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アートディレクターの意思を翻訳しハブとなる存在に。プロデューサーから見るアートディレクターとは

様々な職種の人と関わることが多いアートディレクター。他の職種からはどのように見られ、どのように関わり合っているのでしょうか。

AD Channel第二弾は株式会社アマナでプロデューサーとして働く金子修也さんをお招きし、プロデューサーから見るアートディレクターの仕事や関わり方などお話を伺いました。

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|アマナ プロデューサーの紹介

――ご担当されているプロデューサーの仕事内容について教えてください。

金子さん:私は新卒でアマナに入社して10年以上がたちました。入社当時は雑誌やOOHなどグラフィックの仕事を担当することが多かったです。現在ではグラフィック6割、Web2割、映像2割ぐらいの比率で担当しています。アマナでは、大きく分けて、広告代理店から仕事をいただくケースと、クライアントから直接仕事をいただくケースがあります。私は、広告代理店から仕事をいただき、アートディレクターの方とご一緒することが多いです。

――具体的にどのようなことを担当されていますか?

金子さん:アマナのプロデューサーは、スケジュール・予算・クリエイターのアサインという制作の一連の流れを管理しています。案件によって、カメラマンの提案や最適な撮影方法を提案することもあります。プロデューサーと名乗るからには、進行業務ができるだけでなく、提案力も持ち合わせていないといけないと思っていますね。

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――アートディレクターに対して、プロデューサーとしての立ち位置や動き方など気を付けている点はありますか?

金子さん:意識していることは、アートディレクターの下に入って動くというより、横に立ってアドバイスができる人になりたいと思っています。もちろん、アートディレクターのタイプによってはプロジェクトをスムーズに進行することに徹することもあります。アートディレクターの意見を尊重しながら、プロジェクトが良いかたちで進行していくための立ち振る舞いができるように心がけていますね。

一同:(うなずく)

金子さん:私がこんなことを言うのも変な話ですが、極論、プロデューサーがいなくてもこの仕事って成り立ってしまうとも思うんですよ。例えばアートディレクターが、プロデューサー抜きで直接カメラマンに発注することもできますからね。
でも私たちが入ることで、お金を払ってでも必要としてもらえるように、プロデューサーの存在意義を生み出し続けていきたいなって思っています。

|絵作りにおいて核を見出す存在

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――たくさんのクリエイターと関わりながらプロジェクトを進行していると思いますが、アートディレクターとの接し方と変えている部分はあるのでしょうか?

金子さん:職種は違っても、同じビジュアルを作り上げていく人たちなので、接し方は変えていないと思っています。
心掛けていることとしては、プロデューサーはアートディレクターの意図をきちんとスタイリストや他の職種に橋渡ししていく役割があると思っています。言われたことをそのまま伝える伝書鳩のようでは“プロデューサー”とは言えないので、意図をしっかり翻訳し、尚且つそれぞれのスタッフが納得して気持ちよく案件に向かえるようにできるかは大事だと思っていますね。

――金子さんから見て、アートディレクターとはどういう存在ですか?

金子さん:絵作りにおいて、芯や核を見出している人だと思っています。“なんとなくかっこいい”ではなく、クライアントからのオリエンや課題に対して核がぶれないように。絵作りがぶれないようにしている人だと思います。写真そのものの良し悪しも大事ですが、今回の方向性に対する良し悪しで判断するのがアートディレクターだなと。

大澤:(笑)それ、前回のAD Channelと同じことを言っていますね!

一同:(笑)

|アートディレクションのかたち

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金子さん:アートディレクターの方にもいろんなタイプの方がいると思うのですが、お二人はどっちのタイプなんですか?
自分の考えを突き通すタイプと、メンバーみんなの意見を汲んでいくタイプと。

大澤:今はどっちでも無いかもしれませんね。若い時はアートディレクションって分かっていなかったので、前者のタイプだったかもしれません。でも、最近は「この方向でやります」と話したときにメンバーから意見がほしいと思っています。全部その通り汲み取るわけではないですけど、みんなの考えを聞きたい。自分が予想したものは、想像通りのものが出来上がるんですよ。予想したものを超えてほしい。もっと良いものを作りたいんですよね。メンバーのベクトルを同じ方向に向かせて進んでいくと、より強いものができると思っています。

鈴木:方向性についてはアートディレクターが決めた方がいいと思っています。核は決めつつも、いろんな意見を取り入れて良いものを作っていきたいです。あれ…大澤さんと一緒ですね(笑)

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一同:(笑)

金子さん:自分の想定外のものが出てきた時に、どう着地させるのかとか。どうまとめていくのかとか。アートディレクターのキャパシティが問われそうだなと感じました。

――様々な方と仕事をされてきた中で、印象に残っているアートディレクターの方はいますか?

金子さん:企画の骨子・核の部分だけをアートディレクターが決めて、その後はカメラマンにすべて任せる。という進め方をしている方がいました。その方の仕事のやり方にはとても驚かされましたね。任せられるってことは、お互いに信頼関係がないとできないですよね。誰にでもできることではないと思うんです。

鈴木:相手を尊重というか尊敬しているからこそできることですよね。

金子さん:このアートディレクターの方と仕事をしたときに、プロデューサーの大事さを実感しましたね。こんなに任されて仕事をしていると、それぞれがちゃんと責任を持ってやらないと、どこかで破綻する危険性もあったと思うんです。自分のプロデュース力を試されているというか、プレッシャーを感じましたね。

大澤:すごいなぁ、自分はまだまだだと感じますね(笑) ちゃんと道筋を作ってそれ通りにやったらできました!というより、今言ったみたいに、メンバーそれぞれで考えて行動する方が、より強いものができあがりますよね。本当に勉強になるなぁ。

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|幅広い知識が必要な時代へ

――これからの時代に必要なスキルって何だと思いますか?

金子さん:これまでの知識だけでなく、デジタルや新しい分野の知見もないと淘汰されてしまうのではと感じています。グラフィック1枚で良いものを作るだけでも大変な事ですが、そこからデジタルへはどう展開するか、複合的なコミュニケーション が求められる傾向が強い印象です。若い世代は幼い時からスマートフォンがあり、デジタル領域に触れているので自然にどんな展開が起こりえるかイメージできますが、そういったものに日常的に接していない人ほど難しくなっていくと思うんです。我々も日々勉強していかなければいけないなと考えています。

鈴木:金子さんは日常で意識して取り組んでいることはありますか?

金子さん:自分の好き嫌いや興味の有無とは関係なく、新しいもの・流行っているものをとにかく体験してみるようにしています。知らない、わからないというのは良くないなと。新しい知識を吸収することは職種関係なく、必要なことだと思います。

――金子さん、ありがとうございました。

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金子修也
2009 年 株式会社アマナ入社。ビジネスアクティベーション部所属。
グラフィック広告を始め、映像、 Web など、幅広いコンテンツの企画・制作プロデュースを担当。
株式会社アマナ https://amana.jp/
広告を中心としたビジュアル制作、クリエイティブ素材の制作・販売、コミュニケーション・コンテンツの企画立案に至るまで、写真からスタートし、動画やCGなどといったさまざまなビジュアルで「心を動かす」表現にこだわり、マーケティング領域の様々なニーズに応えるべく、ビジネスを展開 している。

<Credit>
Interviewer:Tomoko Suzuki(D2C dot Art Director)
Interviewer:Takuya Osawa(D2C dot Art Director)
Interviewer:Tomoyo Nagaoka(D2C dot PR)
Photographer:Naho Sato(D2C dot Director)