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ショーペンハウアーの音楽観とは何か

音楽は、人間の心に深く響く芸術で、言葉では言い表せない感情や思想を伝えることができます。

哲学者のショーペンハウアーは、音楽を他の芸術とは異なる特別なものと考えました。彼は、音楽が表象や観念によらず、直接に意志としての世界の本質を表現する唯一の芸術だと主張しました。音楽は、人間の感情や欲望や苦悩を音の動きや調和や対比によって表すことで、意志の現れとなるのです。ショーペンハウアーは、音楽を聴くことで、人間は自分の意志を超えた普遍的な意志に触れることができると考えました。

ショーペンハウアーは、自身も音楽愛好家であり、フルートやギターを演奏したり、楽譜を集めたりしていました。彼は、音楽の中でも特にバッハやモーツァルト、ベートーヴェンを高く評価していました。彼は、これらの作曲家の音楽が、意志の表現として最も優れていると考えていました。彼は、バッハの音楽を「音楽の聖書」と呼び、モーツァルトの音楽を「音楽の最高峰」と呼び、ベートーヴェンの音楽を「音楽の英雄」と呼びました。

ショーペンハウアーは、これらの作曲家の音楽を聴くことで、自分の哲学のインスピレーションを得たとも言われています。彼は、自分の主著『意志と表象としての世界』の第三版において、ベートーヴェンの交響曲第九番の第四楽章の歌詞を引用しています。この歌詞は、シラーの詩『歓喜の歌』から取られており、人類の兄弟愛や自由を讃えています。ショーペンハウアーは、この歌詞が自分の哲学の精神に合致していると感じたのでしょう。

このように、ショーペンハウアーは、音楽を哲学的に考察することで、人間や世界について新しい見方を提供したのです。

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