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#2 小児科クリニックでの心理臨床1

主に,身体の不調を抱えるお子さんとその親御さんが訪れる小児科クリニックでは,日々,さまざまな症状を訴える子どもたちが診療を受けています。

私はその一角で,臨床心理士・公認心理師という「こころの専門家」(以下「心理療法家」という。)として,お子さんとその親御さんの心理的支援を担当してきました。

身体の診療だけでは見えづらい子どもたちのこころの内にも,様々な感情や思考,想いが渦巻いています。痛みや不調と向き合う彼らは,同時に,恐れや不安,時には孤独感を感じることがあるかも知れません。

また,正誤溢れる情報に翻弄されてしまい,お子さんの身体とこころの育ちに心配や不安を抱いている親御さんがいらっしゃることも少なくありません。

私たち心理療法家の役割は,症状や病気といった「見える」部分だけでなく,「見えない」こころの部分にも目を向けることにあります。

そして,お子さん,親御さん一人ひとりが抱える胸の内を理解し,それに応じた支援や正しい情報を提供する必要があります。

お子さんたちの中には,身体の症状があらわれる以前に心理的苦痛を経験している場合があることも少なくありません。

医学的検査をしても異常所見がみつからない,しかし,お子さんは身体の苦痛を訴えている。そんなとき,私たち心理療法家には,身体的な症状の背景にある心理的な要因を探り,治療に役立てる糸口を見つけることが求められる場合があります。

身体の診療を主とする小児科クリニックのなかでの心理療法家は,小児科医師・看護師,時には保健師・助産師・栄養士等といった多職種との連携を密にしながら,親御さんの心配や不安の軽減を図り,お子さんたちの健やかなこころと身体の成長をサポートする一翼を担います。

この記事では,「小児科クリニックでの心理臨床」の入り口部分をお届けしました。

秘密保持義務を遵守しながら,今後も小児科クリニックでの心理療法家の役割等について皆さんにお届けしていきたいと思います。

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