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ワイドパンツのすゝめ

「きりーつ、れーい、ちゃくせきー。」

はい、国語の授業をはじめます。
今日は小説の書き出しについてですね。
小説の書き出しは作者が最も伝えたい、もしくは書きたいことが凝縮されていることが多いです。

"天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず"

みんな知っていますか?
1872年に出版された福沢諭吉の学問のすゝめの書き出しです。
人間は生まれながらに平等で、上下の差別はない。と言った意味です。

では次の言葉。

"恥の多い生涯を送って来ました。 自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです。"

みんな知っていますか?
1948年に出版された太宰治の半自伝的な作品、人間失格の書き出しです。
相手に受け入れられたいエゴイズムで自分を偽ったり、謙ったりしたことへの強い罪悪感や人間性の欠如が感じられる言葉です。

「せんせー、そんな古い本みんな知りませーん」

そうですよね、でも授業ですから。
古いことも昔のことも、学ばなければいけません。
ですが確かに古すぎますね、今は2923年ですもんね。約1000年前の本ですから。

ではそれより100年ほど新しいものを勉強しましょう。

"パンツなんか太けりゃ太いほどええ"

みんな知っていますか?
今から900年前、2023年に書かれたファッションデザイナー狂々天羽の小説、ワイドパンツのすゝめの書き出しです。 

「なんで変な喋り方なんですかー?」

これは岡山弁といいます。
今の日本は500年前の三国知能抗争により東京、大阪、鳥取の3つに分かれていますが、それまでは今と同じ国土を47に分けていました。その内の1つが岡山県です。
今はみんな同じ喋り方ですが、当時はそれぞれの地域特有の喋り方があり、それを方言といいます。
この著者は岡山県出身なので岡山県の方言である岡山弁を使います。

「ファッションデザイナーってなんですかー?」

そうですね、先生もみんなも今の人間は首の後ろを2回タップするだけで皮膚の上から全身に張りつく膜、モハヤキテナーイがあるので必要ありませんが、当時の人間は布を体に纏っていたんですよ。

「えー、面倒くさーい」

みんなも自分の好きな色のモハヤキテナーイを選んで個性を出しているように、当時の人間も布の色や柄、素材や形で個性を演出していました。それをデザインする人をファッションデザイナーといいます。

「ワイドパンツってなんですかー?」

下半身を覆う二股に分かれた布をパンツといいます。二股に分かれた部分に片方ずつの足を入れることで歩行がスムーズになるんですよ。
すごく太いパンツをワイドパンツといいます。

この本には著者が作ったワイドパンツがいくつか載っているのでみんなで見てみましょう。


【unrodin】cl balloon pants
【unrodin】black denim balloon pants
【Mr.Ash】fade wide jeans


著者はワイドパンツを通して、自然体で生きることの素晴らしさや自由であることの尊さ、心の解放を主張しました。

今の時代は文字を書くことは不要ですよね。眉間を2回タップするだけで目の前に現れる仮想のモニター、カミイラナーイを見つめるだけで頭の中にある文字がカミイラナーイに浮かび上がるので、先生もみんなも文字は書きません。

今では化石と化したパソコンやスマートフォンが当時は主流で、今では何億倍にも性能が上がり対未確認生物撃退システムに生まれ変わったChatGPTも、当時は対話型人工知能として文章の生成などに使われていました。
しかし著者はChatGPTはおろか、パソコンもスマートフォンも使用せず、原稿用紙1100枚に文章を書き殴ったそうです。

「えー、面倒くさーい」

それほど著者は自分の手で何かを作り出すことに拘っていたのでしょう。

では著者の最期を紹介して授業を終わりにしましょう。

著者の作るワイドパンツは年を追うごとに太くなっていき、ワイドパンツのすゝめが出版された10年後の2033年に作られた物はワタリ350㎝、裾幅200㎝ほどの太さになっていたそうです。

そのワイドパンツを穿いて、コンビニという食品や日用雑貨など多数の品種を扱う24時間営業の小売店に向かって歩いている時、自分でパンツの裾を踏んで転倒してしまい帰らぬ人になってしまいました。

「せんせー、この人頭の中クルクルパーなんですかー?」

ええ、彼は髪も頭もクルクルです。

先人達から得ることはたくさんあります。

福沢諭吉からは学ぶことの大切さを。
太宰治からは信じることの大切さを。
狂々天羽からは、、、そうですね、、えーっと、あっ、あれだ。程よい太さのワイドパンツを選ぶことの大切さを。


「きりーつ、れーい、ありがとうございましたー」




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