じる。なんとなく流れでそのひとの向かいに座ってみて、ちょ…

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【日々】フェイクファーの夜|二〇二三年十月

二〇二三年十月十三日 なんとなく書けない日がつづく。 心動いても書き残す気持ちにならない。 そもそもほとんど動かないし。 日々、最低限のことしかできない。 ギター…

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秋・二〇二三

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【日々】仲間がほしかった|二〇二三年十月

二〇二三年十月二日  朝方、何度かうっすら目が覚めた気がする。昨晩、扇風機の風量をすこし強くしすぎて、風が冷たい。でも起きあがってそれを調整する気力はなくて、う…

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ひび|2024.05.02

ひび|2024.05.02

今まさに訪れようとしていたお店からオーナーが出てきて、目の前で鍵を閉めて出かけてゆくのを見てぽかーんとしてしまった。(そんなことある?)って口の中でちいさく呟いて、所在なくそのままどこへゆくともしれずうろうろしてしまうくらい動揺した。あまりにも見事すぎて。一度伺ったことはあったけれど、またじっくり見にいきたいなあとずっと思いながら予定がことごとく合わず、たまのチャンスにはピンポイントで臨時休業だっ

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二〇二四年四月

二〇二四年四月

四月さいごの朝、いつもどおり「いってくるね」と声をかけたけれど、返事はなかった。ひとり玄関でクツをはき、扉を開け、鍵をしめる。真っ白にひかる空から、音もなく雨がふっている。肉眼でたくさんの雨粒が降りしきるのがみえているのに、傘はまったく歌わない。風がさやさや抜けてゆく。きのう今日と、なんてうつくしい朝だろう。咲き乱れるツツジのショッキング・ピンクが、植え込みからアスファルトにまであふれて、こぼれお

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ひび|2024.04.16

ひび|2024.04.16

日に日に、職場のビルをでたときの空の明るさが増している気がする。

きょうはお弁当を済ませたあと、隣駅くらいまで足をのばして、何するでもなくぶらぶらと散歩をした。週末に友だちといっしょに行こうと思っているお店を下見したり、百貨店を冷やかしついでにキレイなトイレで一息入れたりした。まあ、さぼりだ。既定の休憩時間はゆうにはみ出している。でも、このあと四月からの新入社員がわたしのはたらくチームに研修に来

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二〇二四年三月

二〇二四年三月

特急列車の窓辺で日光浴するiPhoneのまっくろな画面に、まぶしく晴れた空をゆく白い雲や、電線たちが映っている。この子もうれしいんじゃないかな。ふだん、いろんなものをここに煌々と映し出しているけれど、なにもしていない今の姿のほうが、ずっとうつくしい。



月頭は雪でも降るのかってくらい寒くて、キーボードをたたく指もかじかんでうまく動かない。そんなときにポストに落ちた、珈琲豆のたっぷり詰まったひ

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ひび|2024.03.30

ひび|2024.03.30

目が覚める

きょうは、ちゃんと朝のうちに起きようとおもっていた
でも毛布の柔らかさがここちよくて
すこしだけこのまま、まどろんでいることにした

いつもはまた目が覚めてしまったことにうんざりして
新しい一日が始まるのがイヤで
閉じこもるような気持ちで丸まっていることが多いのだけれど
きょうはすこしだけ特別だから
いつもよりもずっと、しあわせなまどろみ



街をあるく

びっくりするくらい春め

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ひび|2024.03.11

ひび|2024.03.11

寝癖がなおらない。櫛をかけておさまったかとおもったら、すこし歩いて軽く風にあたっただけでふわっふわに広がってくる。きのう、眠れなくて遅くまでiPhoneをいじっていたせいかなと思い返して、あれ、でも下にしていたのは癖のついてる方と逆側だったはず。なんでこんな、どうにもならなくなっちゃってるのさ。一日ずっと、江戸川コナンみたいな髪で過ごす。

14時40分ごろ、ふと気がついた。46分になったところで

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二〇二四年二月

二〇二四年二月

ある夜、濁った鈍い頭で電車を待ちながら漫然とiPhoneをいじっていたら、いやにニコニコした男の人が声をかけてきた。なんて言っているのか、さいしょ全然聞きとれなくて返す言葉が見つからなかったのだけれど、三度目くらいでようやく「ギンザ・ライン」という単語が聞き取れた。銀座線のナニガシという駅にいきたいみたいだ。今いるのはJRのホームだから……構内の案内表示の、黄色いマルに「G」のマークを示して、とり

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ひび|2024.02.26

ひび|2024.02.26

生活にすっかり疲れている。

晴れた嵐。窓の外で唸る風。暴れ狂う洗濯物。それでも、おそるおそる外に出てみて思ったより寒く感じないのは、二日ぶりの陽射しのおかげか、それともきのうの羽田の凍りつくような雨の厳しさを身体が憶えているからか。青空に梅が映える。

淡々とはたらく。いい仕事はしたとおもう。褒めてもらっても、心はもうあんまり動かない。契約を更新するために判をおす。またしきりに褒めている。何も感

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ひび|2024.02.11

ひび|2024.02.11

いつもの電車に乗って、いつものようにドア横にもたれて、いつものように文庫本をひらく。でもふいに車窓に目をやって、飛び込んできた景色はいつもよりまぶしかったし、あんな看板あったっけって、今更はじめてみたような気持ちがする。空がとにかく、蒼い。目の前に立っていたオバサンは駅に着くやいなや上り方面へ向かってピョコピョコせわしく首を動かして落ち着かない。降りるわけでもなくまた車内に戻って、しきりにまたピョ

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二〇二四年一月

二〇二四年一月

夢。
ブラームス〝ドイツ・レクイエム〟の、パート練習をしている。
わたしは経験者なのにさっぱり歌えなくて、みんなの後ろでまごまごしている。
そばにパート・リーダーが寄ってきたので、たまらずにスマン、とこぼした。かれは、苦笑いしていた。リーダーは、けんか別れしたかつての友人だった。



「3」が「4」にカウントアップしてほどなく、内臓をゆらゆらと遠心分離にかけるように、長くきもちわるく大地が揺れ

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ひび|2024.01.05

ひび|2024.01.05

渋々起きあがった。冷凍ごはんをチンして、きのうの豚汁をあたためる。黄色いロウみたいになったラードたちが、すぐにきらきらなスウプに変わってゆく。みかんを皮ごと半分に割って、ふたつみっつくらいの房をまとめて口に放り込む。幼い頃はみかんのすじをなるべく綺麗にとらないと、のどにひっかかりそうで怖かったのをおもいだす。コーヒーを淹れて、シャツにアイロンをかける。

先日わたしの本を買ってくれたKさんから、う

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ひび|2023.12.31

ひび|2023.12.31

夢をみた。

美しい、大きな川のみえる家に住んでいる。あたりは一面、田んぼと、ポツポツみえる真っ黒な民家だけ。二階の窓から、電線の上におおきな、見慣れない鳥がとまっているのをあーちゃんが教えてくれる。家の中は古い面影を残していて、暗い和室のひっそりとした畳の目をおぼえている。

予報より天気が良くなったので、洗濯物を干す。人でごった返すスーパーで最低限の買いものをすませたら、トイレとお風呂を掃除し

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【日々】彷徨う|二〇二三年十一月

【日々】彷徨う|二〇二三年十一月

二〇二三年十一月五日

中央線に乗り換える。そこでふと自分の前に電車に乗り込んだひとの背中に妙に見覚えを感じる。なんとなく流れでそのひとの向かいに座ってみて、ちょっと可笑しくなってしまった。知り合いでも何でもなく、でもたしかにこの男の人と同じ駅からいっしょに乗り込んで、しかも向かい合わせに座ったことが以前にもあったというだけ。どうして覚えているかって、その男の人の顔かたちとか、頭にちょこんとのった

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【日々】フェイクファーの夜|二〇二三年十月

【日々】フェイクファーの夜|二〇二三年十月

二〇二三年十月十三日

なんとなく書けない日がつづく。
心動いても書き残す気持ちにならない。
そもそもほとんど動かないし。
日々、最低限のことしかできない。

ギター弾けたらいいだろうなあとふと、おもった。きのうInstagramでみた浮さんみたいに、風に吹かれながら、どこでも自由にすきなものが歌えたらどんなに良いだろう。武蔵境から乗ってきたギターケースをかかえた女の子の、口元に浮かぶやわらかい微

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【日々】仲間がほしかった|二〇二三年十月

【日々】仲間がほしかった|二〇二三年十月

二〇二三年十月二日

 朝方、何度かうっすら目が覚めた気がする。昨晩、扇風機の風量をすこし強くしすぎて、風が冷たい。でも起きあがってそれを調整する気力はなくて、うすい毛布にくるまってしのぐ。となりのあーちゃんが時折お手洗いに立つのを感じながらうつらうつらする。

 ゴミ出しに玄関をあけるとひんやりした風。秋というよりちょっと冬のにおいすら感じる。ヨーグルトをたべる。このところ、眠れずに苦しむ夜が減

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