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しっとり甘い柚子茶のワルツ

こちら本来は去年の12月あたりに執筆していたのですが、うっかり投稿を忘れておりました。タイムラグがありますこと、ご了承ください。

 最近、気がついたら習慣になっていたのが、柚子茶を飲むということだった。柚子の皮独特の少しビターな味わいに混じり、被せるようにして甘さがゆらゆらと立ち昇ってくる。この頃は何をしていたのかも思い出せないくらい日々が目まぐるしく動いている。今の私の中にある感情を、放出したくてパソコンの前に座るのだけど、結局書き切ることができずに下書きで冷凍保存されたものが折り重なっている。

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 ほんの数週間前、Amazonで毎年恒例のブラックフライデーなるものがやっていて、決して買うつもりはなかったのだけれどつらつらと見ていたらどうしても、どうしても冷蔵庫が欲しくなってしまった。その時使っていたものは、2007年に発売されたもので指折り数えてみたら、買ってから16年も経っていた。ブランド名はNationalで、確か今はPanasonicに統合されたからもはや過去の遺産状態である。耐久年数は10年ほどだったはず?だから、我ながらよくもまぁこんなにも持ったなぁという感じ。

 16年もの月日をともに歩んできたわけだから、それなりに感慨深くなるものかと思いきや、現金なもので私は数日後に届く予定の新しい冷蔵庫にただただ心躍らせていた。何せ、それまでは一人用の冷蔵庫だったので兎にも角にも容量が小さい。作り置きのためにカレーを二つくらい作ったらそれだけで満室状態。冷凍庫も、もはやふるさと納税で注文したものが入らないのである。容量は138L。おかげで毎回、まるでテトリスをやっているような心境で食料を詰め込んでいた。

 それが今回、かなーり思い切って540Lの冷蔵庫に買い替えた。普段私は高い金額のものを買うことがほとんどないに等しいので、流石にこのときばかりは指がプルプルと震えてしまった。何度も何度も頭の中でシミュレーションをし、本当にこのタイミングで買っていいのか私!?と自分で自分に問いかけたのである。が、人間とは不思議なものでいざポチッと購入のボタンを押してしまうと、高い買い物をしたなんてことは綺麗さっぱり忘れてしまうのである。

※ちなみにブラックフライデーの時は思わず小躍りしてしまうくらい、数万くらい安かった。採算取れるのか心配になってしまうくらい。型落ちでも、全く問題ないレベル。

 決意表明してから数日後、無事冷蔵庫は傷一つなく我が家に辿り着き、ヤマトの逞しい人たちがえーえーこらひーこら言いながら設置してくれた。それからだいたい数日間くらいバタンバタンと扉を開け閉めしてニヤニヤしていた。これまでテトリスをしていた時間が嘘のように、とにかくなんでも入る。まるごとチルドなる機能があって、ラップもいらない。それから氷も、タンクに水を入れるだけで自動的に製氷してくれる。(最初ガラガラ!という音が突然して、私はそのたびにど、泥棒??と、飛び上がっていた)

 とまあ、昔に比べて私の生活周りも少しずつ、少しずつだけれど便利になっていく。正直、多少時間かけるくらいが日々過ごす上では日常のありがたみをわかるもんだろうくらいに捻くれた気持ちでいたのだが、いざ文明の利器の力に預かると、もう昔の生活には戻れなくなってしまうのである。私は資本主義の尻に敷かれている。

 そして他方、年の瀬が近づいているところもあり、今部屋中を大掃除するのにてんやわんやとなっている。自動掃除機ロボットが欲しいところであるが、そこまでのお金の余裕はないのでひとまずは通常の旧世代の掃除機をガーガー言わせながら使っている。実はこの時間はさほど苦ではない。自分の部屋が綺麗になっていく様を、多少なりとも労力を使いながら見るのが結構楽しいのである。

 ガスレンジ、風呂まわり、洗面台、ベランダ。一つ一つの場所を綺麗にしていくたびに少しずつだけど、自分の中のモヤモヤとした気持ちが削ぎ落とされていく気がする。部屋の中が汚いと、なんとなく心が詰まる気持ちがする。何もかもうまくいかないような気がしてくる。だから、せっせせっせと片付けをする。昔幼い頃は片付けができなくてよく周りからペシペシ言われていたのだが、我ながら人は成長するものだと自画自賛をしている。

 あわせて、外も寒くなってきたからベランダで育てていたいくつかの植物を室内に持ってきたところ、これがちょっと後悔するくらいのレベルでキノコバエという小さな虫が出没するようになり、頭を悩ませている。もう、本能レベルで彼らに対して嫌悪感を抱いてしまうのである。なんなら、Gの次に嫌いと言っても過言ではないかもしれない。

 いろいろ調べてみると、キノコバエは人体に全く影響のない人畜無害な奴ららしいのであるが、何せ彼らのあっちを飛んではフラフラ、こっちを飛んではフラフラ、というなんとも道が定まっていないというか、優柔不断な飛び方がなんとも神経を逆撫でするのである。自分の横を掠めるたびに、いつにない俊敏さでパシン!と手を叩くのだが、彼らは私の思いを知ってか知らずかするりと抜け去ってしまう。なんとも憎らしい限りだ。

 そんなわけで、近頃は穏やかな日々を過ごしつつも家周りのことでバッタバタとしている。こうして、気がついたら年末が終わってるのかな。少し虫騒ぎが落ち着いたら、ゆっくり時間かけて今年を振り返っていきたいと思います。もしキノコバエを退治する方法を知っている方がいらっしゃったら、ぜひ教えてください。今もちょうど私の前を…(パチン!)

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 怒り狂った気持ちを鎮めるため、熱々の柚子茶を一日の終わりに飲んでいる。そして、とろりと甘い柚子茶によってワルツを踊っている。気分は上々、健康志向。朝起きたらキノコバエたち、いなくなったらもっと生活の質上がること間違いなしです。

【後日談】

 ちなみに、結局自動掃除機は諦め、今年の始まりに思い切ってコードレス掃除機を買ってしまいました。当時は迷いに迷いましたが、今は自動掃除機でなくてよかったと思っています(ルンバをうまく使いこなせないどころか、振り回される気がする、自分のキャパ的に)。ということで、今は毎日5分、掃除機をかける日々。コードってこんなに邪魔なシロモノだったのだと今更ながら学んでおります。

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