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記者に贈るキャリア論 ♯2

新しい職場で3週間が経った。始めよりは少し落ち着いたので、これまで気づいたことを整理していきたい。

今の組織のままでいいのだろうか、転職して飛び出したらどうなってしまうのだろうか。不安な記者に自分の体験をシェアしたい。


以前の仕事について

「NHK ニュースの記者」
この辺りは記者界隈の方には説明不要だろう。
それぞれ事件、行政、遊軍など各担当ごとに、日々ニュースを取材してテレビ、ラジオ、ウェブといった原稿を作成する。出来上がった原稿はアナウンサーがニュースで読むほか、自らカメラの前でリポートしたり、長めのニュースリポートとしてナレーションを入れて放送したりすることもある。

近年は働き方改革が進み、泊まり勤務や深夜勤務が減ったり、休みが取りやすくなったりもしているが報道現場の常として突発の災害や事件事故には対応しないといけない。
社員数は(内部では職員と呼ぶ)1万人を超え、福利厚生も充実した、いわゆる大企業。
成果は、特ダネや普段の勤務態度で測られることが多く、評価はほぼほぼ希望の部署に異動できるかどうかに反映される。これは行政機関に近い。
全国転勤で、リモート勤務、副職は不可(以前理事から、50代はOKだが30代は業務に集中できなくなるので不可と説明を受けた)


新しい仕事

新しい職場ADDIXは、IT企業と出版、I Pビジネスの会社が一緒になった会社だ。
また、社員数もおよそ200人と比較するとかなり小規模だ。

DXや広告周りのソリューションビジネスを課題発見の段階から実装、内製化まで一気通貫で行えることを強みとしている。(私はまだ勉強中)
そして、もう一つの側面はピークス、ランドネといったアウトドア誌、バイシクルクラブという自転車雑誌、イーブンというゴルフ誌を発行していて、出版社の側面と、そういったIPを生かしたEC、サブスク、コミュニティ運営を行っている(行っていこうとしている)会社でもある。

メディアの経験を活かして採用された私は、ソリューションビジネス側で、必要になった記事作成部分の監修を行いつつ、アウトドア雑誌などのIPを束ねるウェブサイトFUNQの編集長として、サイトの価値向上を目指すことが担務となっている。(仕事が進めば詳しく書きたい)

記者との違い(暮らし編)

当たり前だが、住む場所を自分で選べること。休日に連絡が来ないことは大きな変化だ。「慣れた慣れた」と思っていても世間との差は感覚的には大きなものだったことに、辞めて初めて気づいた。

NHK時代、入社当時はまだブートキャンプ的な厳しいOJ Tが残っていた。
そういう意味で長時間労働や、上司との何やかんや、Pハラ的なことにも耐えて、若手の頃は早く東京で仕事をすることを目標に頑張ってきた。

東京の専門部署(出稿部と呼ぶ)というのは、NHK記者の大方の目標である。上司との相性、巡り合わせもあるのでたいそうことは言えないが、それなりに組織に尽くし、そして認められてきた。経験してきたさまざまな仕事も含めて悪い協会人生ではなかったと思う。

ただ、犠牲にしてきたものもあったと思う、休日を問わない働き方でプライベートを。こればっかりは自分のせいでもあるが、婚期も逃したと思う。また、ワークライフバランスが整わない中で、家庭を持ったり、育児をしたりということが現実的でないと思っていたことも確かだ。パートナーにだけ、大変なことを押し付けて、仕事を頑張ったことを威張るような大人にはなりたくないとも感じていたからだ。

記者との違い(仕事編)

まだ転職して1ヶ月弱。大切なのはアンラーニングだと感じている。

大企業と小さな企業の違い。特に意識しておいた方がいいのは、その分業度合いだ。
よく言われることだが、大企業では分業が進んでいる。代わりがいるのも組織を人に依存せずに回すために大切なことだ。
(それでは満足できなくなる時もある。組織として職員に求めることと、自らが組織の中で経験していきたいことが30代になってずれていくのだ。私はそうだった)

小規模な会社に来ると、まずリソースがない。具体的には、こうした改善策や施作があったとしてもやる人がいないということだ。
自分が多くの仕事を覚えないといけない。

前職では上司に伺いを立てながら仕事を進めていた。そして、その伺いの立て方自体が組織内で円滑に仕事を行う特殊技能となっていた。
そういった、ある種自責を負わないやり方が通用しなくなる。

決まったやり方はなく、自分で責任を持って判断する、そのマインドセットの変革こそがアンラーニングであり、新たに習得しないといけないことだ。
これが自分にはまだ現状の課題として横たわっている。

大企業にいてはそんな判断権限も得られないことが多い。得られるには得られるのだが、多分その権限は徐々にしか広がらない。

今の苦労はやがて大きなものになるだろうと確信している。

現職の風土について

私の所属している会社ではIT企業なので、みんなオフィスに出社しないことも多い。コロナ禍、合併もあって社員同士のコミュニケーションをどう醸成していくのかは課題となっている。

一方で、アウトドア雑誌を出版する会社でもあるので、キャンプ場でイベントを開いたりもする。イベントに参加して、会場運営をして、そして飲む。時にはキャンプファイヤーの前でマイムマイムを踊る。
これが意外なほど盛り上がる。
そういうちょっと普段と違った環境で、コミュニケーションが取れるのはとてもいい会社だなと思っている。

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