だいすけ

教員。担当教科は理科。探究理科ラジオというネットラジオを不定期でやっています。学校教育…

だいすけ

教員。担当教科は理科。探究理科ラジオというネットラジオを不定期でやっています。学校教育、理科の授業、好きな音楽のことについて書きます。

マガジン

  • クラスがしんどい。と思いはじめた中学校の先生へ。

    クラスがしんどい。と思いはじめた中学校の先生へ、ちょっとでもしんどさを減らせるようなコツや小技をお伝えします。まだ書き途中ですが、ぜひ笑覧下さい。

最近の記事

手で『見る』ということ 〜視覚特別支援学校の理科授業〜

 以前から本を読んで興味を持っていた、筑波大学附属視覚特別支援学校の生物の授業。今回ダイアローグ・ラーニングの井上さんのご紹介で、手で触って観察するという武井洋子先生の生物の授業を見に行くことができた。 ものすごく勉強になったので、気付いたことや考えたことのメモとして書き残しておく。メモなので断片的で読みにくいかもしれないが、悪しからず。授業の本筋の詳しい内容や実践の背景については以下の本を読んでほしい。 「あっ!溶けて粉々になった!」  我々の訪問に合わせて、本でも紹介

    • ありふれた学校批判

       「一斉一律の授業を行うことによって、学校は子どもの主体性を奪ってきた」とか、「学校が対話する機会を奪ってきたから、子どもの民主的な態度が育っていない」というような、学校教育を批判するよくある言説。これってもしかすると、学校を授業や制度などのほんの一面でしか見ていない、ものすごく解像度の低い批判なんじゃないかと最近は思っている。 学校で子どもたちと一緒に過ごし、さらに教師の目の届かないところでの子どもたちの姿を想像すれば、これらの批判が当たっているようで、実はかなり的外

      • 『科学者の時間』という理科授業のワークショップをやってみた その1

         8月16日に、Learn by Creationというイベントを芝国際中学校・高等学校で実施した。『AI時代、唯一無二の「人間らしさ」どう育む?』というテーマのもと、教育関係者や保護者、学生、クリエイター、起業家など、業種の垣根を飛び越えて集まり、「新しい学び」について考えるイベントだ。  そのなかで私は『科学者の時間』のワークショップを担当した。『科学者の時間 ガチャドタ実験』というワークショップ名だ。(いつも授業づくりでお世話になっているダイアローグラーニングの井上さ

        • 授業の型とどう付き合うか?

           先日とある本のオンライン読書会で、授業の「型」とどう付き合うか?という話題になった。私自身「型」というものにあんまり良いイメージを持っていないし、できれば型にハマりたくはないと思っている立場だ。でも、自分がハマりたくない型とは一体どんなものなのか?またそういう型とどう付き合うかについて、自分の考えをまとめておきたい。 はじめてハマった型  授業にはいろんな型が存在する。私が教員になって初めてハマった型は、TOSS(Teachers' Organization of Sk

        手で『見る』ということ 〜視覚特別支援学校の理科授業〜

        マガジン

        • クラスがしんどい。と思いはじめた中学校の先生へ。
          6本

        記事

          個別最適の「個」とはどこまでか?

           以前から「個別最適化」「個別最適な学び」という言葉にモヤモヤし続けている。  そして最近、授業づくりネットワークの45号『「個別最適な学びと協働的な学び」を考える』が発売された。  すごく充実した内容で、いろんなことを考えさせられた。授業づくりネットワークのすごいところは、これ一冊で様々な角度からひとつのテーマを眺めることができるところだ。「個別最適な学びと協働的な学び」をめぐって、それを提唱した政策立案者や学者、肯定派と否定派、そして私のようにモヤモヤしている現場の教

          個別最適の「個」とはどこまでか?

          働く教師の疎外と、本来性のワナ

          「教師って大変な仕事なんですよね?」  最近、保護者や生徒にまで「教師って大変な仕事なんですよね?」とよく言われるようになった。以前は社交辞令的なノリで言われていたものが、最近のそれは感情がこもっている。本当に哀れむような、可哀想だという気持ちを込められた言葉を受け取ると、その場に居ても立ってもいられなくなる。  教師の仕事は大変かもしれない。忙しい。でも、だれかに可哀想と思われるくらい忙しいのかと言われると、そうでもない。というか、そうでもないぞと思いたい。正直、可哀想と

          働く教師の疎外と、本来性のワナ

          本当は授業なんて、失敗ばかりだ。

          授業の様子が記事になった  2月、私が教えている生徒たちの様子を取材に、ライターさんとカメラマンさんが来た。理科の授業自体は「科学者の時間」という名前でやっているのだが、今回は他校の教員仲間とやっている、「探究理科」という取り組みを取り上げて頂いた。もうこの際名前などはどうでもよくて、自分たちが大事にしていることを、ここまでしっかり言葉にしてもらえたのは初めてで、出来上がった記事を読んだときはとても感激だった。  自分の授業、生徒が学ぶ様子を取り上げてもらったことはこの上

          本当は授業なんて、失敗ばかりだ。

          学びの「個別最適化」は最適か?

           コロナ禍で加速したGIGAスクールの隆盛によって、学びの「個別最適化」という言葉がどっと教育現場に押し寄せてきた。その言葉の出所を探ると、平成 30年の文部科学省が行った『Society 5.0 に向けた人材育成に係る大臣懇談会  新たな時代を豊かに生きる力の育成に関する省内タスクフォース』にある。その資料では、「公正に個別最適化された学び」を実現するために、ビッグデータやAIを活用し、一人ひとりの学びの興味やペースに合ったオーダーメイドな学びを提供する必要性が書かれている

          学びの「個別最適化」は最適か?

          教員の仕事と時間、そしてブルシット・ジョブ

           教員の働き方改革が進んでいないらしい。  教員の働き方を変えなければならないのは大いに賛成なのだが、「時間」を教員の仕事を測るものさしとして強調しすぎる最近のムードには慎重になるべきだと私は考えている。今回はその辺りの考えをまとめたい。 教員の仕事は時間では測れない  教員の働き方改革をめぐる動きのなかで、「定額働かせ放題」という言葉に代表される、勤務時間外の仕事には残業代を出すべきだという主張が目立つ。時間外に働いた人が残業代を求めるのは全くその通りだと思いながらも、

          教員の仕事と時間、そしてブルシット・ジョブ

          「評価」、この厄介なもの。

           授業づくりネットワークの「評価」の号を読み合う講座に参加した。  この号はおもしろい。学校での「評価」というテーマを真ん中に、様々な立場の人たちがさまざまな視座・視点でもって記事を寄せている。おそらくこの記事の人とあの記事の人が直接意見を交わしたら、一向に分かり合うことなどないくらい(むしろケンカになりそう)、幅広い主張が1冊の本に凝縮されている。「評価」を取り巻くモヤモヤした複雑な現状を、複雑なまま受け取ろうとすることができる。こういう教育雑誌は授業づくりネットワークし

          「評価」、この厄介なもの。

          教育のコンテンツ化に抗う。GIGAとかDXとか。

          石川晋さんの個人通信noteを読んだ。 今月のみ無料。次月以降も購読することにした。 この記事の中にある、この部分に考えさせられた。  私もどちらかとえばICT推進の立場だ。普段の授業では、生徒たちは自分の使いたいタイミングでChromebookを開き、実験を撮影してファイル共有したり、調べ物に活用している。生徒に課すレポートなども提出はデータか紙の選択ができるようにしている。テスト前には、基本的な問題や生徒から質問あった問題についての解説動画をアップしている。  その上

          教育のコンテンツ化に抗う。GIGAとかDXとか。

          クラスがしんどい。 その6 生徒に直接聞いてみよう。

           今週もお仕事、お疲れ様でした。しんどいクラスに居ると、本当に心身ともに疲れますよね。心に余裕があったらお読みください。  さて、前回はどんな話だったでしょうか。そうです、あなたの『目に見える範囲で』クラスの中の関係を見てみよう。という話でした。『クラスがしんどい。』シリーズの最初では、気になる生徒と教師であるあなたとの人間関係について書いています。今度「その1」から読んでみてくださいね。    そして前回からは、クラスという集団の中での関係性について考えています。気になる

          クラスがしんどい。 その6 生徒に直接聞いてみよう。

          クラスがしんどい。 その5 クラスの中の関係性を見てみよう。

           さて前回までは、クラスがしんどいと感じる大きな原因になっていると思われる、気になる生徒と教師との関係性をどうやって築いていくのかに焦点を当ててきました。今回は、クラスの生徒同士の関係性からくるしんどさについて考えていきたいと思います。  個人的には、気になる生徒と関係を築こうとするのは、担任の仕事の中ではそこまで難しいことではないと思っています。なぜなら、気になる生徒は、その行動やふるまいで教師にシグナルを発することができるので、関係性が目に見えるからです。例えば、あるとき

          クラスがしんどい。 その5 クラスの中の関係性を見てみよう。

          クラスがしんどい。 その4 気になる生徒との関係性をあたためる、ちょっとしたコツ。

           さあ、ここまでの復習をしましょう。  このnoteでは、クラスがしんどくなってきたなあと悩む先生が、まずどんなことをやればいいのかを書いてきました。ぜひ前の記事をお読みください。まず大前提!ヤバいと思ったら、クラスから逃げてください。あなたのせいではありません。こうなったのは学校、教職員のパワーバランス、地域、子ども、家庭などのあらゆる原因が重なり合って、ただあなたのクラスで表面化しただけなのです。だからいったん逃げるが勝ちなのです。それを指導力が不足しているだとか言って一

          クラスがしんどい。 その4 気になる生徒との関係性をあたためる、ちょっとしたコツ。

          クラスがしんどい。 その3 ダメな生徒なんて、ひとりもいない。

           前回の復習をしましょう。教師のあなたと生徒との関係性は、シンプルに人間関係である、という話をしました。生徒は教師が教育を施す対象である以前に、人と人との人間関係がベースにあります。あなたにとって言うこと聞かないどうしようもないヤツである生徒は、あなたのことをいつも何か言ってくるどうしようもない教師だと思っているはずです。そんな関係性を打開するためには、相手の好きなものやら嫌いなものを知ることから始まる、という話でした。気になる生徒の嫌いなものや好きなもの、知っていますか?そ

          クラスがしんどい。 その3 ダメな生徒なんて、ひとりもいない。

          クラスがしんどい。 その2 教育ではなく、人づきあいをしよう。

           こんにちは。自己紹介は「その1」でやったのでそちらをご覧ください。  前回の復習ですが、最初の技術を覚えていますか?  はいそうです、 『ヤバくなったら、逃げるが勝ち。』  です。自分より大事なものなんてありません。ヤバいなと思ったら、後先考えずにクラスから距離を取る。教師でもしんどいときは学校を休む。これがまず大事です。休みを取るのも大切な技術のひとつなんです。  学校の先生って真面目です。ヤバいなと思っても、自分よりも周りを優先しがち。だからこそバーンアウトする若い先生

          クラスがしんどい。 その2 教育ではなく、人づきあいをしよう。