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私の認識力 = 愛情指数

私は記憶力というより、認識力が低い。

例えば、漫画のキャラクターは
記号が似ていると混同しやすい。

少年漫画にある尖った髪の毛だけで
サンデー連載の漫画も
ジャンプ連載の漫画も
ほぼ同じに見える。

さらに言えば、勝手な脳内変換も多い。
ワンピースに出てくるチョッパーを
バイキングヘルムを被っている小ぐまと
つい先日まで思い込んでいたし

*【B.B.クィーンズ】(古い…)にいた
男性ボーカルみたいなキャラが
骸骨だったのを知って驚いた。
検索したら名前はブルック。

*アニメ「ちびまる子ちゃん」主題歌 
「おどるポンポコリン」を歌っていた

当然、流行りのアイドルグループは
何が何だかさっぱりで。

自分と直接関係ないテレビの向こうは
大勢が歌っている何かだし
ソロで歌う誰か
この程度で事足りる。

基本的に興味がないことは 
覚える対象としてすら 
認識していないのだと思う。

私の脳の、潔さよ。



ところが日常生活で、この分類は
しばしば私を窮地に追いつめる。

買物に行った先のスーパーで
人の良さそうなご婦人から
親しげに声を掛けられる。

手探りの会話をにこやかに続け
散歩で会うあの人か!と繋がったり
町内会で一緒だった人だ!と思い出したり
さらには「赤の他人かよ‼︎ 」という罠もあり

かなり綱渡りでスリリングな状況を
何とか切り抜けている。

いつぞやは全く知らない男性が
私の顔を見るや相合を崩し
「うわー、久しぶりです!」
親しげに話しかけてきた。

旦那の関係者かもしれないと
失礼のないように話しをしていたら
「あー、忘れちゃってますね」
そう苦笑される。

人違いではないですかと尋ねたら
相手は大学時代の知り合いらしく
私の名前どころか、旧姓まで覚えていた。

知らない人が、私を知っている。
こう書くとサスペンスっぽいが
実際、かなり怖い。

旦那ペンネームも挙げ
「先生にも、よろしくお伝えください」
彼は礼儀正しく挨拶をしてくれた。

「OB会なんかの機会に、また」
そんな風に返して、お開きになり
私は、ようやく緊張から解放された。

肝心の名前を聞き忘れたと気づいたのは
帰宅後、旦那に話したときだった。

小太りで髪が少し長くて、メガネかけて…
特徴にもならない特徴を伝えると
「うん、そんなんで分からんよ」と
旦那に一言で、切り捨てられる。

自分か、自分以外か。
そこまで突き抜ければ楽なのに
そう出来ない私は、小心者だなと思う。



昔、デヴィ夫人が飼っている犬の中に
違う犬を紛れ込ませたら気付くかという 
ドッキリ企画がテレビで流されていた。

デヴィ夫人は小型室内犬を
10頭以上飼っていて
そこに同じ犬種を入れてしまえば
分からないのではないかというのだ。

実際に手入れの行き届いた小型犬が
1頭増えていたとしても
分からないかもしれない。

決してデヴィ夫人をバカにしてではなく
同じ犬種に紛れた1頭なんて
すぐには分からないだろう
そんな気持ちだった。

けれども、夫人は気付いた。
(そう記憶している)

当時は、すごく感心したのだが
きちんと犬と向き合っていれば
双方向の信頼関係が築かれることを
私は知らなかった。



犬との関係は、明確で。

沢山の中にいる1匹ではなく
沢山の中で特別になった1匹たちと
そうで無い1匹がいるのなら
特別でない1匹は、目立つはずだ。

逆に、自分にとって特別な1匹と
その他沢山の犬たちだったら
自分の特別は際立つに違いない。

飼い主は間違いなく
同じ犬種がひしめき合う中で
自分のパートナーを見つけられる。

犬だって、飼い主を探して
アイコンタクトをしてくるだろう。

人と犬の繋がりは
周囲が考えているよりも深く強い。



人付き合いが苦手な私と
内弁慶で臆病なラルゴ

繋がるべくして繋がったと
今でも思っている。

イタグレ100匹の中にいるラルゴでも
私は絶対に見付けられたと思うし
ラルゴも私を見付け出しただろう。

勿論、そうならなかったかもしれない。
けれども、言い切れるだけの愛情があった。

抜けているラルゴだから、私たちが分からず
パニックに陥る可能性は充分にあるし

見付けた!と私が違う犬に抱きついて
旦那が絶句する姿も、あり寄りのありだが
そんなコトはちゃっかり傍に置いておこう。

思い出は、美化されるものだ。

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