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親なきあとも安心してもらいたい-僕が考える成年後見人の大切な視点-

おはようございます。

先週末の息子のST(言語聴覚療法)がちょっと面白かったのでシェア。

息子はSTで色んなゲーム的なセラピーを受けている。その中のひとつに生き物や物のイラストが描かれたボードの上に同じイラストのチップを乗せ、その時にその物の名前を言うといったゲーム(?)がある。1年以上やっているからチップを正しい位置に乗せることはほぼ完璧。ただし発語はまだまだ苦手で全ての物の名前はまだ頭に入っていなかったり、滑舌が悪く聞き取れなかったりする。

そんな中「鹿」のイラストに「鹿」のチップを置いた。置くときに放った言葉は

「ニコウエ」

!?

STの先生(言語聴覚士)
「もう一回言ってみて?」

息子は再び
「ニコウエ」

やはりニコウエと言っている。何なのだニコウエとは、いつもは微妙に鹿から外れて「ピカ」とかくらいになるのに明確に異物混入。ニコウエ…二個上?小学3年生に鹿っぽい人がいるとか?いやいやそんなことない。とにかくこの日の鹿は「ニコウエ」と言う生き物となったわけだ。※最終的には先生から息子に適切な修正が入りました

息子の宇宙語は宇宙なだけに果てしなく広い。ワールドワイドどころでなくスペースワイドだからな。


①成年後見制度とは

さて本題。

成年後見制度や成年後見人といった言葉は聞いたことがあるだろうか。
まずは成年後見制度とはどういったものか簡単に説明。

認知症、 知的障害、精神障害などの理由で、ひとりで決めることが心配な方々は、財産管理(不動産や預貯金などの管理、遺産分割協議などの相続手続など)や身上保護(介護・福祉サービスの利用契約や施設入所・入院の契約締結、履行状況の確認など)などの法律行為をひとりで行うのがむずかしい場合があります。

また、自分に不利益な契約であることがよくわからないままに契約を結んでしまい、悪質商法の被害にあうおそれもあります。

このような、ひとりで決めることに不安のある方々を法的に保護し、ご本人の意思を尊重した支援(意思決定支援)を行い、共に考え、地域全体で明るい未来を築いていく。それが成年後見制度です。

成年後見はやわかりHP 

何となくお分かりいただけただろうか。

スルーしてもらっても読めるように以下の文章頑張って書いてみる。

②成年後見制度は転換期

僕は社会福祉士として成年後見人になるべく必要なカリキュラムをこなしている最中。
また、仕事の関係で成年後見制度については関わりを持っていたことがある。

成年後見制度はまだまだ不完全な制度だ。
そして実は今、成年後見制度は転換期を迎えている。
ここ数年で様々な見直しや方針が発表されているのだ。その全てが良いものであると僕は思っていないが、見直しや方針の発表が多いと言うことは国も重要性と必要性を強く感じている証拠であると考えることが出来るから嬉しく思っている。

いろんな角度からの話や思いはあるが今回は報酬と業務のバランスそして視点について書いていく。

最近ニュースで発表されたのがこちら。

成年後見業務を行う側からすればとてもありがたいと思う。特に社会福祉士にはありがたいのではないかと考えている。
というのも成年後見人の報酬の原資は被後見人の資産で、報酬額これまではその資産額で決定していたからだ。そして資産を持つ方は往々にして弁護士が成年後見人になることが多い。その根拠がこちら。

ニュース記事にあるように確かに弁護士も無報酬で後見業務を行なっていることはあるだろう。そしてそれは他のどの職種も同じような状況。報酬の支払えない被後見人の報酬は市町村で助成される制度もあるが格差があるしそもそも助成額は多くはない。

③成年後見人の報酬と業務のバランス

そして今回強く語りたいのは報酬と業務のバランス。
成年後見業務は被後見人等の状態の重さに応じて3つの種類に分かれている。
状態の重い順に「後見(後見人)」「補佐(補佐人)」「補助(補助人)」とある。

この3種類の報酬基準についても差は不明瞭だがあまりないようだ。

と言えば
「状態の重い被後見人を支援する後見人に報酬をたくさん支払う仕組みを作るべき」
という声が上がることだろう。ノンノンなのだ。

後見業務は状態の重さ=支援の大変さとはならない。

例えば後見人がつく場合は被後見人の認知機能が著しく低く施設などで安定した生活を送っていることが多い。だから正直後見業務といっても日々何かを気をつけたりやらなければならないことというのが少ないことが多い。
対して補佐人、補助人がつく場合は認知機能も残っており生活に問題を抱えていることが多く、日々何かを気をつけたりやらなければならないことが多くなりがち。といってももちろん状態の軽さ=支援の大変さというわけでもない。ここが判断の難しいところだ。ただ知っておいてほしいのはこのような一概に状態の重い軽いで支援が大変と判断しづらいということ。

④成年後見人の視点

そして最も伝えたいのは視点

はじめに成年後見制度を説明したように成年後見業務は
財産管理、身上監護、意思決定支援をなどを行なっていく。
弁護士や司法書士は財産管理の視点を中心に置く傾向があるが、僕個人としては成年後見制度は福祉の制度であり権利擁護の視点を中心に置くものだと考えている。
被後見人等のこれまでの人生などの背景や家族、友人関係などを知っていき、その人自身が幸せに暮らしていくお手伝いをするものだと考えている。だからこそ尊い仕事なのだ。その人であれば何を望むのか想いを馳せて隣にいる仕事。それこそが成年後見人だと思っている。
ちなみに今はここら辺の視点を擦り合わせるために、各専門家が集まって情報交換をするなどの会がもたれていることもあるようだ。権利擁護の視点を持った弁護士ってなんか最強だな。

⑤利用者側として

僕はいずれ自分や妻、そして息子にもこの制度を利用してもらう可能性が低くはない世帯だ。時代の流れからして結構多くの人がこの制度を利用する可能性があると思っている。そんな利用者側の立場としては願わくば報酬は利用者負担でなく、社会保障費として捻出できる社会になってもらいたい。

⑥親なきあとも安心してもらいたい

最後に。僕の目標のひとつは利用者を幸せにする後見人をたくさん輩出することだ。そうすることで障害を抱える子を持つ親の親なきあとの心配を少しでも軽くしたい。これは障害を抱える子を持つ親のみならず広く多くの人のためになると確信している。先日の社会福祉士の研修では「後見業務に携わりたい」とプライベートの時間を使って学びにきている仲間がたくさんいた。将来は色んな方からの依頼を受任して、語り合い励まし合いながら後見業務が出来るといいねと語り合った。すごく心強い。とはいえ僕自身の歩みはまだまだ1合目。これからも登り続けていく。

おわり。

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