読書ノーツ

高校・大学時代は山岳部。趣味は登山・読書です。 「愛(love)」がたっぷりで、面白い…

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高校・大学時代は山岳部。趣味は登山・読書です。 「愛(love)」がたっぷりで、面白いと思った本を投稿します。 守備範囲は文学とSF、そしてエンターテインメントです。

マガジン

  • 「愛(love)」を感じるSF作品

    読んで、深い「愛(love)」を感じたSF作品です。あたたまりました。

  • アメリカ的な本

    私の主観なのですが、アメリカ的な本を集めました。

  • 「愛(love)」を感じる文学作品

    読んで、深い「愛(love)」を感じた文学作品です。

  • ヨーロッパ的な本

    私の主観なのですが、ヨーロッパ的な本を集めました。

  • 中国的な本

    私の主観なのですが、中国的な本を集めました。

最近の記事

バイオもの、そして表題通り母子もの「マザーコード」

<SF(87歩目)> パンデミックを経験した今だから理解できるバイオ兵器の致命的な問題点を考えさせられます。 マザーコード キャロル・スタイヴァース (著), 金子 浩 (翻訳) 早川書房 「87歩目」は、キャロル・スタイヴァースさん。 この作品で初めて読みました。 この作品はコロナ禍の時に読み進みました。「アフガニスタン」「バイオ兵器」という設定は、日本の作品でも多い。 その中で、終末を迎える人類に希望は子どもたちというのもかなり多い。そして子どもたちをAIが教育す

    • 歴史史料への取組みが作品に昇華した「HHhH: プラハ、1942年」

      <文学(87歩目)> プラハの街を舞台にした抵抗運動家たちのナチスNo.3の暗殺の事実を読む。 HHhH: プラハ、1942年 ローラン・ビネ (著), 高橋 啓 (翻訳) 東京創元社 「87歩目」は、ローラン・ビネさんの歴史を徹底的にサルベージしての研ぎ澄まされた作品。 ナチスNo.3の男ハイドリヒ・ヒムラーの暗殺計画にかかわる歴史をよくここまで調べ上げたと感心しました。(クラブの周年誌である「登山史Ⅱ」の編集委員会の末席で作業をしていて、ローラン・ビネさんの発掘方法

      • 安定のコニー・ウィリスによるSFラブロマンス「クロストーク」

        <SF(86歩目)> 早川書房と大森望さんの安定のコニー・ウィリスさんの作品。全く無駄がない。そして、これからの「コミュニケーション」を考えさせられます。 クロストーク 上 コニー・ウィリス (著), 丹地陽子 (イラスト), 大森望 (翻訳) 早川書房 クロストーク 下 コニー・ウィリス (著), 丹地陽子 (イラスト), 大森望 (翻訳) 早川書房 「86歩目」は、コニー・ウィリスさん。 上下二冊と分冊でいつものように分量が多いコニー・ウィリスさんですが、安定の水準

        • 不器用な「愛(love)」から「黄金の少年、エメラルドの少女」

          <文学(86歩目)> 「不器用な愛(love)」の短篇から人生を考えてみる。 黄金の少年、エメラルドの少女 イーユン リー (著), Yiyun Li (原名), 篠森 ゆりこ (翻訳) 河出書房新社 「86歩目」は米国在住の中国人作家、イーユン・リーさんの短篇集。 ノーガードで何気に手に取ったのですが、素晴らしいでした。 「優しさ」「獄」「女店主」「「花園路三号」「流れゆく時」が特に心を突いて良かった。 「優しさ」 兵役に赴く女性たちの物語。私は軍隊生活の中での魏(

        バイオもの、そして表題通り母子もの「マザーコード」

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        • アメリカ的な本
          40本
        • 「愛(love)」を感じるSF作品
          87本
        • ヨーロッパ的な本
          64本
        • 「愛(love)」を感じる文学作品
          87本
        • 中国的な本
          28本
        • 日本的な本
          35本

        記事

          久しぶりに「ゾクゾク」な「妄想感染体」

          <SF(85歩目)> 早川さん、おそらくホラーSFが次のブームとして仕込まれているのかも? 少なくも1人、「重症」の感染者になりました。(笑) とにかく読ませてくれる作品です。 妄想感染体 上 デイヴィッド・ウェリントン (著), 中原 尚哉 (翻訳) 早川書房 妄想感染体 下 デイヴィッド・ウェリントン (著), 中原 尚哉 (翻訳) 早川書房 「85歩目」は、デイヴィッド・ウェリントンさん。 上下二冊と分冊で「妄想感染体」は手に取ることを躊躇する大作だと感じて読み始

          久しぶりに「ゾクゾク」な「妄想感染体」

          人間の本質を見つめる「犯罪」

          <文学(85歩目)> 刑事専門弁護士の目から見た「犯罪」の数々から、人間の本質を見つめる。 犯罪 フェルディナント・フォン・シーラッハ (著), 酒寄 進一 (翻訳) 東京創元社 「85歩目」はドイツの短篇の名手の作品。刑事専門弁護士としての経歴がとても生きている。 フェルディナント・フォン・シーラッハさんの作品でいちばん売れた作品とのこと。 どの作品もとても短いが、それぞれ味わいが濃い。人間がちょっとしたきっかけで転落してしまう生きものであることが丁寧に描かれている

          人間の本質を見つめる「犯罪」

          オウムアムアみたいな天体が接近したら。。。「最後の宇宙飛行士」

          <SF(84歩目)> 「宇宙飛行士」も普通の人間です。超エリートで失敗が100%無い神話からはこの作品は生まれなかった。逆に、あり得る「ファーストコンタクト」としてはいい感じです。 最後の宇宙飛行士 デイヴィッド・ウェリントン (著), 中原 尚哉 (翻訳) 早川書房 「84歩目」は、デイヴィッド・ウェリントンさん。 ちょっと「妄想感染体」とこの「最後の宇宙飛行士」は現代アメリカの気分がつかめてよかったです。 また「ファーストコンタクト」にかかわる描写は「エイリアン」か

          オウムアムアみたいな天体が接近したら。。。「最後の宇宙飛行士」

          法哲学や歴史を学ぶ「珈琲と煙草」

          <文学(84歩目)> フェルディナント・フォン・シーラッハのエッセイは法哲学や歴史を学べる。 珈琲と煙草 フェルディナント・フォン・シーラッハ (著), 酒寄進一 (翻訳) 東京創元社 「84歩目」はこの本は、シーラッハさんのエッセイ。法哲学にかかわる考え方や、経験がわかる。ファンとしては手もとに置いて再読したい。おススメです。 好き好きあると思います。法哲学にかなり入っているので、法学部の私にとってはとても興味深い。 しかし、様々な学説の中での「考え」でもあり、一般的

          法哲学や歴史を学ぶ「珈琲と煙草」

          短篇集で、どれも読ませてくれる「走馬灯のセトリは考えておいて」

          <SF(83歩目)> 売れるSF小説の法則を押さえていて脱帽です。 走馬灯のセトリは考えておいて 柴田 勝家 (著) 早川書房 「83歩目」は、キャラが際立つ柴田勝家さんの短篇集。 どれも、読ませてくれると同時に柴田さんの守備範囲の広さに驚きました。 6篇おさめられているのですが、2篇 「走馬灯のセトリは考えておいて」 この題名からだとわかりませんでした。どんどん高齢化社会の進む日本にとって新たな「終活」問題を問う作品です。 そして、ご自身の趣味も大きく取り上げられ

          短篇集で、どれも読ませてくれる「走馬灯のセトリは考えておいて」

          戦争犯罪の総括のしかた「コリーニ事件」

          <文学(83歩目)> 戦争犯罪の総括のしかたを研ぎ澄まされた小説から学ぶ。 コリーニ事件 フェルディナント・フォン・シーラッハ (著), 酒寄 進一 (翻訳) 東京創元社 「83歩目」は戦争犯罪の総括を新しい切り口で学ぶ、とても斬新な作品です。 フェルディナント・フォン・シーラッハさんの作品を一気読みしていて感じたこと。 これは、犯罪にかかわる様々な切り口の中で、刑事事件弁護士の視点で切り出す手法です。 私の読書の中での「犯罪もの」というと、「にわか」であることもある

          戦争犯罪の総括のしかた「コリーニ事件」

          壮大な世界設定を素直に楽しむ「2312 太陽系動乱」

          <SF(82歩目)> 読むと、何故か「星を創る者たち 谷甲州」を思い出させた。それくらい、「水星」にかかわる描写がリアルです。 2312 太陽系動乱〈上〉 キム・スタンリー・ロビンスン (著), 加藤 直之 (イラスト), 金子 浩 (翻訳) 東京創元社 2312 太陽系動乱〈下〉 キム・スタンリー・ロビンスン (著), 加藤 直之 (イラスト), 金子 浩 (翻訳) 東京創元社 「82歩目」は、キム・スタンリー・ロビンスンさんの作品で、「レッド・マーズ」「ブルー・マー

          壮大な世界設定を素直に楽しむ「2312 太陽系動乱」

          極めてテクニカルなシーラッハさんの作品「禁忌」

          <文学(82歩目)> 緑、赤、青が一つになると白になる。光の三原色を章に使い、人間の本質をテクニカルに描いた作品に耽溺する。 禁忌 フェルディナント・フォン・シーラッハ (著), 酒寄 進一 (翻訳) 東京創元社 「82歩目」はドイツの短篇の名手のフェルディナント・フォン・シーラッハさんによるこれもまた斬新な試み。 連続して一気読みしているのですが、ハズシが無い。そして、色々な手法がとても刺激的。 一気に極東の島国の一ファンになってしまいました。 「犯罪」もの。「法

          極めてテクニカルなシーラッハさんの作品「禁忌」

          SF作品ですが、丁寧な心情描写が素晴らしい「クロノリス-時の碑-」

          <SF(81歩目)> 2001年に2021年を描いた作品、現実が追い抜いているが、2040年を考える上に読ませる作品です。 クロノリス-時の碑- ロバート・チャールズ・ウィルスン (著), 茂木 健 (翻訳) 東京創元社 「81歩目」は、ロバート・チャールズ・ウィルスンさんの作品は、SF作品ど真ん中ですが、それ以上にうまくいかない人生に悩む主人公に感情移入してしまった。(笑) それくらい、設定は地球規模の災いであるが、小さな人間関係が読ませてくれる。 文系的なまとめで

          SF作品ですが、丁寧な心情描写が素晴らしい「クロノリス-時の碑-」

          「トロッコ問題」を深く考える「テロ」

          <文学(81歩目)> 倫理学上の問題である「トロッコ問題」を深く考えてみる。 テロ フェルディナント・フォン・シーラッハ (著), 酒寄 進一 (翻訳) 東京創元社 「81歩目」はドイツの短篇の名手のフェルディナント・フォン・シーラッハさんによる戯曲形式による斬新な試み。 表題に惹かれて読んだが、これは「テロ」対策において、テロリストを利さないために取りうる選択の結果を法廷劇により読者に考えさせる。 何時ものように無駄を徹底的に省くことにより本質的な問題点が浮かび上が

          「トロッコ問題」を深く考える「テロ」

          「折りたたみ北京」よりもページ数が増えて多様性も勝る「金色昔日」

          <SF(80歩目)> 中国の素晴らしき才能に溺れる。 金色昔日【こんじきせきじつ】: 現代中国SFアンソロジー ケン・リュウ (編集), 大森 望 (翻訳), 中原 尚哉 (翻訳), 大谷 真弓 (翻訳), 鳴庭 真人 (翻訳), 古沢 嘉通 (翻訳) 早川書房 「80歩目」は、ケン・リュウさんによるアンソロジーでとてもおススメです。沢山の極上の作品がおさめられています。 序文/ケン・リュウ おやすみなさい、メランコリー/夏笳(シアジア) 月の光/劉慈欣(リウ・ツーシン

          「折りたたみ北京」よりもページ数が増えて多様性も勝る「金色昔日」

          無駄のない文体から人間の本質を理解する「刑罰」

          <文学(80歩目)> 刑事専門弁護士の目から見た「犯罪」の数々から、人間の本質を見つめる。 刑罰 フェルディナント・フォン・シーラッハ (著), 酒寄 進一 (翻訳) 東京創元社 「80歩目」はドイツの短篇の名手の作品。刑事専門弁護士としての経歴がとても生きている。 フェルディナント・フォン・シーラッハさんの作品は話題になっていることは知っていたが、何故か今まで手に取ったことが無かった。 これは結論から言うと「残念」でした。 もっと早くから出会っていたら、読書にかかわ

          無駄のない文体から人間の本質を理解する「刑罰」