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SFの巨匠レムさんの初期作品集「火星からの来訪者」

<文学(93歩目)>
SFではないレムさんの才能に触れる作品集です。「火星からの来訪者」「ラインハルト作戦」「ヒロシマの男」が熱かったです。

火星からの来訪者: 知られざるレム初期作品集 (スタニスワフ・レム・コレクション)
スタニスワフ・レム (著), 沼野充義 (翻訳), 芝田文乃 (翻訳), 木原槙子 (翻訳)
国書刊行会

「93歩目」はSF界の巨匠スタニスワフ・レムさんの最初期の作品集で、80年近く前に書かれていますが、素晴らしいです。

6作品がおさめられていますが、特に「火星からの来訪者」「ラインハルト作戦」「ヒロシマの男」が直近の第二次世界大戦を経験されての作品であり、今もとても感じ入りました。

「火星からの来訪者」
人間の思考ではうかがい知れない「第三者」としての異星人の切り出し方が秀逸です。
その後の「ソラリス」等につながるレムさんの考えが伝わります。
この作品のみ「SF」だと思います。

「ラインハルト作戦」
おそらくレムさんが「見た」、ナチスドイツによる「収容所への移送」が不条理とともに描かれている。

「ヒロシマの男」
原子爆弾の「爆発」についての作品で、戦後最初期に原子爆弾を描いている。
戦争のやりきれなさが描かれている。

レムさんの作品に流れる「諦観」は、やはり第二次世界大戦での経験が大きく影響していると感じました。

他のレムさんの作品同様に、直接的ではなく「難解」なところありますが、SF者以外にもおススメできる作品です。

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