見出し画像

映画『藁にもすがる獣たち』- 生きてさえいればどうにかなる…のか

映画館のチケットをずっと使えずにいたコロナ禍。

2021年、久々に映画館で観た映画です。

映画館自体は混んでいたものの、この映画を観ていたのは僕をふくめ2人しかいませんでした。

日本の小説が原作の韓国映画

原作は日本人作家・曽根圭介さんが 2011年 に発表した犯罪小説です。

日本の小説が、韓国で映画化されました。他国の作品を自国で映画化するほどの熱量があるのでは、と思い興味を持ちました。

あらすじ

父から継いだ店をダメにしてしまった男。自分の借金のせいで家庭がくずれ夫のDVにも耐えている女。恋人の連帯保証人になってしまい借金に苦しむ男。闇金に手をつけどうにか金を工面しようとしている女。

この4人に1億円を得るチャンスがくる。人生を立て直すため、1億円をめぐり欲望が暴走しはじめる。

「大金を手にしたら誰も信用してはいけない。」

この1億円はどこから来たのか。誰の手に渡るのか。

スリリングな犯罪サスペンスです。韓国映画らしいグロいシーンもありました。

誰しも過去がある

映画では1億円を手に入れるために犯罪が起こっていきます。しかし、犯罪をおこなった者は、制裁を受けます。

これがあまりにいさぎよくてびっくりします。

生き残るか、死ぬかは、もはや運。「生きてさえいればどうにかなる」という言葉があまりに無意味に響きます。自分で割り切ったつもりでも、過去をすっぱり忘れることは不可能。

少しでも後ろ暗い思いがあると、足を引っ張られていく……。

主演のチョン・ドヨン。妖艶な女を演じているのですが存在感が抜群です。原作の曽根さんは、「小説を超えている」と評価しています。

登場人物が多く、展開も速いのですが、全員クセがあり印象に残ります。なによりストーリーがすっきりしていて混乱はありません。

シリアスなシーンとコミカルなシーンの緩急のバランスがうまい。

登場人物の行動にイライラさせられる、でもそれが人間くさくておもしろい映画でした。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?