ひとつになろう?

耳みたいな形の月ね
何度目をこすっても僕には耳には見えない
やっぱり僕と彼女は別人なんだなあ
こんな時ふと寂しくなる
何おセンチになってるのよ
僕の大抵の感情を見抜く彼女に笑われて
僕も笑う
出会った時魂の双子だと確信した
最低限の言葉で最大限の痛みを分かち合えた
でも僕は彼女みたいに煙草をカートンで買わないし
酒豪の彼女に全くついていけないほど下戸だ
僕と彼女は別物
その事実は明白だ
だからこそこうして抱き合えるんじゃない
僕の頭を抱えて彼女が囁く
耳に吐息が当たる
ちょっと興奮するからやめてくれ
彼女はそっと僕のペニスに触れる
ああまた見抜かれてる
大丈夫お月様しか見てないわ
柔らかな胸を押し付けられると
もうペニスは大きく固く屹立する
ひとつになろう?
頑是無く甘ったるい声で
もうとっくに引き返せない僕にとどめを刺す
いつも僕は失敗してしまう
世界で一番の宝物を本心では大切に大切に扱いたいのに
我を忘れて荒々しい愛撫を加えてしまう
彼女はか細い悲鳴を上げながら
僕の拙くて激しい愛情を受け止める
痛い思いなんて絶対させたくないから
彼女の泉が溢れるまで決して挿入はしない
でもいつだってそこは気づくと愛液で満ちていて
僕は乱暴に下着を脱ぎ捨てると
彼女と一体になる
ずっとここにいたいなあ
このまま時間が止まればいいのに
でも彼女の中は心地よすぎて
僕はさよならを堪え切れない
愛してるよ
最後の力を振り絞って深く突くと
彼女は大きく悲鳴を上げる
それを聞いた瞬間限界が来て
僕らはまた離れ離れになる
お月様しか見てないわ
あれがどうして耳に見えるんだろう
やっぱり彼女と僕は別物
射精したばかりの甘い怠さの中で
思い知るには少しばかり過酷だ
何また暗い事考えてるの
彼女は何でもお見通し
どんなに疲れていてもそこに座ると
心の芯まで癒される運命のソファ
そんなものを見つけた気分だよって言ったら
君はどんな顔するの

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