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天間荘の三姉妹 スカイハイ・スピンオフ 天国と現世の間でなされる魂の選択

あらすじ

天涯孤独な少女・小川たまえ(のん)は交通事故で臨死状態になり、「もう一度現世に戻って生きる」か「天へと旅立つ」か自らの魂の決断が出来るまで天空の町・三ツ瀬にある旅館「天間荘」で過ごすことになる。
そこでは初めて出会う腹違いの二人の姉、天間かなえ(門脇麦)とのぞみ(大島優子)が待っていた。のぞみたちの母の恵子(寺島しのぶ)やのぞみと天間荘の仲居として天間荘で働き長逗留の気難しい客の玲子(三田佳子)やSNSイラストレーターだった優那(山谷花純)と触れ合い、家族の愛情や友情を知り成長していくたまえだったが、ある日三ツ瀬の町とそこに住む人びとのあまりに大きな秘密を告げられ、たまえは自らの決断を下すことになる。
高橋ツトムの代表的漫画『スカイハイ』のスピンオフ作品『天間荘の三姉妹-スカイハイ-』を原作に、現在ハリウッドを中心に活躍する「スカイハイ」「VERSUSヴァーサス」の北村龍平監督が映画化した。

感想など

この映画は、だいぶ昔に深夜ドラマで話題になった釈由美子主演のドラマ「スカイハイ」のスピンオフ作品。
天国と現世の間にある三ツ瀬という町を舞台に、天涯孤独なたまえや天間荘で働くのぞみたちや気難しい財前玲子やSNSイラストレーターだった芦沢優那やかなえの恋人の一馬(高良健吾)たち辛い過去を背負う者たちが、天真爛漫で前向きで相手の気持ちに寄り添うたまえを触媒に腹違いの姉妹同士や家族同士や孤独な女性同士が自分が抱える孤独さややるせない人生に対する怒りや絶望感を分かち合う中で、現世または来世に向かって一歩踏み出すヒューマンストーリーがダイジェスト感は拭えないながらも丁寧に描かれている。
天間荘で働くのぞみたちやのぞみたちが住む三ツ瀬という町に隠された秘密が、のぞみたちの父の清志(永瀬正敏)がのぞみたちの前に現れたことをきっかけに明かされ、かなえやのぞみたちがそれぞれの選択をして死者の想いを生きる人に伝えていくクライマックスでは、「スカイハイ」シリーズのテーマである「人は死んでも終わりじゃない。その人の魂や思い出は残された人の中に生き続ける」という人間讃歌が東北の震災への鎮魂を込めた内容になっていて、のん能年玲奈さんや門脇麦さんや大島優子さんや山谷花純さんたち若手女優と三田佳子さんや寺島しのぶさんベテラン女優の演技派女優の濃厚なアンサンブルを出番は少ないまでも三ツ瀬を訪れる人たちの魂の選択を見守るイズコを演じる柴咲コウの演技と存在感がシメていて、坂口拓主演の「VERSUSヴァーサス」など男性向けの男臭いアクション映画を撮ってきた北村龍平監督が新たな世界観を広げる意欲作で熱いヒューマンドラマ映画。
「人は死んでも終わりじゃない。残された人の中で生き続ける」

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