見出し画像

絶歌 神戸連続殺傷事件/元少年A

まずビックリしたのは小説チックな文体。やたら比喩表現、引用がある。
遺族を無視した出版の件でも賛否両論だが
この文体がまた好き嫌いを分けるに違いない。
個人的には読みにくいがまぁ読むのをやめるまではいかない、文章が上手いといえば上手いと思った。

 
一部は生まれてから、事件を起こし、医療少年院に行くまでの話。

二部は少年院を出てから、今に至るまでの話。

 
時折グロい表現が出てくる。
事件詳細をウィキペディアで見てもうぉっ…となるが、なんでこの辺を細かく書くんだよ………と、突っ込みたくなる。

 
二部においては職場での先輩の家のエピソードがなんともいえない。
社会に出てからお金を稼ぐ苦労をし、人並みに生活することに苦戦し、色々な人に支えられ、人の優しさに触れ、心が苦しく揺れ動く……所謂「更正」「贖罪」まではいかなくても、それの一種ではないかと思いたい。

 
読んでいて思うのは、私も少年Aになり得たというところだ。
そっくりとは思わないが、少年Aの気持ちに共感するところはいくつかあった。
自分が汚れていると、きれいなものや優しさや好意に恐怖するよね。

 
バランスが崩れてしまったり、著しく過剰なところや希薄なところがあるだけで、彼はおそらく生まれつきのモンスターではない。

 
人におすすめはできないが、一度読む価値はあると思う。
ただそれは私が子を持つ親だったり、被害者関係者ではないからであって
被害者関係者は絶対に読んではいけない本だと思う。


画像1


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?