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ラスバレ

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記事一覧

最後の弾丸 Last Bullet 第1話

死は突然やってくる。だからこれはきっと運命。
そう割り切るには些か不条理な現実から、私は逃げている。

『サイト47にて被検体47009が脱走。職員は直ちに―――』
ノイズまみれのスピーカーはそこで喋るのをやめた。無責任にも先に逝ってしまったか。荒れたデスクの一つ。その下、人ひとりが隠れられる空間に潜む白衣の女、サーシャは呟く。現状とは裏腹に、彼女の頭は驚くほど冷静だった。
「サーシャさん弾残って

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最後の弾丸 Last Bullet 第2話

「”この世界”の終末の原因を当ててください」

姫川はサーシャに問いかける。相変わらずのおどけた態度だが、その眼には揺るぎない決意のようなものを宿らせている。その姿にサーシャは許しかけた気を張り直す。
「当てろって…それ当たるモノか? 私は到底不可能だと思うが。ん? 当てろって言うならならあんたは答えを知ってるのか? それなら何故こんなことする必要がある?」
「ん~それはまだ醸成中だから言えないか

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最後の弾丸 Last Bullet 第3話

「さぁ始めよう。前のこれ使ってもいいよな?」
「どーぞどーぞ」
教卓の前に仁王立ちしたサーシャは、一つ咳払いをした後推理を始める。

「うーんと……今解ってるのはこの辺か」
呟きながらサーシャはメモの内容を黒板に転写する。”もう一つの太陽”、”落ちてくる太陽”、”向かう光”。
「………」
サーシャは俯き押し黙る。同時に脳内でナンプレが埋まり始める。それを姫川は悪事を働いた子供に自らの口で真実を話さ

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最後の弾丸 Last Bullet 第4話

「そうはいっても、的外れな推理ばっかしてたら何時まで経っても終わらないよ?」
「だとしても嫌だ! もう頑張りたくない!」
「えぇ…おねーさん頭使うと反動でこんなにバカになるの……」
子供の様に駄々をこねるサーシャに姫川は呆れるばかりだった。

一頻り喚いた後、サーシャは溜息を何度も零しながら嫌々ながらも教室を出ようとする。
「行ってらっしゃ~い」
「え? ついてこないの?」
「だって今のおねーさん

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最後の弾丸 Last Bullet 最終話

「―――つまり私の国ガランドは”二ホンの民衆全員を人柱にした”」

「正解」
無表情のまま姫川は応える。
「という訳で、アタシの茶番はこれでお終い。ここからは個人的な復讐の時間。言い残したい事とか有れば聞いたげるけど」
サーシャを見る姫川は右腕を一瞬ダランと下げたと思えば、ゆっくりとサーシャに翳す様に向ける。それが何らかの発動条件と直感したサーシャは慌てて手を挙げ抵抗の意思が無いことを示す。

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