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今度の日曜、娘の彼氏が挨拶に来る。

まえがき

これを元に小説書きました。一部ですが、気になるコピーをピックアップして小説にしています。YOASOBIならぬDARASOBI。それでは読んでください、listen…(狩野英孝風)

今度の日曜、娘の彼氏が挨拶に来る。

今度の日曜、娘の彼氏が挨拶に来る。

父親である私は、アフロヘアーにした。
俺らしさをストレートに。

「今日が君の、新しい誕生日だ」
友人である美容師の牧が鏡越しに笑った。

「マイケルジャクソンも通った道」

気になる生え際、行方不明。とスキップしながら家に帰る。

そして、土曜日の朝がきた。青い空。私の頭のような白い雲。

その日のボリューム感で天気がわかる。
と妻は洗濯物を外に干す。

寝起きに見る鏡が、
1番の目覚ましになる。

「だれ」

半年間、口をきかなかった娘が声をかけてきた。

なんで嫌われたんだっけ、デリカシーないことでも言ったかな。娘は気がついたら成人し、気がついたらひとり暮らしを始めていた。よく帰ってきていたようだが、私は完全に避けられている。

豆腐の味噌汁を飲みながら聞く

「なあ、彼氏の髪型、どんなんよ」

「え、アフロよりましだよ、どうしたのパパ。いきなりその頭」

「ツーブロックよりワンブロッコリー」

私は娘に名言を残す。
こうやってくだらない会話ができて、今日は飯がうまい。久しぶりに会話してくれた娘を嬉しくてガン見すると、また、

「だれ」

と言われる。
そうだ。この子は昔からこうやって美味しそうにご飯を食べる子だった。


さて、私の余命ははあと半年。

仕事も辞めた。
身体の調子が悪いまま仕事仕事で、気がついたら手術できない状態だった。

残念だが、娘の結婚式にはでられそうもない。

余命のせいで、結婚を早めるなんて言語同断。わが娘ならやりかねない。

だから、絶対言わない。
娘とまたこうやって笑える日が来たのだから。それで充分。

素晴らしい人生だった。
やりがいのある仕事、牧をはじめとする友人、妻、そして最愛の娘に囲まれた人生。

もし、日曜日の彼氏がいつか夫に昇格するのであればの話だが。
向こうでついでに見守ってやるとするか。


髪型じゃない、生き方だ。
忘れられない、人になる。

私は、自分の頭を撫でた。
白い雲を越えて、透き通る空の向こうにいくだけさ。

遺影がイェイになる。

あとがき

ローラーさんのnoteより引用

『Twitterキャッチコピーグランプリ』の1次、2次、3次の通過作品を公開しています。審査員をしている私がどんな作品を選んでいるのか、受賞はできなかったけど、どこまで審査を勝ち残ったのか気になる方にのみ有料で公開しています。

刺さるコピーがたくさんあります。このnoteはなななんと#ライオンをペットにしたくなるコピーも同時掲載だよ。お得だよ。
あなたはまえがきに戻るー。ぜひコピグラ参加してね(って増えたら審査大変なんだよな)



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