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【中編】習慣形成のプロが読む、「ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣 」書評

前回の記事(URL)に引き続き「ジェームズクリアー式 複利で伸びる1つの習慣」の書評中編です。

前回の記事では、

<基本 なぜ小さな変化が大きな違いをもたらすのか>と<4つの習慣ステップ(習慣ループ)>

について記事で述べましたので、本記事では具体的にその4つのステップについてお伝えしたいと思いますお伝えしたいと思います

早速参りましょう。

著書について:

“Atomic Habits” by James Clear 2018年10月出版
『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣 』
著: ジェームズ・クリアー 訳:牛原 眞弓
パンローリング 2019年10月12日発売

<第一の法則 はっきりさせる>

 最も大事なことを初めに言います。それは、習慣形成に足りないのはモチベーションではなく、「明確さ(はっきりさせる)」、ということです。<いつ>、<どこで>、<何をするか>を明確にしましょう。

<人は正しく見ていない>
 一時期レコーディングダイエットというものが流行りましたね。そのわけはこの「人間は正しく見ていない」、つまりは<いつ>、<どこで>、<何を食べているか>を理解してないからです。
 少ししかお菓子を食べていないのに、、、と言いながら意外には500kcalもお菓子を食べていたりします。少しと言いつつ女性の1日の1/4ぐらいをお菓子でとっているとすると500✖️30日で15000kcal、およそ中性脂肪2kg相当のカロリーをとっていることになります。

 僕の結論としては、レコーディング、すなわち食事記録をアプリですることです。「あすけん」を用いて、自身の生活をレコーディングすることです。これで一発で自分の食生活を「はっきり」可視化することであります。

 <新しい習慣を定着させるコツ>
 新しい習慣を定着させるには、精神的なコストをなるべく下げる必要があります。

1、「現在の習慣」をしたら、「必要な習慣」をする。
2、〈必要な習慣〉をしたら、〈したい習慣〉をする。

実際にそれで運動習慣が身についた例をあげましょう。

あるお客さんにとって、コーヒー豆をミルで砕くところからドリップするまでが朝の習慣として完全に定着していることをトリガーにしました。部屋がコーヒーの香りで包まれることは彼にとっては幸せなことでしたが、その間、スマホをだらだら触ってしまうことに勿体なさを感じていた、という報告も受け、せっかくだからここに運動習慣を入れよう、という対話を始めました。

コーヒーの淹れる時間はせいぜい数分間であることから、短時間でも成果の出る「HIIT」という4分のワークアウトを取り入れることで、以下のルールを設定しました。

1、朝起きたら、お湯を沸かし始める
2、コーヒーミルでくだく
3、TABATAプロトコルの音楽を流す。
https://open.spotify.com/playlist/20CQozNnKgyfDrVUTfL2HZ?si=7yY_kqGlTaWSFazxdtZ7wg
4、お湯が沸くまで、バーピーを続ける

いざ聞いてみると特に特殊なことはなく、「既存習慣と新習慣をくっつけただけ」なのですが、これで週5以上HIITを行うことができたのです。

既に行っている習慣にくっつけると極めて認知コストを低く新習慣を取り入れることができることが示された一例でした。


<モチベーションを過大評価せず、環境を重視する>

 習慣が続けられないことを「精神力」「意思力」「気合い」を原因にしがちですが、この本ではそれを正面から否定します。人の習慣作りは環境づくりで決まります。
 僕が真っ先にこれを実践したのは「お菓子が買うのが好きでついつい朝からクッキーを食べてしまう」という女性のお客さんでした。家には果物とクッキーがある。そしてなぜかクッキーが一番見えやすいところにあるのです。キッチンとリビング、この二つから欲望の源をけし、どうしたらストレスを感じずにクッキーを避けられるか、ということを考えました。それが以下の3つのルールです。

1、常温で保存できる果物を1番目につくところに置いたこと
2、クッキーを二人で相談して保存庫に毎度しまうようにしたこと
3、上記を踏まえて、「朝起きて顔を洗ったら果物とナッツを一つかみ食べて、その後にコーヒーを入れる」という具体的な行動を決めたこと。

 これで週5回程度食べていた朝のクッキーが、週1回にまで落ちました。本人も達成感を感じ、ストレスなく80%もの「不必要なカロリー」を削減できたのです。ここに「クッキーを我慢して果物を食べる」という意思は介在しなかったのです。気づいたら節制できていたからです。

 また、コロナ禍において、ワンルームで済む新卒のサラリーマンが全然仕事に集中できてなかった、という報告が知人の法人であったのですが、これは作業机の目の前にベッドや布団があることによって、疲れたらいつでも休める環境であったことが原因のようでした。

行動のトリガーは場所が持つコンテクストによって引き起こされることがあります。つまり、ベッドや漫画があるワンルームの部屋では、休むための部屋として脳が認知してしまい、仕事の生産性が下がってしまうのです。


<第二の法則 魅力的にする>


  魅力的にする、とはどういうことか。それは生理学的な観点で言えば「ドーパミンという神経伝達物質を出させる」仕組みにすることです。ドーパミンは欲求や願望が満たされる時に出ることで幸福感を感じますが、もう一つ重要なのは、「欲求を予測した」だけで分泌されるということです。例えばラットならば砂糖を見つけた時、食べられる自分を想像して、ドーパミンが出て興奮しますし、ギャンブルでは当たった時だけでなく、BETする瞬間にドーパミンが分泌されることになります。
 ここで我々が応用できるのは、既にわかっている欲求と習慣を抱き合わせることです。僕はこれまでの例としてはダイエットをよく挙げておりますが、もし読書習慣を通して学ぶことの優先順位がそれよりも高いのならば「一章読むことがクッキー1枚を食べて良い」といったルールがそれに当たります。クッキーを食べた分だけ読書をしたことになるわけです。(ダイエットには効果的ではないが、読書習慣には効き目を発揮します)
 また、目標や行動は常に「する」「できる」という言葉に置き換えるべきです。それは「魅力的にする」ためにポジティブな感情と結びつける必要があるからです。習慣を「〜〜しない!」というのは本人にとって何一つ楽しいことではないので、継続が続きません。

また、自分が真似したい習慣を体現する人と一緒にいる、というのも魅力的にする一つの方法です。

なぜなら私達は、

1、近しい人たち
2、多数の人たち
3、力のある人たち

いづれかの習慣を真似ていると言われているからです。(「第9章 習慣作りにおける家族と友人の役割」より)

類は友を呼ぶ、と言われますが、お酒を飲む人と仲良くしていると当然飲酒量が増えます。筋トレ好きの友達と交流して一緒にジムに行こうといえば難なくジム通いを成功させることができるのです。

<第三の法則 易しくする>


 この法則が本書のタイトルでもある「最小習慣(Atomic habits)」と言うのにもっと相応しい法則です。たった1%でもいい、ゆっくりでもいい、しかし着実に前に進む。これが習慣を作る上での鉄則です。特に真面目な人ほど「最善/最高/完璧」を目指すゆえにそれを破ってしまった時に反動として生活の大敗が起きてしまうのです。だから、ダイエットでの観点からは、

・「ジョギングを10km頑張る!!」のではなく、毎日ジョギングシューズを履いてみる。
・「お菓子を食べない!」のではなく、お菓子を食べるときは半分にして、片方を閉まってから食べ始める。
・「毎日筋トレ1時間」ではなく、スクワットを1日3回。そこで辞めてもいいし続けても良い。

上記のように細かく設定しなくても本書ではとにかく2分間やる!という「2分間ルール」も推奨してます。ダイエット以外の例ならば、

・「読書をがんばる」、のではなく「本を1Pだけ読む」
・「日記を毎日書く」ではなく「日記帳を開く」にする。

がわかりやすい実例です。

いづれにせよ、上記くらいのゆるさで頑張る方が続くことがこれを読んでいる方にもすぐわかるでしょう。1日50kcalの消費だけでも1年で中性脂肪3kg弱痩せることになるのです。1年で3kg痩せるって十分ダイエットとして成功していますよね。毎日とりあえずスニーカーを履くだけ、という目標でここまで達成できるとしたら、いますぐできる気がしてきませんか?

<習慣を自動化する>
 人は無意識の悪習慣を持っているものです。例えばスマホでのSNS中毒にとってはゲームアプリやSNSアプリを削除し、ブラウザで行うようにするだけでも使用時間が相応に減ります。また何時以降は強制的に閉じるよう、使用時間を変えることもおすすめです。実際に僕も、お客様も20%近くこの設定で減少しました。
そうした実績は最近のiPhoneでは、スクリーンタイムで全てデータ化されているのでとても参考になるはずです。

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※画像は星野が実際に設定している休止時間、そしてスクリーンタイムの様子。

<第四の法則 満足できるものにする>

 次の法則では、習慣を継続させるために「満足できるものにしよう」という法則です。決めては「即時報酬と遅延報酬」という考え方です。誰もが時間を活用したり、カロリーを制限したり、運動習慣を増やすことは「将来的に」良いことをもたらすことを知っています。が、未来に対する投資は「遅延報酬」と言われ、脳の原始的な部分を喜ばすことができません。だから、良い習慣に対してはなるべく「即時報酬」を設計すべきなのです。
 本書では、1800年代に味のしなかったチューインガムに、ミントの香りをつけたり味をつけることで、チューインガムの満足度(噛む→スッキリする)を増加させたり、歯磨き粉にも同様にスッキリさせるような薬品を混ぜたことで、洗浄能力とは無関係なのにヒットさせた、という例を引き合いに出し、この法則を説明しています。
 「満足する」と記載すると欲望を受け入れることをイメージしてしまうかもしれません。例えば「5分筋トレしてクッキーを食べる」という「満足」を設定した場合、むしろ太ることになってしまいますね。
 これを踏まえ、第四の法則に関して、僕がお勧めしたいのは「可視化」です。「正しい習慣」というのは概して、効果がスタンプ、数値化、達成ごとに貯金をするという形で、見える形にするのです。

 <習慣トラッカー」を記録する。>

(1)行動を思い出させるような、目に見えるきっかけを作る。
(2)自分の進歩のようすが見えると、それを失いたくないので、自然とやる気が出る。
(3)習慣の成功をひとつ記録するたびに思い出す
(「第16章 良い習慣を毎日続ける方法」」より)

 弊社では、お客様にはささやかではありますが、記録シートを配り、オフラインサービスの方には実際にスタンプ、オンラインサービスの方には、データでやりとりをしています。

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なお、行動記録は3~5が現実的に達成できる負荷なのでお勧めです。多すぎると挫折します。

<見張ってくれる人がいればすべてが変わる>

 逆に「満足させる」とは逆の考え方で「習慣をやめると不快感が増加する」ための施策もこの本は教えてくれます。

それは「習慣契約」をするアカウンタビリティー・パートナー(証人)を設定することです。

 例えば、弊社が経営するバディトレでもお客様が友人をご紹介いただいた場合で合意が取れれば、アカウンタビリティパートナーとして契約を結びます。
 同じLINEグループにて、毎日報告をすることで、お互いの合意が取れれば罰ゲームや褒美などを設定し、毎日の習慣にフォーカスするわけです。個人的には目標達成の方が「どっちが体重減るか!」みたいな勝負になり、短期的には成功します。習慣達成の方が、他者比較をしないので、勝負が終わって継続し、長期的な習慣になる傾向にあります。

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※アカウンタビリティパートナー同士のお客様のLINE

以上、4つの法則を紹介しました。

まとめ:

本記事では、前編で述べた「4つのステップ」である習慣ループ

1、「はっきりさせる」
2、「魅力的にする」
3、「易しくする」
4、「満足できるものにする」

こちらを具体的に実践することで、間違いなくあなたの人生は2021年みのりあるものになるでしょう。
逆にやめたい悪習慣は

1、見えないようにする
2、つまらなくする
3、難しくする
4、満足できないものにする。

を取り入れることを実践に移しましょう。

次回の記事は最後の記事として、応用編をあげます。コンパクトにまとめましたので是非ご覧ください!記事はこちらから。


ご案内:

バディトレでは習慣形成のプロである代表星野が、記事で述べられていることや手法で行われる、エビデンスベースドのカウンセリングを通して、
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