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終わりとはじまりの過渡期「変容」の底へ/DANRO JOURNEYファシリテーター大村和広さんの想い

人と人とのつながりの中には、”目には見えない温かさ”がある。その温かさが増し、循環する時、きっと世界は今よりもっと明るくなる。そんな想いから創業したDANROは、2024年の1月「DANRO JOURNEY」をスタートします。

ファシリテーターを務めるのは、実践型対話スクールDANRO Summerのファシリテーターでもあった”かずさん”こと、大村和広さんです。なぜ「変容」をテーマに取り上げるのか、DANRO JOURNEYに込められた想いや背景についてお聞きしました。

大村和広(Kazuhiro Omura)旅するコーチ/世界を旅しながらコーチングを提供。現在は、日本の経営者向けにエグゼクティブコーチングを行っている。「個と組織の可能性を拓く」をテーマに、個人・組織・関係性の変容に関わるチームビルディング、リトリートや経営合宿などリアルな場づくりを行う。
これまで旅した国は40ヵ国。カミノデサンティアゴ1,000kmを歩いたり、キリマンジャロ登頂やパタゴニアを自転車で周遊、インドで瞑想の修行を50日以上行うなど様々な経験をする。趣味は、焚き火と山歩き。


自分の影の部分に、丁寧にステイする


━━かずさんは、経営者向けにエグゼクティブコーチングを提供、リトリートなどのリアルな場を主催したりなど活躍されていますが、今回なぜ「変容」をテーマにしたDANRO JOURNEYを行うことに?

かずさん:僕であり、DANROがなぜこれをやろうとしているかという問いに置き換えるとするなら、楽しいだけじゃない、深みのある対話を届けたいと思っていて。

DANROは「日常に対話を、対話を文化に」を広げようとしていて、その対話を体験する入り口としてDANROスクールがあると思っているんですね。対話に触れ、体験し、深めていく。そこでいろんな体感が得られるけれど、多くの人は対話というものの楽しさを感じていくと思うんです。

でも、対話って本当は楽しいだけじゃないというか。綺麗事だけじゃない、自分の弱さとか痛みとか傷とか、自分の”光と影”のようなものを両方扱っていけるような、もう少し深い対話の世界があるんですよね。

かずさん:「ありのままでいいよね」「なんでも言っていいよね」など、対話の素晴らしさももちろんあるけれど、なかなか一人では触れられなかったとか、本当は向き合わなきゃいけないと思っているけれど、そのためには結構ヘビーだなぁと思う部分が自分の内側にはある。

けれど、その自分のなかの痛みとか苦しさとか、影の部分にも丁寧に、そこにステイする時間があることで清濁併せ吞むような。人生の豊かさや幸せ、人としての幅が広がっていくんですよね。しなやかに進んでいこうとする人へ、この深い対話をする機会をつくりたいという想いがありました。

━━今回のテーマが「変容」にフォーカスされているのは、そこから繋がっていくんですね。


コントロールできない「変容」をどう過ごすのか


━━もう少し内容についてもお聞きしたいです。

かずさん:DANRO JOURNEYでは、主に自分の内側に潜り、4か月という時間を掛けてトランジションしていくプログラムを考えています。このトランジションとは「過渡期」だと思っていて、古いアイデンティティが終わり、ニュートラルゾーン(何もない状態)を経て、新しい何かが始まる。そのプロセスのことをトランジションと呼んでいます。

例えば、それは働き方やパートナーシップ、家族が変わるとか、人生の節目の変化が起こる時に、内的な変容が起こりやすい。ただ、外側の変化と内面の変容は必ずしも一致しないし、したくでもできないし、したくなくても変わらざるを得なかったりする。ある種コントロールできないものが「変容」だと思っているんですよね。


━━それはつまり、どういうことでしょうか…?

かずさん:もう少し具体的に言うと、会社が変わることも、結婚することも、仕事で新しいポジションにつくことも「変化」なんですよね。でも、その変化に伴って在り方が変わるのは別の話なんですよ。これまでの自分で新しい行動をしているだけでは「変容」を迎えていない。

けれど、それが新しい生き方なのか、やり方なのかは分からないけれど、何かがはじまっていく前の「なんとなくこのままじゃダメだけど、やり方が分からない」混沌とした時期があるからこそ、新しく生まれるものがある。その変容の時期を共に過ごしていけたらいいなって思うんです。

━━私の体験に照らし合わせると、離婚という「変化」をきっかけに、それまでとは違う生き方を選択するようになり、今の自分の価値観、生き方が確立されていった2年間がまさに「変容」だったのだろうなと。同時に、その時期はものすごくカオスだったなと思い出しました(苦笑)

かずさん:「これまでの自分」が知っている安全な状態から「何者でもない自分を体験する」未知な状態になることは、少し怖かったり、恐れがあると思います。でも、そこに留まることで自分にとって何が怖くて何が大事なのかに気付くことができるんですよね。

かつての原住民、ネイティブアメリカンやアボリジニなどが行ってきたビジョンクエストというトランジションの儀式だったり、自分と世界と向き合うヒーローズ・ジャーニー(神話学者のジョセフキャンベル)と呼ばれるようなプロセスがあるのですが、今回のDANRO JOURNEYはまさに、それらも参考にしています。
(参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒーローズ・ジャーニー


終わりとはじまりの過渡期「変容」の底へ


━━今のお話を聞いていると、その終わりとはじまりの過渡期は「リセット」とはまた違うんだなと感じました。何かはじまる時って、終わりとの間髪を入れずにタッチアンドゴーの人も多いと思うけれど、敢えてその時間、自分と向き合う大切さってなんでしょう?

かずさん:オットー・シャーマー博士のU理論というものがあるんですね。そこで、博士が世界中のイノベーション(卓越した成果)を創り出す個人や企業を研究した結果、イノベーションには似通った「Uの谷をくぐる」プロセスがあることを発見したんです。

━━「Uの谷」ですか?

「U理論における3つの動き」 『U理論(第二版)』 (英治出版)p109掲載図を参考に作成


かずさん:
イノベーションが起こる時、現在地である左の点から真横には移動しない。そこから徐々に深まり、これまでの自分の思考パターンで生きているダウンローディングの状態から、自分を内省し、ただ観察をしていくことでこれまでのいくつかのパターンを手放し、Uの谷へと下っていく。「これまでと新しい自分の間」へ行くことができる。

その谷を潜った先に、新しいものが出現していくのだけれど、底では何が正しくて何が悪いかすら分からない、不安定で混沌とした状態になるんですよね。しかも、このニュートラルゾーンって、どれくらい体験したら良いか分からないんですよ。1週間かもしれないし、2年かもしれない。いつはじまって、いつ終わるのかも全く分からない。

恐らく、多くの人は今の自分が過渡期なのかどうかって分からないと思うんです。けれど「なんかこのままじゃ良くない」とか「本当にこのままでいいのかな?」のような違和感があるのって、変化の予兆、サインだと思うんですよね。「このままでいいの?」って、まるで未来からノックされてるような

でも、我々はその違和感に気付いていたとしても、現在地(Uの左上)からはあまり動かないんです。日常が忙しかったり、潜ることは居心地が悪いから、すぐに浮かび上がってきてしまっている。

だから、勇気を持って底に行こうと。時間をつくり、場所を変えて、仲間たちと進んで自分の内面を見に行くことが必要なんだろうなと思うんです。DANRO JOURNEYは、そのための安心して孤独になることを体験する機会になったら良いなと思います。

━━人によって、底にいる期間や状態は違う。けれど、その場所にいることを分かっているだけで安心できるのでは、とも思います。ある意味ここに参加する方は、そんな自分を受け入れたいと思う人なのかもしれませんね。


全てはプロセス


━━このDANRO JOURNEYは、どんな人におすすめでしょうか?

かずさん:一生懸命頑張っているんだけど、なかなか立ち止まれない人に来て欲しいですね。みんなすでに頑張っていると思うんです。だから壁にぶつかったり、上手くいかないことが起こっていると思っていて。

でも、その頑張りは「これまで」と同じように頑張っていても、目の前にある壁を乗り越えるのは難しくて。新しい世界に足を踏み入れていく時、これまでのやり方に限界を感じて、自分にとって新しいステージに行く必要に思っている人が来ると面白いことが起きるんじゃないかな。人生の転機だったり、自分のステージが変わるタイミングとかね。

これまでのことを続けたくないけど、どうしたら良いか分からない。それって「何をやるか」じゃなくて「何を大事にしたいか」っていう、自分自身の在り方が変わる必要があるんだけど、そこにStruggle(困難や課題に取り組む)しているというか。そこに直面している人が来ると良いな。


━━どんな時間が流れるんでしょうね。

かずさん:どんな時間になったとしても、楽しみですよ。僕は、全てはプロセスだと思っているんです。今、自分に起こっていることも、今、自分が体験していることも、全部何かの過程であるというか。

それが何かが上手くいっている状態でも、絶望している状態でも。今、何かを諦めてるとか、変われないと思っていたとしても、その瞬間ではなく、時間軸を長くして見た時、その先にどうなるか分からない動いているものだから。

この場ですごくハッピーになるかもしれないし、残念に思うことが起きるかもしれない。だけど、どんなことが起きたとしてもその人にとって必要なプロセスだから、その時間を共に在れたらいいなぁって思いますね。

━━どんな自分が現れたとしても、プロセスなかの「今」だと知り、丁寧に関わるかずさんの存在に安心したり、励まされたり。誰も何もない真っ暗闇に独りぼっちは怖いけれど、そこに立つ一本の力強い木のような存在のようにイメージしました。


対話を通し、光と影と共に生きる


かずさん:時々コーチングのセッションだったり、対話ワークの場で、それまで話したことがないことが話せたっていうことが起こるんです。

その「それまで話せなかったことが言えた」って、すごくその人にとって大きな一歩で。世界中の誰にも話したことがないとか、自分でも気付かなかったことを言葉にするのはすごく不安だと思うけれど、初めて話せた、聴いてくれた、受け取ってくれたって体験があると、その人はそのことを扱えるようになるんですよ。

かずさん:初めて話すハードルは高いけれど、2人目にはそのハードルが半分になって、3人目には10分の1になっていたりする。そんな、その人にとって”こういう自分じゃいけない”とか、”自分で自分をジャッジしていることって、自分が思っているだけで世の中の誰も思ってないことがある。

話せたり、そういう自分がいることを見ることができると、自分で自分を受け入れられない状態から「自分の光と影」を共に扱えるというか、自分という人間の統合が起きてくると思っているんです。

それはすごく、その人の多面性とか多様性を表現していくことになるんだろうなって。それが4カ月の一瞬でもあったら良いなと思いますね。

━━その自分を取り扱えることの安心感。それが出来たことって、後々「そういえばそうだった!」と些細なことに感じられるくらい。それがプロセスだったと言えるようなものになりそうですね。


大村和広(Kazuhiro Omura)旅するコーチ
世界を旅しながらコーチングを提供。現在は、日本の経営者向けにエグゼクティブコーチングを行っている。「個と組織の可能性を拓く」をテーマに、個人・組織・関係性の変容に関わるチームビルディング、リトリートや経営合宿などリアルな場づくりを行う。
これまで旅した国は40ヵ国。カミノデサンティアゴ1,000kmを歩いたり、キリマンジャロ登頂やパタゴニアを自転車で周遊、インドで瞑想の修行を50日以上行うなど様々な経験をする。趣味は、焚き火と山歩き。

廣田 彩乃|インタビューライター
「今ここにいるひとりひとりの 今ここにある想いをつなぐ」人生の節目にこれまで歩んできた軌跡を振り返り、大切にしてきたものに気付くことで、今を愛おしむことができる。今しかない感情を言葉に遺し、未来の自分へ、届けたい人へと繋いでいる。( Instagram / note


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