何事もほどほどが一番

大勢は勢いをたのみ、少数は一つの心に働く

東照公遺訓

「大勢の集団だと数に頼ってしまい、それぞれに油断が生じて、かえって力を発揮できなくなる。少数だと団結力が増し、力を発揮できる」という意味です。

徳川家康公の幼少期、安倍川の河原で子どもたちの石合戦を観戦していた際、多くの見物人が数の多い方が勝つ、と言いました。ところが家康は少ない数の方が勝つと言い、見事にその通りになった、という逸話があります。

大人数で行動することの落とし穴

知り合いが多くいる環境(例えば、学校や会社の中)にいて、一人でいると、「自分は孤独」、「誰かが自分のことを批判しているかもしれない」、「一人でいるのを見られるのが恥ずかしい」、「孤独な人、と思われたくない」など、人に注目されたり、群れを作ることを好む人が世の中を見ていると多い気がします。

私も20代の時は、目立ちたがったり、人よりも勝ちたいと思ったり、周りから良く思われたい、と思ったり、承認欲求が人よりも強かったです。

その時の自分は、決して良い性格とは言えず、よく人の言動に傷つき、一喜一憂していました。

大人数のグループが出来てしまうと、私は明確に明るく、積極的に話すのとは真逆のタイプなので、人の先頭に立つことはまず、ありません。皆が力を発揮できる環境ではないな、と冷めた目で見てしまうからです。

私は、“伝わる色・デザインについて語り合う自主ゼミ”のメンバーで、いつも楽しく過ごさせていただいている方々がいます。

その方達は、全部で10人もいかないくらい少人数です。

でも、それぞれがそれぞれの場面で力を発揮し、2年以上一緒に過ごしてきました。

私はその時の雰囲気がとても好きです。

でも、そんな私も大人数の中に入ると、たちまち埋もれて、いるかいないか分からない、という風になってしまいます。

そこで思うのは、人間、生きている限り必ず、必ず価値がある、ということです。
例えば、社会では酷い目に遭い、苦しんでいる人も、家に帰れば奥さんに愛され、家族がすごく幸せな人がいます。

社会でひどい目に遭い、プライベートもひどい状態…ということもあると思います。

それは、ただ単に良い出会いをしていないだけ、もしくは、良い出会いに気付けず、自分を苦しめている人に囚われているだけかもしれません。はたまた、自分にとって良い環境に置けていない、ということもあります。

自分の器に合った生き方をせよ

私は、「かっこいいな、この人」、や「この人みたいになりたい」と思うことがよくあります。その人達は実際、きちんと考えをもって、社会を良くしようと思ったり、物事をスマートに解決したりします。

ブランドに例えると、エルメスやルイヴィトン、ロレックスみたいな存在。

私はそんな価値ある人(商品)になりたくても(買いたくても)到底なれません(買えません)。シンプルに能力がない(お金がない)からです。

周りの人の評価は自分の評価ではなく、自分の評価は自分が決めるものだと思います。

だからよく褒められるたびに(本当にそんな人間ではないですよ)と心で毒づいています笑

何が言いたいかというと、「自分の器にあった生き方をせよ」ということ。

冒頭のタイトルにあるように、「何事もほどほどが一番」ということ。

松下幸之助氏の名言で、「人の運命は9割決まっている。その運命に逆らわず、目の前のことを一生懸命やり遂げることで道は開けてくる」という言葉があります。

学生の時に出会った言葉で、当時、「なんだ、運命って決まってるんや。じゃぁ、自分のつまらない人生って結局変わらへんやん」と思っていました。

でも、前職で今の奥さんと出会い、家族と絶縁になり、愛知で一人で派遣社員からスタートをして、刈谷市役所に受かったり、その後祖母とも絶縁になり、祖父とも祖父の死の間際まで話す機会が無かったり(僕はおじいちゃんっ子でした)、そして今の奥さんと結婚をして、その子どもの結婚式に出たり…。

いわゆる一般の人の生き方とははるかに”ズレた”生き方をしていると、上にあげた松下幸之助氏の言葉が少し理解できます。

私は松下幸之助氏のように立派な偉人ではないし、平凡(ポンコツ?笑)な地方公務員ですが、今の環境に満足しています。感謝しています。そして、今の環境を守って、生きたいと思っています。

また、松下幸之助氏は、「私は経営者として一生懸命汗水たらして働いている。他の人は、松下電器の社員として同じく一生懸命働いている。工事現場の人たちや街中を歩くサラリーマンも同じや。要は、その人たちにしかない器の中で精一杯生きているわけや。その人たちに見合った生き方をしているわけや」というような内容の名言も残しています。

「運命が決まっている」からと言って手を抜くことをしてはいけないと思います。一生懸命、自分の目の前の運命から目を背けないで、地味でも誰からも注目されなくても、それが人の役に立つと自分の中で信じて、自信を持ってコツコツと過ごす、これが人生で一番大事なことなんだなぁ、と思っています。

時には背伸びをしたくなる時もあるのですが、そんな時こそ、「自分の器」はそんなところではない。もっと目の前のことにのめりこめよ!と叱咤して、(時には奥さんにも叱咤されて)生きたいと思います。

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