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暗黒女子/秋吉理香子

かつて清水富美加さん主演で春に映画化もされているらしく
本屋さんで大々的に売り出しており、気になって購入。
 
 
「舞台は女子高。
お嬢様キリスト系女子高の文芸サークルの部長
が学校屋上から落ちて死んでしまった。
他殺か自殺かはまだ分からないが
亡くなってから1週間経った今
文芸サークルの誰かが殺したという噂が流れている。
果たして彼女の死の真相は!?」 

という内容。
 
 
 
文芸サークルというと地味なイメージがあるが
部長であるいつみ(亡くなった子)は
高校経営者の娘であり
才色兼備で
とにかく目立つ存在。
 
 
文芸サークルは部員数7人で
校内みんなからの憧れの的。
部室はいつみパパ多額の寄付で特別に作られており
防音・キッチン設備で部屋は豪華絢爛
貴重な本もたくさんあり
ただの部室ではない。
正直、ちょっとあまりにもすごすぎて
リアリティがない。

 
本文は副部長(清水さんが演じた役)小百合さんの語り口調で始まる。
サークル恒例行事の、薄暗い部屋の中で、部員持ち寄りの闇鍋会。
闇鍋をつつきながら、いつみの死をテーマにそれぞれが小説を書き、朗読をする
という話なのだが
残念ながら、個人個人であまり文章のクセが出ていない。

高岡さん(ラノベ調)と古賀さん(理系)、くらいか?違いが出ているのは。
 
  
 
この小説のポイントは
部員全員がいつみ最高!犯人は○○だ!だからいつみはすずらんを持って死んだんだ!と必ず書いているところ。 
そして内容が人によって大きく異なり、○○の名前はみんな違う。

いつみの死をテーマに小説…の割に
これじゃエッセイじゃん!と思うような内容だったが
実際は創作部分もあるので
エッセイに見せた小説…ということなんだろう。
 
 
最初の朗読内容で
いつみの体調不良の内容は察したし
登場人物からあの人だよなぁというのも察したし
小説を読んでいく中で
何人かの犯した罪には気づいた。
しかし、いつみのすずらんを持っていた理由本人ネタバレが一番あれだったなぁ…
センス悪い。

多分いつみは性格極悪で
だけどそれ以上に○○が性格悪いんだろうなぁと思ったら
当たってた。

 
読み進めていく内に
何が嘘か何が本当か推測できる課程は楽しかった。
ただ、全部読み終わっても伏線回収できるところと
何が嘘か本当か明言しないところがあるので
そういった意味では
ミステリーとしてちょっとモヤモヤ。
 
メンタル的な怖さは好きだけど
肉体的なグロさは私は好みじゃない。
 
 
防音設備に闇鍋……って時点でお察ししたが
いつみの考えた内容の闇鍋だった方が
メンバーはまだ楽だったろうなぁ。
小百合さんの闇鍋奉行、最悪だわ。

 
小百合さんの閉会の言葉を読み
清水さん引退の時の言葉の意味合いが分かった。

 
暗黒女子というタイトルだけど
女子同士の友情は暗黒ばかりじゃない。
確かに女性が複数集まると派閥が生まれたりはするが
上手くいったりするとめちゃくちゃ楽しい。
女性同士二人組で仲がいいと、バカップルみたいにイチャイチャ仲良くていい。

 
人間関係は信頼で繋がる。
人を上下で見たり
秘密で脅す関係は返り討ちにあうだけ。

いつみも小百合も寂しい人間だ。

私は友だちに恵まれた。
仲良くしてくれて本当にありがたい。


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