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【金融】銀行の部署と仕事


1.はじめに

 本記事では、銀行の主要部署とそこで行われている業務について説明する。ここでは、預金・融資・為替の三大機能を担う普通銀行について扱うものとする。

2.銀行の部署と業務

 銀行によって組織体系は異なるが、主に以下のような部門に大別され、各部門の中に部・室・課・係等が存在する。
 尚、以下で示す部署名は一例である。

(1) 支店

 ネット銀行専業でない限り、通常銀行は各地に支店を有する。支店の中には窓口業務を担うサービス課の他、外回りで法人・リテール営業(RM)を担う営業課、記帳事務を行う融資課、海外送金を受け付けて本部に連携する外国為替課が置かれている。サービス課や融資課、外国為替課は一般職や契約社員の女性が多く、営業課は総合職の男性が多い。
 ちなみに法人営業については、基本的に支店が位置するエリアにある企業を担当することになるが、特に巨大企業の場合には支店ではなく営業本部の管轄になる場合がある。
 いずれの業務にせよ、本部によって決められた非常に細かい手続きに従って遂行することになる。
 業績評価の観点では、大概の銀行では営業担当に厳しいノルマを課しており、数字で成果を挙げることが正義とされている。

(2) 顧客部門

 国内大企業を担当する営業本部の他、海外企業を相手とするグローバルCIB部、特定事業への融資を扱うプロジェクトファイナンス部、債権流動化を扱うストラクチャードファイナンス部、決済やトレードファイナンスを扱うトランザクションバンキング営業部、対顧客業務やRMを統括する企画部等がある。
 企画の観点で言えば、預金や貸出の運営方針を経営企画部や資金部、リスク管理部と折衝しながら策定し、それを国内外各地のRMに正しく伝達することが要求される。

(3) IT・システム部門

 勘定系システムやその他社内システムの保守運用を担うシステム部や、DX推進に特化したデジタル推進部等がある。採用枠が独立している場合も多い。
 IT・システム部門といってもプログラマーは少なく、システムエンジニアが中心である。
 当然ながら、システムトラブルが発生した場合には夜遅くまで帰れなくなる。
 忙しいわりに銀行内でのヒエラルキーはそこまで高くないが、決済インフラを支える彼らの役割は極めて重要なものである。

(4) 市場部門

 融資を支えるための市場調達や資金流動性リスク管理を担う資金部、バイサイドとして株式・債券等のポートフォリオ運用を行う投資運用部、セルサイドとしてFX等の売買を行う市場営業部、デリバティブの研究開発を担う市場開発部等がある。
 いわゆるトレーダーやセールス、マーケットリサーチャー、クオンツといった各種部隊が存在する。
 大手銀行であれば、外貨資金の調達や投資運用の一部業務を海外拠点で行っている場合も多く、希望次第で海外異動の機会にも恵まれやすい。
 専門性という観点では、政治経済学や数学、情報工学等、大学で学んだ内容が結びつきやすい業務が多くある。

(5) リスク管理部門

 第2線部隊として市場リスク管理や資金流動性リスク管理、オペレーショナルリスク管理を担うリスク管理部や、融資先の信用リスク管理を担う融資部等がある。
 当局とのコミュニケーションが多い他、国内外の当局規制に変更があった場合には早急な対応が要求されることになる。
 また、ストレステストという定期イベントが典型であるが、いかに当局から刺されないように無難にこなすか、という類の業務が多い。そのため、日頃から非常に細かい規制対応のドキュメントに目を通すことなる。

(6) 監査部門

 各事業部門とは独立した組織として、内部監査を担う監査部が置かれている。各部署に抜き打ち監査を行い、業務の健全性を評価する。

(7) その他コーポレート部門

 上記の他にも、金融商品を開発するソリューション部や、経営戦略や広報を担当する経営企画部、財務会計を担う財務部、融資業務の審査を担う審査部、コンプライアンスを評価・管理するコンプライアンス部、採用企画や人事制度を統括する人事部等がある。

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