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三井住友銀行 外貨定期預金 金利上げへ 

三井住友銀行がドルの定期預金金利を0.01%→5.30%に引き上げると日本経済新聞が伝えています。

すごい引き上げっぷりですよね。
他の大手行も追随する可能性があるといいます。

でも、なんでだろうと思いませんか?

結論、大手銀行も営利団体です。
この結論だけで終わっても説明不足だと思うので、
今回は「何故大手銀行はどこもいままで上げてこなかったのか」ということに焦点をあてて、解説していきますね。

◆ ネット銀行はすでに高金利

いわゆるネット銀行と呼ばれる住信SBIネット銀行やソニー銀行などは
1年のドル定期預金の金利は5%台となっています。多くのネット銀行の金利は米金利の上昇とともにじわじわと上がっていきました。

銀行としては預かったドル預金を米国債など市場で運用すれば高い金利を得られます。なので、通常は銀行のドル預金金利は米市場金利の上昇にあわせて上昇します

銀行が預金金利がゼロのままで、国債などの市場金利がドンドンあがっていれば、銀行は預金を市場運用に回すだけでものすごく儲かります。そんなうまい話はないので、銀行が預金金利を引き上げて、顧客獲得競争が広がります。それが金利の基本的な仕組みです。

◆ では大手銀行はなぜ動かないのか?

これは顧客の動きと表裏一体だと思います。

日経によると三井住友銀とSMBC信託銀の合算でドル建ての預金残高は2兆円です。低金利でもそれだけ預金があったわけですね。

銀行は外貨預金の際、当初の1カ月だけ高金利にするキャンペーンを実施することがありました。外貨預金は円安リスクを抑える面もあり、顧客の需要が一定程度あったわけですね。

低金利でもお客さんが残ってくれるなら、銀行としてはありがたい稼ぎ口となるわけです。

ところがキャンペーン期間が終了すると、金利はほぼゼロとなる場合が多く、またドルに移したり、円に戻したりするときの為替手数料もかさみます。

この点、一部のネット銀行では1年などの長期間で5%といった高い金利を固定しており、為替手数料も大手銀行より安い事例が多くなっています。

なので「それならネット銀行のほうがいいじゃん!」という顧客も事実です。

◆「金利5%」も動けば、顧客は動く

金利が「0.01%」か「0.05%」かといった世界なら、わざわざ口座を開いて資金を移す手間のほうが気になるかもしれません。

しかし、「5%」ともなれば、無視できない人も多いでしょう。

私も個人会社の余裕資金はネット銀行で外貨定期預金にそこそこの金額を預けています。

ドルの金利が高いだけでなく、円安リスクも意識されています。余裕資金をドルでもっていれば、5%近くの金利が得られ、しかも円安が進めば為替差益もでます(円高になれば、為替差損が出ます)。

今後、外貨預金のニーズが高まる可能性は高そうです。そのとき、金利に大きな差があれば、顧客がネット銀行に一気に流れる可能性もあるでしょう。

三井住友銀行の金利急変にはこうした焦りもあるかもしれません。ほかの大手銀も追随するか要注目です。

◆ 金融リテラシーは必要です

一律に大手銀行の金利設定を批判するつもりはありません。

ただ、これだけの金利格差があったことは事実です。

投資信託の販売手数料も0%のものもあれば、3%ほどかかることもあります。

ちょっとした知識や、業者間の金利・手数料の比較ができれば、手元に残るおカネも大きく変わることはしばしばあります。

顧客が鈍感ならば、銀行にとってのうまみが大きく、金利を無理に変える必要性は低くなります。

漠然と、「この銀行は付き合いが長い」「この証券会社はCMでもよくみるから安心」といったイメージだけで取引するのではなくコスト面の見直しの大切さも改めて示していると思います。

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