渡辺大@デライト・ベンチャーズ

デライト・ベンチャーズ共同創業者・マネージングパートナー

渡辺大@デライト・ベンチャーズ

デライト・ベンチャーズ共同創業者・マネージングパートナー

マガジン

  • Delight Ventures "Column"

    • 23本

    DeNA1社LPの、独立系ベンチャーキャピタルのデライト・ベンチャーズ。 私たちが具体的に何をしているのか?投資領域は?シリーズは?など、内部のメンバーが随時情報を更新していきます。

最近の記事

【実録レポート】欧州の2大スタートアップカンファレンスWeb SummitとSlushに見る、投資状況とエコシステムの発展とは?

10年ほど前は、欧州のスタートアップエコシステムは、米国に比べ約10年の遅れをとっていると言われていました。その後米国のエコシステムが進化・拡大したと同時に、シリコンバレー型のスタートアップエコシステムが世界各地に再現され、VCマネーによるイノベーションがもはやシリコンバレーまたは米国の専売特許ではなくなってきました。今回欧州のテックイベント2つに参加し、欧州のスタートアップエコシステムの拡大と発展が急スピードで進んできていて、もはや、米国・欧州の地域を越えた投資やスタートア

    • ストックオプション日米比較

      スタートアップエコシステムが半世紀かけて進化してきた米国で、当たり前のように用いられている「ストックオプション」は、日本のスタートアップでも一般化しています。 ストックオプションは、スタートアップの従業員が「将来決まった値段で株を買える権利」で、報酬制度としてのコールオプションです。先行きが不確実なスタートアップに参画してもらう代わりに、うまく行ったときのアップサイドを提供する仕組みで、会社としては、なけなしのキャッシュを使う必要なく、巨額な報酬(の可能性)を従業員に提示で

      • SPACと日本のスタートアップエコシステム

        日本のスタートアップエコシステムが健全に拡大するには・・・という前回のnoteの続編として、SPACについて触れたいと思います。 今月閣議決定された成長戦略の目玉として日本版SPACの解禁が検討されているようです。SPACの基本的な仕組みや効能については、すでに多くの報道記事やブログが存在するので、そちらに任せます。ここでは日本版SPACについて議論する上で、例えば米国でSPACの利用が盛んになった背景と、日本のスタートアップエコシステムへのその意味合いについて書きたいと思

        • 「上場時期」は誰が決める?

          日本のスタートアップのエコシステムが健全に拡大するためには、何が必要でしょうか。今後数本のブログで、私なりに課題を分解したうえで、日本から世界規模のスタートアップを生む道筋について、思うところを書いていきたいと思います。 米国含む他の先進国との比較を念頭におくと、日本のスタートアップエコシステムには以下の3つのことが言えると思います。 1.人口や経済規模に比してスタートアップ(起業家)の数が少なすぎる 2.法制度や商習慣がスタートアップに優しくない 3.成功の道筋がつ

        【実録レポート】欧州の2大スタートアップカンファレンスWeb SummitとSlushに見る、投資状況とエコシステムの発展とは?

        マガジン

        • Delight Ventures "Column"
          23本

        記事

          日本の成長の鍵はスタートアップ

          米国ベンチャー投資、倍増の勢い 米国の2021年第1四半期のベンチャー投資総額は記録更新の$69B、約7兆円に達しました。2020年第1四半期に比べると、なんと9割増の大活況。ベンチャー投資が、機関投資家の投資対象として不可欠な地位を得たと同時に、米国の経済・生活・文化の面でスタートアップのプロダクトやサービスは欠かせないものになっています。昨年のパンデミックの中でも、米国のベンチャー投資は成長を続けました。 ベンチャー投資の米国経済における投資効率米国の上場企業の時価総額

          日本の成長の鍵はスタートアップ

          Delight VenturesはCVCか?

          はじめまして。デライト・ベンチャーズのマネージング・パートナー 渡辺大です。デライト・ベンチャーズをより多くの方に知っていただければと思い、チームのメンバーでnoteをはじめることになりました。初回は、DeNAが唯一のLP(リミテッドパートナー)であるデライト・ベンチャーズは、どうCVCと違うのか?ということを簡単に説明したいと思います。 1. そもそもCVCとは? ベンチャー投資に少しでも関わる人はすでにご存知だと思いますが、一般的な定義はこちら; コーポレートベンチャ

          米国報道メディアの威力:Vol.5「Facebook」(後半)

           前半に引き続き、大統領選挙以降のFacebookのスキャンダルとその対応を振り返ります。 ------------------   さて、ザッカーバーグの謝罪行脚や議会での公聴会で、信頼回復をはかったFacebookでしたが、その後もPRの地雷原を突き進むかのように問題が続きます。 3. ロヒンギャ  2018年、国外から危機が襲います。ミャンマー軍事政権が組織的に拡散したヘイトスピーチや偽情報によって、イスラム系少数民族ロヒンギャ族が、迫害・虐殺されたのです。この

          米国報道メディアの威力:Vol.5「Facebook」(後半)

          米国報道メディアの威力:Vol.4「Facebook」(前半)

           Facebookは「報道」メディアではありません。  ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)という言い方はもはや英語ではほとんど用いられておらず、FacebookやTwitterの類はsocial mediaという呼び方をします。昨年の調査では、米国の成人の52%が、Facebookをニュースを見る場として利用しており、報道メディアへの主要な入り口となっています。  米国(特にシリコンバレー)では、Facebookのブランドイメージや使われ方が、2016年の大

          米国報道メディアの威力:Vol.4「Facebook」(前半)

          米国報道メディアの威力:Vol.3「The New York Times」

           The New York Times(以下NY Times)は、全メディア最高の過去130回のピューリッツァー賞受賞を誇り、米国の新聞では最多の有料購読者を抱える全国紙です。1851年に当時ニューヨークで人気のあった扇動的なゴシップ新聞へのアンチテーゼとして創業され、客観的な「真実」を報道する使命を現代まで引き継いでいます。日露戦争の日本海海戦を最初に報道するなど、100年以上前からニューヨークにとどまらない世界的なカバレッジを行う新聞社として存在感を示してきました。  

          米国報道メディアの威力:Vol.3「The New York Times」

          米国報道メディアの威力:Vol.2「マードック帝国」

           ルパート・マードックはオーストラリア生まれのアメリカ人で、世界的なメディア王として知られています。日本には彼が直接的支配しているメディアはないので、日本人にはあまり馴染みがないかもしれません。  しかしその影響力は、メディアのあり方を考える上で日本の将来にも興味深い示唆があると思います。マードックが、ほぼ一代でどのように巨大メディア帝国を築いたか、また米国の社会の変化にどう関わっているかについて、紹介したいと思います。 David Shankbone / CC BY

          米国報道メディアの威力:Vol.2「マードック帝国」

          米国報道メディアの威力:Vol.1「調査報道」

           10年以上前に米国に住み始めて最も衝撃を受け、 いまだに感心し続けていることの一つは、報道メディアの幅の広さと奥の深さです。この先何回かに分けて、米国の報道について書こうと思います。第一回目は「調査報道」について。  Investigative journalismといって、政府や企業の発表に頼らずに、当事者(被害者や一般人など力を持たない人)に密着して時間をかけて一つのテーマを取材し、点と点を繋ぐストーリーを浮かび上がらせるタイプの報道で、米国社会の移り変わりに大きな影

          米国報道メディアの威力:Vol.1「調査報道」