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利用者に電話をした時

施設で陽性者が複数人出たため
施設は営業を取り止めた。

 
私は陰性だったため
営業停止中も毎日施設に行っては
事務仕事や下請け作業をやっていた。

 
コロナ禍になり、在宅支援というものができた。

利用者に毎日複数回電話をし
体調を確認したり
自宅で何をしているか聞き
それを記録するのだ。

 
前の職場では
利用者に電話をすることはあまりなかった。
私担当の利用者はほとんど家族と暮らしていたので
大抵は保護者に連絡した。

 
だから利用者に
利用者の携帯に電話をするのは
なんだか新鮮だった。

 
在宅支援時は
利用者と電話をするが
大抵は親がそばにいるし
何ならスピーカーになっていて会話を聞いている。
大抵途中で親が口出しをする。
だからちょっと緊張する。

 
利用者Aさん「どもども~!Aでぇ~す!今日も元気でっす♪」

Aさんは電話に出ると
いつだってその元気さや明るさで私を和ませてくれた。

 
 
利用者Bさん「もっしも~し♪まーさきさ~~んでーすか?今日の熱は80度でーす!(母:「違うでしょ、36.8!」)そうでした~36.8で~す。パブロン知ってます?パブロンを開発した人は本当にすごーいですよ。パブロンはいいですね。」

Bさんは親子漫才のようなやりとりやパブロンのPRをしだして、思わず笑ってしまった。
施設と変わらない口調にホッとしたのだ。

 
 
利用者Cさん「もしもし?なんだ、真咲さんか♪おう、元気か?俺は家の手伝いやってるぞ。お風呂掃除したりな、エアコンのフィルター掃除。」

Cさんは電話をかけられるが、自分から電話をとることは苦手で、今までなかなか施設からの電話をとってくれなかった。

だけど今回私が電話をすると、電話をとってくれた。
Cさんは気分屋さんだが
毎日電話では嬉しそうな様子だった。それが嬉しかった。

 
 
利用者Dさん「はい、Dです。体調は変わりないです。今日はおばあちゃんの病院の付き添いです。」

Dさんはしっかりした口調で毎回電話に出た。
施設ではくだけた話し方をする時もあるが
電話で職員と話す時は真面目モードになるのかもしれない。

 
私が電話担当をしたのはこの四人だった。

 
施設営業をしていない時
職員しか職場にいないと
普段なかなかできない事務や下請けがはかどる。

 
いつもなら利用者が作業中も活動中もわぁわぁして
事務室にも遊びにきて
仕事がなかなかはかどらないけど
でも
どこかホッとした。

 
利用者がいない職場は物足りない。

 
早くまた利用者と関わりたい。
直に顔を見て話したい。

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