【総文字数：1588字】

人を励ます時に気を付けたいこと

最近、人を励ます難しさに直面することが何度かあって、

・相手の思いを受け止めるだけに留める（聞き役に徹する）
・求められた時だけ自分の考えを伝える
・相手を信じて見守る姿勢でいる
・名言や他人の受け売りを使用しない（知識を披露したい欲を出さないため）

ってことを私は大事にしたらいいと、考えに一区切りついたので記録しておこうかと思って。

私は名言が嫌い

正しくは、私が苦しんでいる時に偉人の名言を使って励まそうとしてくるやつが嫌い。
そういう人の半数近くは「私はこんなにポジティブで綺麗な人間ですよ、根暗なあなたとは違って」とか、知識をひけらかしたくて無理やり名言を当てはめたりとか、とにかくマウントを取って悦に浸ろうとする意図が見え隠れして余計苛立ってくる。

例えば、

「神は乗り越えられる試練しか与えない」
私の周りの体育会系の先輩、熱血上司のみなさんが好きな文言らしく、幾度となく言われてきましたね。
本来の意味を知らないのに、この一文の都合がいい部分とか綺麗事だけを抽出して押し付けてくるのが本当に、本当に、黙ってろ、となります。
「それの本当の意味って知ってますか。実は試練って誘惑のことで、『神は、乗り越えられない誘惑にあわせることはなく、必ずその誘惑から逃れる道を用意してくれてる』って意味らしいですよ」
熱血上司黙らせたさに、ついついこう口にしてしまったことがある。
しかし、彼らは乗り越えられないことなんてない！って本気で思っているらしくて。
じゃあ、がんで死ぬ人、交通事故で生死の境を彷徨う人がいる、そういうことはどう説明がつくんでしょうか、と質問したかったですが、これを口にするのはあまりに生意気ですし、解雇ルート一択なので流石に控えました。

要は、

価値観を押し付けるなって言いたいんですよね。
何事も選択できる自由なこの時代に。
自由って良し悪しで、自分の意思で選択した責任を全て負う代わりに自由を得る側面もある。
だから、私の選択に他人のあなたが口を出すなって思ってしまうんです。
苦悩や落ち込みからの立ち直り方も人それぞれあるはずですし。

ただ、驚くことに、

根拠もなければ、確約もない「大丈夫だよ！」っていう他人の無責任な言葉に救われることもある。
とあるお客様のとある物品を紛失してしまった時、私は一人、深夜まであちこち探して回った。
どこをどう探しても見つからない。
焦り、不安、言い訳、謝罪、責任、自分への失望、何者かに向かって「謝罪してからひょっこり見つかったらただじゃおかないからな」とか。
そういう色んな思いが渦巻いて、「絶対ない。きっともうごみ処分場だ」と呟いた時、上に登場した熱血上司が「大丈夫だよ！きっと社内にあるって！」と言った。
もう、なんだか、胸がジーンとして思わず涙が出そうになった。
とか言いつつ、上司は探すのを手伝ってくれるわけでもなく、そう言い残して華麗に帰ったんですけどね。
泣きそうになった理由を数日考えて気づいたが、私は多分嬉しかった。
自分ですら自分を信じられなくなった時に、まだ私のことを信じてくれている人がいることが分かるあの一言に、悔しいが、正直救われた。
上司にそこまでの思いがあったかは不明だが、上司の一言で鬱々とした感情が少し晴れたから、もう少しだけ探そうと思えたのは事実だった。
探し物は、無事見つかった。

大事なのは表現力

内に秘めた感情より、言動の優しさが人を救う気がする。
当たり前だがこの世には色んな人がいる。
一人一人に合わせた的確な励まし方ができるわけではないから、難しいなって思うし、たくさん悩むけど、相手の気持ちに寄り添う姿勢が伝わらなければ、優しさや心配する気持ちがいくらあろうとも意味はない。
私は表現力を磨いて、言動に思いを乗せられるように、相手に寄り添えるように、そんな強い大人になりたい。