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部活が変われば日本は変わる

私の人生で大事なことの多くは部活動で学びました。とても部活動というものに感謝をしています。一方で、今までの部活動の仕組みは今後成立しないでしょう。新しい形を見出せなければ部活動は消滅すると思います。

まず教員の長時間労働の原因の大部分は部活動にあります。教育の一環という位置づけでありながら教員の自発的な取り組みという、業務の一環なのかそうではないのか、という微妙な立ち位置に部活動はありました。それは昭和の時代、どこをみてもみんな大変な働き方をしている時であり、また教員の事務負担も今ほど大きくない時代には成立しましたが、現在では成立しません。教員の自発的な活動と言いながら実際には断れない例は多いです。もし業務として強制すれば労基法違反になるでしょう。

ではなぜ教員が部活動の顧問をしなければならないのか。一つは中体連、高体連のいくつかの競技、および高野連は学校名以外の出場を認めていないからです。地域のクラブや任意のクラブであれば試合に出られません。ですから部活が必要になり、部活の顧問が必要になり、教員が顧問をすることになっています。近くでは学校にお願いに行ったけれど顧問の成り手がおらず、試合に出られなかった中学生の話を聞きます。これを解決するには各協会の出場は「学校の部活動に限定する」という一文を「中学生、高校生の大会にする」書き換えさえすればいいわけです。

では、仮に部活から民間クラブに移行すると、無償ではなくなるので、格差が生じるのではという指摘もあります。これに対するサポートはもちろん必要ですが、基本的に有償にし、必要なご家庭には金銭的なサポートがあるという形が望ましいです。まず大前提に携帯に払うようにスポーツにもお金を払うと頭を切り替える必要があります。無償の部活の仕組みが続く以上、行政のサポートはありながらも基本、誰かは無償で働くことを意味します。

部活動に熱心な教員の方もいらっしゃいます。こういう方が日本のスポーツを支えてきました。スポーツを教えたい、少しぐらい労働時間を伸ばしたって構わない。部活の改革はこういう方達を排除するのかというと、そうしてはいけないし、日本にとっての損失になると思います。教員の兼業規定を認めれば、放課後は立場を変えることにはなりますが、今までと同じように指導が行えます。

部活は外に出せないと思っている方の多くが練習時間を週に10時間以上確保しようとしています。しかし、欧州では10時間以内でメダリストは輩出できています。さらに言えば欧州では高校生まで全国大会がありません。全国大会があるとチャンピオンを決めるためにトーナメント制になってしまい、試合に出られない補欠の子供を生み出してしまいます。すべての子どもがスポーツを楽しむという理念に反するので禁止されています。部活動改革の話は、部活動文化を変える話にも繋がります。時間をきっちり守り(一部の長時間練習をするクラブを管理する仕組みも必要)子供たちに子供らしく遊べる時間や学ぶ時間を提供するべきです。スポーツのみになることは、選手の引退後の問題とも関係します。また、私のように世界を目指したい子供も、楽しく週に1,2度スポーツをしたい子供もいろいろいるはずです。

最後はおそらく財源の話になります。現在中学生の数は320万人、文化部も含め半数程度が部活をやるとして160万、そのうち学習支援費が必要なご家庭を割り出し、そこに予算を当てても途轍もなく大きい金額にはならないはずです。社会保障費が123兆円と比較すれば、子供の未来への投資と考えると高くないと思います。

私なりの結論は、

①まず現在の部活動は一旦停止する。地域単位や学校単位で法人を作り、部活動を継続したい学校はそちらに移管する。

②教員の兼業規定を変え、兼業可能にする。兼業をしてでも指導をしたい教員はそちらで指導を行い、望んだ教員以外は部活動の指導は原則行わない。

③中体連、高体連、高野連のルールを、学校の大会から、中学生高校生の大会に変更する。これによって地域クラブなど民間クラブが試合に出場できる。

④スポーツ指導の謝礼が払えないご家庭に週に数時間の練習は権利として行政の予算でカバーする。それ以上は自己負担。

⑤学校の校庭を放課後は、地域クラブに開放し、放課後の事故や問題は学校の責任から外し、行政と地域クラブが担う。保険もそれに伴いカバーする内容を変更する。

最後に部活動から学ぶことは多いということは私も大いに賛成します。ただ、水泳選手はほぼ部活動ではなく民間のスイミングクラブで育っていますが彼らが学んだこととの違いは何かを比較してみると、私は少なくとも彼らとの違いを感じません。もし私の感覚がそれなりに皆さんと同じであれば、同じ学びを得るとしても学校内の部活動である必要はなくなり、「スポーツを行えばよく」なります。

さまざまな問題が絡む中で、私はこの部活動問題で一番大切なことは

「子供たちの未来によって何が良いことか」

という軸をしっかりと決めそこから判断することだと思います。子供の未来を中心に据えると、必要な枠組みも見えてくるのではないでしょうか。

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