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金と欲の建築業界【2015年10月号第1特集】

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記事一覧

軍艦島から福島第一原発まで “負の歴史”を忘却して変貌する「廃墟ブーム」の功罪

――1990年代以降一般化し、多くのライトマニアを生み出した「廃墟ブーム」。「軍艦島」に象徴されるように、いつの間にやら好事家の嗜好品から「我々日本人の記憶」へと変貌を遂げた廃墟をめぐる歴史を追う! 

 今年7月5日、ユネスコ世界遺産委員会の決定によって、日本全国23施設の「明治日本の産業革命遺産」が「世界文化遺産」として登録されたことは記憶に新しい。そのなかでも特に大きなインパクトをもって受け

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ネオンきらめくピンク看板も、今は昔……!? 立地も建て替えも風営法でNG!?絶滅寸前フーゾク建築の現在

――ソープランドや店舗型ヘルスなど、実店舗を持つ店舗型風俗店。法的には「店舗型性風俗特殊営業」なる名称を与えられた性風俗店を中心に、立地や建物に関してどのような法が存在し、実際にどのような規制があるのか、関係者の話を聞きつつ検証した。

「フーゾク建築」と聞いて読者諸氏は何を思い浮かべるだろうか? 東京・歌舞伎町や福岡・中洲のピンク看板のド派手なビル? あるいは東京・吉原の下町風のソープ街? 少し

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風水でつくられた街ほど事故物件だらけ!? 「大島てる」に無茶ぶり!風水と事故物件の関係――建築業界で風水が“タブー”視されたワケ【2】

――日本の歴史上、風水に基づいた都市設計が積極的に行われていた時期がある。しかし、当時の建築物の多くは“事故物件”化した。その因果関係はいかに?

 本文でも述べたとおり、日本では、平城京、平安京から、豊臣秀吉、徳川家康にいたるまで、風水を使って街づくりをしてきたと言われている。しかし、平城京は100年足らずで遷都。平安京も末期には戦が相次いだ。長い目で見れば、織田信長は本能寺で焼き殺されたし、幕

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藤原紀香、市川海老蔵夫妻もハマった! Dr.コパ、ユミリー出現でブームを呼んだ"風水建築"の功罪――建築業界で風水が“タブー”視されたワケ【1】

――風水の専門知識を持つ建築士に向けて、来春にも「風水建築士」なる資格の認定が開始されるという。風水といえば、Dr.コパこと小林祥晃氏や、ユミリーこと直居由美里氏など、“占い師”的イメージが強いが、その歴史を紐解けば、はなから“怪しいモノ”として扱われてきたわけではない。その変貌の理由とは?

 今年は、徳川家康の没後400年だ。葦が生い茂る湿地帯を、風水に基づいて世界一の大都市・江戸につくり変え

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中上健次、吉村昭からBLに自費出版作品までノミネート……発表! 肉体うずく!土方文学大賞

――中上健次による芥川賞受賞作品『岬』など、文芸小説では土方・土木・建築をテーマにした作品が描かれてきた。ただし、いまだそれは体系的にまとめられてはいない。そこで「土方文学賞」と称して、土木建築系フリーペーパーを手がける石丸元章氏を審査委員長に、審査委員たちと土方文学を定義しつつ、関連作品を紹介する――。

「土方文学賞」選考委員のみなさま。左から青柳氏、萩原氏、石丸氏、海猫沢氏、向井氏。直木賞、

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"モダニズム"の本当の意味、説明できる? これで明日から通ぶれる!「そうだったのか建築用語」

――建築メディアを読むと、知らない単語が現れたり、言葉の使われ方が普段知っているそれとは違うことに気がつく。そこで頻出する12個のキーワードを、その言葉が背負った文脈から超真面目に解説してみたい。

■まさに「近代」を築いた思想[モダニズム]
【もだにずむ】近代の啓蒙思想と産業革命を背景とし、20世紀初頭のヨーロッパに現れた建築思潮。それまでの歴史主義の建築の権威性を批判して、機能主義や合理主義を

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建築基準法、都市計画法から考える、大都市・東京の無秩序膨張……開発主導の都市計画と東京

――1964年の東京オリンピックを機に、一気に現在の姿へと変貌を遂げ始めたという大都市・東京。では、その背景にはどのような法令の整備が存在したのか?東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻准教授・中島直人氏に話を聞きつつ、戦後の大都市東京の膨張を、法という視点で読み解く!

「高度経済成長期、とりわけ1964年に開催された東京オリンピックを機に、東京の街は現在に繋がる大都市へと変貌を遂げ始めた」とは

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一番ダサいのは東京理科大の建築学生!? 大学生活の現実を暴露!建築学生の覆面座談会――名門建築学科と建築学生のウラ側【2】

――建築学科にいる若者たちは、どんなキャンパスライフを送っているのだろうか?現役の建築学生たちにその実態を赤裸々に語ってもらった。

[参加者]
A… 関東圏私立大学4年(男子)
B… 地方国立大学大学院2年(女子)
C… 海外私立大学大学院1年生(女子)
D… 関東圏国立大学大学院1年(男子)

A 僕が所属している研究室は男女の比率が半々くらいで、建築学科全体でも女子がわりと多いような気がする

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早稲田の建築学科は“ゼネコン予備校”? 京大の建築学生は性に奔放!?建築学科のイビツな格差と恥部――名門建築学科と建築学生のウラ側【1】

――建築家の卵たちが集う大学の建築学科。東大、京大、早稲田……一流大学だけでなく、全国の大学にそれは設けられているが、その内部はどうなっているのだろうか?また、大学ごとにどんなカラーがあるのか? 研究内容の特徴から卒業生の進路、学生や教授の下半身事情まで、建築学科の素顔を暴いていきたい。

 デザイナーと並んでメディアでもしばしば取り上げられる建築家。日本建築士会連合会が公表する一級建築士の登録者

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「ボーナスがちょろっと上がったくらいです(泣)」五輪特需でも賞与据え置き! ゼネコン社員【哀】座談会――日本を創造するエリート集団の悲哀

――バブルが吹き荒れる建築業界だが、その施工を請け負うのはいうまでもなくゼネコン。中にいる一般社員はこのバブルをどう見ているのか。エリート社員たちの悲喜こもごもを聞いた。

[参加者]
A… 大手ゼネコン勤務
B… 大手ゼネコン勤務
C… 準大手ゼネコン勤務

──2020年の東京五輪に向けて、巷ではゼネコン業界がプチバブルにあると報じられています。今回は、現場で働かれている若手社員の皆さんにお集

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【菅野裕子×田尾下哲】音楽と建築を語り尽くす――“良いホール”の条件って、何? 耳で聞く! 建築の“旋律”論――識者が語る建築と音楽の関係

――J-POPのコンサートを楽しむには、どのような空間が最適で、オペラを十二分に味わうには、どんな空間が適宜とされるのか?離れているようで、実は密接な関係にあった“建築と音楽”の歴史を振り返りながら、両者の共通項を解く。

東京文化会館
1961年に竣工。「東京都開都500年祭」の記念事業として開館し、建築家・前川國男の代表建築として知られている。海外の著名な歌劇公演が開催される場所として世界的な

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実は五輪選手が2人! その理由は家柄にあり? 本業以外もスゴい日本人建築家たち――建築界の奇人変人列伝【2】

――建築家という人種はプレイボーイのようで、女性関係で話題になった日本人建築家は数多くいるという。

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奇人に見える人こそ、実は戦略家? 女性問題、惨殺事件、女性恐怖症……世界的建築家の知られざる醜聞――建築界の奇人変人列伝【1】

――丹下健三やル・コルビュジエといった世界的な建築家にも、実は黒歴史的な出来事や、イメージとは異なるスキャンダルがあったりする。あるいは、黒川紀章のように人柄や経歴を含めて有名な人の場合は、よくよく調べると、そのイメージが戦略により作られたものであることもあるという……。

■フランク・ ロイド・ライト
(1867~1959年/アメリカ出身)
主な作品/カウフマン邸(落水荘)、グッゲンハイム美術館

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流線形のカーデザインを先取り!? 奇抜なだけじゃない! ザハ・ハディドの実力――新国立問題で浮上した東京五輪の闇【3】

――イラク生まれ・英国在住の女性建築家ザハ・ハディドによる新国立競技場の設計案は、周知の通り白紙になってしまった。彼女のデザインは奇抜といわれるが、本当のところ建築家としての実力はいかほどなのか?

ザハがデザインした建築物たち。ヘイダル・アリエフ・センター(アゼルバイジャン・バクー/12年竣工/(c)Baris Aydemir) 香港理工大学ジョッキー・クラブ・イノべーション・タワー(中国・香港

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