【詩】 いま十代であったなら

秋の声を聞くたびに
貴女の一通のメールを思い出す

風邪が治ったらキスをしようか、と
貴女は私を飛び跳ねあがらせたのを
覚えているか

まだ、ふたりとも手を繋ぐことさえ
一大事だった、遠い過去の話

いまならLINEだろうか

ところで、
いま私たちが十代であったなら
どんな恋をしていたのだろう

自宅に電話をかけ父親が電話に出ないかと
ビクつくこともなく、
電話代に財布を呪うこともなく、
メールが届いていないのでは、と
何度も問い合わせをしたりしないで……

いま私たちが十代であったなら
どんな恋をしていたのだろう

ふたりの繋がりをメールアドレスに
求めたり、
バッテリーに密かにプリクラを忍ばせたり、
君のために選んだ着信音が鳴らないか
今か今かと待ちわびて
心弾ませていたあの感覚が……

いま私たちが十代であったなら
どんな恋をしていたのだろう

いま十代であったならどんな感覚で
貴女を愛していたのだろう


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