働きたい

母も夫も仕事へ行った
行きたくないとぼやいていた
それなら代わりに私が行きたい
行けるものなら私が行きたい
働きたい
叶わない願いを握り潰した
一人で過ごすには広すぎる家で
のろまな時計を眺めながら帰りを待つ
外に働きに出るなんて不可能な自分を
自分が誰よりも知っている
ペットのようにただ養ってもらうしかないことで
傷つくプライドはとっくに捨てた
病気と付き合いながら働いている人も沢山いる
こんなに重症でなければ
私もそんな風になれただろうか
生きてるだけで重労働
自ら命を絶たないように
耐えているだけで精一杯
労働者だった頃もある
休みもとらずに働きまくってた
それでうつ病になった
それで働けなくなった
なんて皮肉だろうと少し笑った
働き方を間違えただけで心を病むほど
人間は弱い
それを知らない人たちに警告したい
明日には生きる屍ですよ
モラハラパワハラそれでも逃げ出せない環境にいるなら
自分の命とどちらが大切か考えて
私のようになりたくなかったら
逃げる勇気を持ってください
今ならまたやり直せる
絶望に乗っ取られてからでは遅い
私自身がそのことの証明
呪われた生き字引
働くことは素晴らしい
それを知っていながら鳥籠に閉じ込められて
翼の折れた鳥は夢を見る
疲労感に染み渡るビールの味を
嫌なことがあっても励ましてくれた同僚を
弔ったはずの過去が染み出してきて
働きたいなぁ
心の声が口を吐いて
涙が一筋頬を伝った

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