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ピーチ・アビエーション(LCC)がつくられた理由がとても素晴らしかったので紹介したい。

『ビジョンとともに働くということ』(山口周✖中川淳)という本を読んだ。とてもおもしろく、そしてとても印象に残った内容があったので紹介したい。

さて、この本は「ビジョン」をテーマにした本なのだが、ビジョンは以下のように規定されている。ビジネスと社会課題の解決をつなぐのがビジョン

ここでいうビジョンとは、今どきの言葉を借りればパーパスに近いと思うのだが、例としてあげているのがEVのリーディングカンパニーであるテスラのビジョンだ。化石燃料に依存する社会をサスティナブルに変えるというもの。とても壮大だけれども、自動車会社としての「移動」を感じさせる単語は使用されていない。これが他の自動車会社とは一線を画すところだ。

そしてこの本の中で個人的にもっともおもしろかったのが、山口氏が語っているピーチ・アビエーション(LCC)に関するエピソード。山口氏が当時のピーチCEOである井上慎一氏から声をかけられ、人事制度を手伝ってほしいとお願いされたときの話。

ビジョンを明確にするために会社をなぜつくったのか、という会社の起業理由についての質問したところ、井上氏の答えは「世界から戦争をなくしたいから」というものだったそう。なぜ、格安航空会社が戦争をなくすことに貢献できるのか。山口氏はそう疑問に思ったそうなのだが、その答えがとても素晴らしかった。若いうちからたくさんの人が海外旅行を楽しめる環境をつくることができれば、文化を知り、土地を知り、日本人以外の人間を知ることになる。そうすると他国に爆弾なんか落とせなくなる。(by井上氏)ということだった。

素晴らしいビジョンだと思った。ただし、このビジョンは社外に向けて発信しているものではないようで、実際に企業のPHILOSOPHYを確認してみたが、それらしき言葉は掲載されていなかった。エピソード自体が10年ほど前のものなので、今は変わってしまったのかもしれない。

とはいえ、現在のPHILOSOPHYは、ヒト・モノ・コトの交流を深めるアジアのかけ橋となり、人間愛を育むエアラインとなるとある。「人間愛」という言葉に、井上氏の想いが受け継がれているのだと思った(私の勝手な想像です)。


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