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台湾上空で散った向田邦子


今日、8月22日は今から41年前、一人の日本人女性脚本家が飛行機事故で急逝した日だ。

その作家とは向田邦子。
彼女が存命ならば93歳になる。

51歳の若さで台湾の空に散った、彼女の今の姿を想像するのは不可能だが、彼女の姿がなくても男女問わず、現代の若者に最も人気が高い作家(私の中では脚本家である)の一人として、愛され続けている。

今日、たまたま向田さんの41回目の命日ということで、彼女のことを取り上げたが、彼女は何故、41年もの長い間、新たにファンを獲得し続けているのか?
不思議に思う人もいるのではないかと思う。その答えを僕なりに書きたいと思う。

その51年の人生で、向田さんが描き続けたものは『人間』だった。そしてその人間が縁あって集まり、成立するコミュニティが『家族』だ。

その『人間』にも『家族』にも男と女、親と子というように、様々な立場があり役割がある。

その中でも、一人一人に焦点を当てると、複雑な人間の持つ側面というものが、否が応でも浮き彫りになって来る。

その否が応でも浮き彫りになる、人間の持つ善や悪、虚栄心や傲慢さ、格好悪さやみっともなさといった、誰もが持つ人間の性というものと、向田さんは向き合い続けた人だったと思うし、 そういった、ちょっと救いようのない人間というものから、 どちらかと言うと、そういう弱い立場の人間を好んで、温かな眼差しで描き続けた人だった。

向田さんが遺していった作品が41年も愛され続け、若いファンを獲得し続けているということは、元々の向田さんの魅力でもあり、紡ぎ出した文章が何にも代え難い、非常に魅力的なものであるということは、大前提にあるのだが、やはりいちばんの大きな要因は、

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