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ハイタッチを無視された守備・走塁コーチの劇的にせつない表情

せつなさにズームイン。

2021年、全日本フェンシング選手権にて『パノラマ超エンジン』が導入された。パノラマ超エンジンとは、3Dの360°動画を撮影するテクノロジーのこと。

自分が見やすい画角に調整したり、好きな選手だけにズームインしたり、自由自在にアングルや被写体との距離感を変えられるらしい。しかも8Kなので、凄まじくキメ細かい映像を楽しめるという。

素晴らしい。
色を焼いて"焦げ茶"と名付けた人の発想ぐらい素晴らしい。

そして、フェンシングのみならず、他のスポーツにおいても重宝しそうだ。

野球の場合。
個人的に、ホームランを撃った選手がダイヤモンドを周る姿ではなく、ベンチのチームメイトや監督たちの爆発的な盛り上がり具合を見たい。

そして、タイミングが合わずハイタッチを無視された守備・走塁コーチの劇的にせつない表情を堪能したい。恥じらいを隠すために笑顔から真顔へ移行するまでの絶妙なグラデーションにズームインしたい。

また、「選手Aと選手Bはガチで仲良さそう」「外国人選手Cはトレーナーさんや通訳さんにも優しいんや(^^)」的な内部事情もベンチの様子から勝手に推測したい。


サッカーの場合。
ボールばかり追いかけるのではなく、ズームアウトして全体のフォーメーションを把握しながら見られる。

正味サッカーの戦術面は1mmも分からないが、「ないしゅー」「まいぼー」「にあ!にあ!!」的なフレーズを適宜叫ぶ処世術さえあれば事足りる。

また、画角を変えればグラウンドばかりではなく観客席にもフォーカスできるのではないか?

「体調悪いって言うからシフト変わったのにサッカー行ってるよな?」の文言&証拠映像を同僚に送りつけ、震え上がらせることも可能になる。


さらに、パノラマ超エンジンはスポーツ以外の現場でも活躍しそうだ。

音楽Liveの場合。
誰もが知っている国民的バンドなのに、顔と名前を覚えられているのは圧倒的な存在感を放つボーカルだけ。

それでもひたむきに音と向き合うスポ刈りのベーシストにズームインし、スパチャ的な投げ銭を送りたい。

その他にも、伝統芸能・観光・美術品の展示などにも活用できるそうだ。パノラマ超エンジンの普及が待ち遠しい。

ただ、360°から見られることで不具合が発生する業界もあるのではないか?

例えば、マジシャン。
トリックによっては、その角度から映されたらバレる的な事象もありそうだ。

そして、本業そっちのけのプロアルバイター。
飲食店の店内にカメラを設置された場合、店長やカウンター客から見えない死角が丸裸にされてしまう。

つまみ食いでいかに食費を浮かせるかに命を懸ける、盗人猛々しいプロフェッショナル・アルバイターは駆逐されるだろう。

パノラマ超エンジンがもたらす社会への貢献度は凄まじい。

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