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七色

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詩やエッセイにイラストを添えて、季節の果物のようにお届け出来たらと思います。
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あおぐろいそら

あおぐろいそら

川べりをずっと歩いていられる長い道
さっきまでの夕焼け大盤振る舞いももう終い
背丈が父親の腰くらいの男の子が
川をのぞく手すりにもたれ、二人して居る
通りすがりに聞こえてきた声は
「ねえ、空があおぐろいね」
「そんな言葉は無いよ、青黒いだなんて」

あったのだけど、私達のうち誰も知らず
男の子は青黒い、を創り出し
あおぐろい空を出現させた
それから日の暮れる度、あおぐろい空を見ている
一番の初めに

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綿菓子処方

綿菓子処方

ちょっと落ち込んだとき、心の中で綿菓子を作ってみます
細いピンクの糸と一緒に、心もふわふわ渦を巻き始め
もやのようになってくると、ほわほわ甘い匂いに満たされ
まん丸に巻き上げる頃には、ふわふわほわほわのこころが出来上り
自分を割り箸とするのがコツとなります

雲の訪問

雲の訪問

家を留守にしていたら
いつも良く見ているあの雲が
家に上がってはみ出していた
きっと一度入ってみたいと思っていたんでしょう

木漏れ日をくぐると

木漏れ日をくぐると

「静かね」
蝶は耳元にささやきくる
羽ばたきで光や影やら混ぜ合わせて
粉をちらしては
そことここをにじませ
梢に羽を閉じるごと
時を止めてみせてくれる