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シートベルト着用状況調査結果(2023)

シートベルトの着用が悲惨な交通事故を減少させることは多くの方が認識していると思うのだが・・・、警察庁とJAFが行ったシートベルト着用状況調査の結果を見るとまだまだ!
というわけで、シートベルト着用状況調査結果(2023)を紹介することに。


|調査の概要

JAF(一般社団法人日本自動車連盟)と警察庁は2023年10月10日(火)から11月10日(金)の間、合同で「シートベルト着用状況全国調査」を実施した。

|着用率

◍ 後部座席(以下、後席)のシートベルト着用率は、
  一般道路で43.7%(前年比0.8ポイント増)
  高速道路で78.7%(前年比0.7ポイント増)
となり、一般道路・高速道路等の両後席において、
  2002年の合同調査開始以来、過去最高
となったという。

◍ 運転席の着用率
  一般道路で99.2%(前年比0.1ポイント増)
  高速道路等で99.6%(前年同値)
  助手席においてもそれぞれ95%を超える
結果となった。

2008年に後席でのシートベルト着用が義務化されて15年を経たが、依然として後席は前の座席と比べて着用率が低い状態で推移していることが気になる。
特に、一般道路で着用率の低さが際立ち、改めて後席でのシートベルト着用の重要性が十分に浸透されていないことを示す結果となった。

|着用率の推移(一般道)

シートベルトの着用率の推移をみると、一般道における着用率は下表のとおりである。グリーンの折れ線が後部座席の着用率だが近年40%台で推移してる。
ちなみに、一般道では運転席と助手席は点数が付加される(一般的には「減点される」といっているかも)のだから高くても当然なのだ。
できれば100%であってほしい。

|着用率(高速道路等)

高速道路では全席が着用義務となっており、非着用は点数が付加されることになっている。
後部席は、義務化された後の2008年の62.5%以降徐々にだが高まりつつあるもの昨年は78.7%と後部座席はまだ低い。

|都道府県別の着用率(一般道)

一般道における着用率(運転席と後部座席同乗者)を都道府県別にみると下表のとおり。
後部座席の着用率が最も高いのが群馬県62.7%、低かったのが沖縄県12.6%であった。

|都道府県別の着用率(高速道路等)

高速道路等における着用率(運転席と後部座席同乗者)を都道府県別にみると下表のとおり。
後部座席の着用率が最も高いのが岩手県94.0%、低かったのが沖縄県52.8%であった。

|後部座席シートベルト着用・非着用別致死率

後部座席シートベルトの着用率はいまだ十分とは言えない。
警察庁が公表している平成26年~令和5年までの交通事故統計をもとに作成した自動車後部座席同乗中死傷者のシートベルト着用・非着用別致死率をみてみると、非着用時の致死率(死傷者数に占める死者数の割合)は、
 高速道路で着用時の約25.9倍
 一般道路で着用時の約3.3倍
も高くなっているのだ。

|非着用はなぜ危険なのか

シートベルト非着用の場合には危険性が高まるのだが、その理由としては以下のようなことが言われている(JAF資料等参照)

● 車内で全身を強打
交通事故の衝撃により、前席や天井、ドアなどにたたきつけられることになる。車という箱の中に乗ってはいるが、慣性の法則で車の速度に対応して乗員も移動する。例えば時速60kmで進んでいる車が壁などに激突した場合は、瞬時に60km/hの速度がゼロになるのだが、これは高さ14mのビルから落ちるのと同じ衝撃を受けることになるのだ。

● 車外放出
衝突の勢いの激しさで、車内とどまれずフロントガラスやドアガラスなどが割れて車外に放出された場合、硬いアスファルト路面や工作物に体をぶつけたり、後続車両にひかれて死傷する可能性がある。

● 前席の人に被害を与える
衝突の勢いで後席の人が前方に押し出され、前席のシートバックに激突して前席の人がシートとエアバッグの間に挟まれたり頭部や胸部を強打する可能性がある。結果として、前席の人の負傷を増大させてしまうことになるのだ。
後席の人もシートベルトを正しい着用することで、前席の人を含め同じ車内に乗車している人たちの命を守り、被害を軽減することにもつながるのだ。

|おわりに

シートベルトを着用していれば助かる命があったのではないかと推察される事案が結構多い。
高速道路では全部の席でシートベルトを着用しないと違反である。一般道は後部席は努力義務ではあるが安全の確保という観点ではできるだけ着用して欲しいものだ。

なお、万が一の場合にシートベルトを着用していることで被害が軽減できると、事故の相手方(第二当事者)の傷害の程度によって刑事罰や行政処分が変わるのだ。
当然だが、
  軽傷<重傷<死亡
という結果に応じて重くなっていくのだ。
シートベルトを着用することで被害が軽減できていれば両当事者(同乗者を含む)にとって交通事故によるダメージが低減できることになるのだ。

<参考>
JAFによる衝突実験の様子 衝突実験映像 360度VR動画(車両衝突編)
警察庁・JAF合同シートベルト着用状況全国調査結果 (248KB)


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