※2022年９月執筆。

村田らむ氏が10年間行なってきた潜入ルポをまとめた１冊。
文章だけで無く写真や漫画も載っており、とても面白かった。村田氏のYouTubeチャンネルやトークイベントの配信等をよく視聴しているので、話し方と文体が完全に一致していて笑ってしまった。色んな意味で怖い内容ばかりなのに笑える。

まず最初に、"村田らむと言えば"ということでかの有名な青木ヶ原樹海の話題から始まる。
デフォルメの効いた漫画の中に、首吊り死体の写真が２枚載っていた。一応モザイク処理は施されているものの、表情も分かるくらい薄い処理で、夜中に一人で読んだので、ちいかわみたいな泣き方した。

続いて北朝鮮潜入ルポ。韓国からの里帰りツアーを使うと安く行けるらしい。（※追記：現在そのツアーは行われていないとの由）
ツアー中、バスガイドが案内の決まり文句として日本人の悪口を言っていて、それに対し村田氏が「韓国人と北朝鮮人って日本の悪口しか言うこと無いんだろうな〜」とのほほんと言っているのが笑えた。
バスガイドに怒られて買えなかったようだが、北朝鮮の音楽のCDは非常に内容が気になる。

その後、韓国のスラム街へ行く話に。ある地域で、日本人の墓跡を家の土台にしたり階段にしたりしているのを発見し、これには流石のらむさんも引いていた。私も引いた。
一度韓国のソウルに行ったことがあるが、料理はどこのお店に入っても美味しかったのでまた行きたい。日常的にお粥を食べる文化があるのが良い。お粥好き。

ゴミ屋敷清掃バイトの話は読んでいて気持ち悪くなってしまった。私も家の掃除は苦手だが、あそこまではならない。と言うか、やろうと思って出来るレベルでは無い。
ゴミ屋敷と聞くと、コンビニ弁当の容器や空き缶、ペットボトル、衣類なんかが散乱しているイメージだが、そんなのはただの汚い部屋に過ぎないと知った。ホンモノは自分の汚物を溜め込んでいる。

年季の入った大量の汚物にまみれ、悪臭に吐き気を催し、ゴキブリや蛆虫に耐えながら、それでも「どの現場も楽しかった」と締めるらむさんが凄い。
彼はちゃんと（？）嫌だ、怖い、気持ち悪いという感覚を持ち合わせていながらも、興味を持って否定せず真摯に仕事をしているのが本当に凄い。「仕事だから出来た」とたまに書いているが、私は一般企業の事務仕事ですら怠けてしまう。こういうのって雇われ人思考なんだろうな。嫌な仕事でも引き受けて、最後までしっかりやるからこそ、ニッチでアングラな取材内容だけど食べていけているんだろう。

話が逸れた。「ゴミ屋敷でペットを飼っている人が多い」という話は動物好きの人間として鬱になった。そもそも自分の面倒さえ見られない人間（オブラートに包んだ表現）は動物を飼ってはいけない。病気等により、やむにやまれずそうなってしまったら、すぐ里親を探して欲しい。私に連絡をくれても構わない。
ゴミ屋敷になるまで物事を先延ばしにするタイプの人には、なかなか難しいと言うのは分かる。清掃業者に依頼し、生きている状態で動物達が発見されるだけ、まだマシなのかも知れない。

例えば、保護猫を受け入れる際は、里親希望者の職業や住環境を事前にチェックし、保護団体への定期的な連絡（猫の状態が分かる画像付き）が必要な場合が多い。本来であれば免許制にして欲しいくらいだが、虐待を防ぐ為に、ペットショップもそういった制度を設けるべきだと思う。

人間は、ある程度の年齢を越えれば、親から自立して生きる事が出来る。しかし、動物はそうはいかない。仮に何かの拍子に逃げ出せたとしても、人間に育てられた動物が外界で生き延びるのは厳しい。食糧を探すのも難しいし、病気に罹ってしまう可能性も高い。心無い人間から暴行を受ける場合もある。
コロナ禍を機にペットを購入し、コロナが落ち着き忙しくなったからと捨ててしまう人も多いと聞く。考えるだけで胸が痛み、辛くなる。
しつこいようだが、せめて里親を探すくらいの責任は持って欲しい。

新興宗教の話。「メンタルヘルス友の会」という団体は聞いたことが無かったので検索してみたが、まったくヒットせず、本著に書かれている内容が一番詳しかった。ホームページももう削除されている。

トム・クルーズが何らかの新興宗教の信者というのは聞いた事があったが、「サイエントロジー」という団体名は知らなかった。「サタデー・ナイト・フィーバー」や「パルプ・フィクション」で有名なジョン・トラボルタも信者らしい。
トム・クルーズのプライベートはよく知らないが、トラボルタは幼い息子を亡くしていたり、数年前に愛妻を亡くしていたり、かなりハードな人生を送っている事は存じ上げているので、新興宗教の信者というのはなんとも言えない気持ちになる。
こちらも検索してみたところ、偶然本日からサイエントロジー元信者の暴露番組がU-NEXTとHuluで配信されるとの由。よく見たらシーズン２だった。午後７時からYouTubeライブでシーズン１が一挙放送されるらしいので試しに観てみようと思う。

本著は他にも面白いトピックが盛り沢山で、読んでいて大変楽しかった。Kindle Unlimitedなら無料で読めるので、アングラ系に興味がある方にはおすすめ。